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平成二十七年七月十日受領答弁第三〇五号
内閣衆質一八九第三〇五号
平成二十七年七月十日
衆議院議長 大島理森 殿
衆議院議員阿部知子君提出イラク派遣自衛隊員の自殺率の算出及び比較等に関する再質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員阿部知子君提出イラク派遣自衛隊員の自殺率の算出及び比較等に関する再質問に対する答弁書
一について
御指摘の「実態の過小評価」の意味するところが必ずしも明らかではないが、先の答弁書(平成二十七年六月三十日内閣衆質一八九第二八八号。以下「前回答弁書」という。)一の①についてでお答えしたとおり、防衛省においては、イラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動の実施に関する特別措置法(平成十五年法律第百三十七号。以下「イラク特措法」という。)に基づく活動に従事し在職中に自殺した自衛隊員の自殺による死亡率については、同省でこれまでに把握した客観的なデータに基づき算出したものであるため、適切であると考えている。
前回答弁書二の③について及び三の①についてでお答えしたとおり、防衛省においては、イラク特措法に基づく活動に従事し在職中に自殺した自衛隊員の自殺による死亡率及び男性自衛官の自殺による死亡率を、一般成人男性の自殺による死亡率と比較することは、適切であると考えている。
一般に、自殺は、様々な要因が複合的に影響し合って発生するものであることから、自殺による死亡率の差異の要因等について一概に述べることは困難であるが、いずれにせよ、防衛省においては、自殺者や自殺事故防止等に関する情報の収集や分析に努め、自殺事故防止対策について、今後とも強力に推進してまいりたい。
イラク特措法に基づく活動に従事した自衛隊員の「自殺者数又は自殺死亡率」については、年度ごとに、これを明らかにすることにより、個人が特定されるおそれがあり、関係者のプライバシー保護の観点から、答弁を差し控えたい。
平成十五年度から平成二十六年度までの各年度において在職中に死亡した自衛官について、陸上自衛隊、海上自衛隊及び航空自衛隊の別に、①自殺、②病死、③事故、④その他の死因、⑤死亡者の合計人数及び⑥死亡者に占める自殺者の割合をお示しすると、次のとおりである。
1 陸上自衛隊
平成十五年度 ①四十八人 ②七十八人 ③十人 ④六人 ⑤百四十二人 ⑥約三十三・八パーセント
平成十六年度 ①六十四人 ②六十人 ③八人 ④六人 ⑤百三十八人 ⑥約四十六・四パーセント
平成十七年度 ①六十四人 ②六十四人 ③十七人 ④七人 ⑤百五十二人 ⑥約四十二・一パーセント
平成十八年度 ①六十五人 ②五十四人 ③二十一人 ④一人 ⑤百四十一人 ⑥約四十六・一パーセント
平成十九年度 ①四十八人 ②三十九人 ③十四人 ④二十人 ⑤百二十一人 ⑥約三十九・七パーセント
平成二十年度 ①五十一人 ②五十二人 ③十五人 ④六人 ⑤百二十四人 ⑥約四十一・一パーセント
平成二十一年度 ①五十三人 ②五十一人 ③九人 ④十人 ⑤百二十三人 ⑥約四十三・一パーセント
平成二十二年度 ①五十五人 ②三十七人 ③六人 ④五人 ⑤百三人 ⑥約五十三・四パーセント
平成二十三年度 ①四十九人 ②四十四人 ③四人 ④六人 ⑤百三人 ⑥約四十七・六パーセント
平成二十四年度 ①五十二人 ②五十五人 ③五人 ④七人 ⑤百十九人 ⑥約四十三・七パーセント
平成二十五年度 ①四十七人 ②四十一人 ③九人 ④三人 ⑤百人 ⑥四十七・〇パーセント
平成二十六年度 ①四十三人 ②三十六人 ③四人 ④六人 ⑤八十九人 ⑥約四十八・三パーセント
2 海上自衛隊
平成十五年度 ①十七人 ②二十八人 ③九人 ④三人 ⑤五十七人 ⑥約二十九・八パーセント
平成十六年度 ①十六人 ②十七人 ③四人 ④一人 ⑤三十八人 ⑥約四十二・一パーセント
