答弁本文情報
平成二十七年六月三十日受領答弁第二八九号
内閣衆質一八九第二八九号
平成二十七年六月三十日
衆議院議長 大島理森 殿
衆議院議員逢坂誠二君提出東シナ海の領海防衛に対する政府の考え方に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員逢坂誠二君提出東シナ海の領海防衛に対する政府の考え方に関する質問に対する答弁書
一について
日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約(昭和三十五年条約第六号。以下「日米安保条約」という。)第五条にいう「日本国の施政の下にある領域」とは、我が国の領域のうち、現実に我が国が施政を行い得ない状態にある領域を除いた領域であると認識している。
我が国及び米国は、日米安保条約第五条に基づき、我が国の施政の下にある領域における、いずれか一方に対する武力攻撃が発生した場合、自国の憲法上の規定及び手続に従って共通の危険に対処することとなるが、現在の北方領土及び竹島は、現実に我が国が施政を行い得ない状態にある。尖閣諸島は同条にいう「日本国の施政の下にある領域」に含まれる。
海上保安庁においては、尖閣諸島付近海域において、巡視船を常時配備し、情勢に応じて体制を強化するなど、適切に警備を行っている。
水産庁においては、同海域において、漁業取締船を常時配備し、適切に漁業取締りを行っている。
防衛省においては、尖閣諸島周辺を含む領海及び領空とその周辺の海空域において、常時継続的な情報収集及び警戒監視を行うとともに、事態の推移に応じ適切に対応できる態勢を維持している。
政府としては、今後とも、関係省庁が連携し、情勢に応じ、必要な警備等を引き続き厳正かつ適切に実施していく考えである。お尋ねの「人員、艦船、装備している武器」等の詳細については、これを明らかにすることにより、今後の警備等に支障を及ぼすおそれがあることから、お答えを差し控えたい。
華春瑩中国外交部報道官が、平成二十五年四月二十六日の中国外交部定例記者会見において行った御指摘の発言については承知している。いずれにしても、尖閣諸島が我が国固有の領土であることは、歴史的にも国際法上も疑いのないところであり、現に我が国はこれを有効に支配している。したがって、尖閣諸島をめぐり解決すべき領有権の問題はそもそも存在しない。こうした立場は、中国側のいかなる発言によっても影響を受けるものではない。
政府としては、「平成二十六年度以降に係る防衛計画の大綱」(平成二十五年十二月十七日閣議決定)及び「中期防衛力整備計画(平成二十六年度〜平成三十年度)」(平成二十五年十二月十七日閣議決定)に基づき、島嶼部に対する攻撃を含む各種事態の抑止及び対処のための体制を強化していく考えである。
我が国として、領土・領海・領空を確実に守り抜くことは当然であり、御指摘のような事態が生じることを前提としたお尋ねについてお答えすることは差し控えたい。いずれにしても、尖閣諸島が我が国固有の領土であることは、歴史的にも国際法上も疑いのないところであり、現に我が国はこれを有効に支配している。
お尋ねの「日本から海上自衛隊の護衛艦がホルムズ海峡周辺の海域、あるいは南シナ海の海域に航行する場合、必要となる日数」については、航行経路及び補給の有無等によって異なることから、一概にお答えすることは困難であるが、東京湾からホルムズ海峡及びバシー海峡までの航行距離は、それぞれ、約六千六百海里及び約千四百海里であり、十二ノットで航行すると仮定して日数に換算すると、それぞれ、約二十三日及び約五日となる。
我が国を防衛することを主たる任務とする自衛隊が、いかなる事態においていかなる対応をとるかは、その時点の個別具体的な状況を総合的に勘案して判断すべきものであり、お尋ねについて一概にお答えすることは困難である。