平成十七年度 ①十五人 ②十六人 ③三人 ④二人 ⑤三十六人 ⑥約四十一・七パーセント
平成十八年度 ①十九人 ②十四人 ③一人 ④二人 ⑤三十六人 ⑥約五十二・八パーセント
平成十九年度 ①二十三人 ②十六人 ③二人 ④四人 ⑤四十五人 ⑥約五十一・一パーセント
平成二十年度 ①十六人 ②十四人 ③二人 ④二人 ⑤三十四人 ⑥約四十七・一パーセント
平成二十一年度 ①十五人 ②十二人 ③二人 ④二人 ⑤三十一人 ⑥約四十八・四パーセント
平成二十二年度 ①十人 ②十三人 ③三人 ④一人 ⑤二十七人 ⑥約三十七・〇パーセント
平成二十三年度 ①十四人 ②九人 ③六人 ④零人 ⑤二十九人 ⑥約四十八・三パーセント
平成二十四年度 ①七人 ②十六人 ③三人 ④七人 ⑤三十三人 ⑥約二十一・二パーセント
平成二十五年度 ①十六人 ②二十人 ③零人 ④三人 ⑤三十九人 ⑥約四十一・〇パーセント
平成二十六年度 ①十二人 ②二十二人 ③七人 ④二人 ⑤四十三人 ⑥約二十七・九パーセント
3 航空自衛隊
平成十五年度 ①十人 ②十六人 ③二人 ④三人 ⑤三十一人 ⑥約三十二・三パーセント
平成十六年度 ①十四人 ②十三人 ③一人 ④三人 ⑤三十一人 ⑥約四十五・二パーセント
平成十七年度 ①十四人 ②十五人 ③十二人 ④三人 ⑤四十四人 ⑥約三十一・八パーセント
平成十八年度 ①九人 ②十七人 ③一人 ④二人 ⑤二十九人 ⑥約三十一・〇パーセント
平成十九年度 ①十二人 ②十五人 ③一人 ④三人 ⑤三十一人 ⑥約三十八・七パーセント
平成二十年度 ①九人 ②十五人 ③五人 ④零人 ⑤二十九人 ⑥約三十一・〇パーセント
平成二十一年度 ①十二人 ②十五人 ③三人 ④一人 ⑤三十一人 ⑥約三十八・七パーセント
平成二十二年度 ①十二人 ②十一人 ③一人 ④一人 ⑤二十五人 ⑥四十八・〇パーセント
平成二十三年度 ①十五人 ②五人 ③四人 ④零人 ⑤二十四人 ⑥六十二・五パーセント
平成二十四年度 ①二十人 ②十三人 ③零人 ④三人 ⑤三十六人 ⑥約五十五・六パーセント
平成二十五年度 ①十三人 ②十一人 ③一人 ④三人 ⑤二十八人 ⑥約四十六・四パーセント
平成二十六年度 ①十一人 ②十人 ③零人 ④二人 ⑤二十三人 ⑥約四十七・八パーセント
御指摘の「推移等」の意味するところが必ずしも明らかではないため、お尋ねの「見解」についてお答えすることは困難であるが、いずれにせよ、防衛省としては、自衛隊員が心身の健康を維持し、任務を支障なく遂行できる態勢を整えることが重要であると考えており、引き続き、自衛隊員の身上把握や健康管理等の徹底に努めてまいりたい。
平成二十七年三月三十一日現在、平成十三年九月十一日のアメリカ合衆国において発生したテロリストによる攻撃等に対応して行われる国際連合憲章の目的達成のための諸外国の活動に対して我が国が実施する措置及び関連する国際連合決議等に基づく人道的措置に関する特別措置法(平成十三年法律第百十三号。以下「テロ対策特措法」という。)、イラク特措法又はテロ対策海上阻止活動に対する補給支援活動の実施に関する特別措置法(平成二十年法律第一号。以下「補給支援特措法」という。)に基づく活動に従事した自衛隊員のうち、在職中に死亡した自衛隊員について、テロ対策特措法、イラク特措法及び補給支援特措法に基づく活動の別に、①自殺、②病死、③事故、④その他の死因、⑤死亡者の合計人数及び⑥死亡者に占める自殺者の割合をお示しすると、次のとおりである。
1 テロ対策特措法に基づく活動
海上自衛隊員 ①二十五人 ②二十二人 ③六人 ④二人 ⑤五十五人 ⑥約四十五・五パーセント
2 イラク特措法に基づく活動
陸上自衛隊員 ①二十一人 ②十五人 ③九人 ④零人 ⑤四十五人 ⑥約四十六・七パーセント
海上自衛隊員 ①零人 ②一人 ③二人 ④零人 ⑤三人 ⑥零パーセント
航空自衛隊員 ①八人 ②五人 ③一人 ④零人 ⑤十四人 ⑥約五十七・一パーセント
3 補給支援特措法に基づく活動
海上自衛隊員 ①四人 ②二人 ③三人 ④零人 ⑤九人 ⑥約四十四・四パーセント
補給支援特措法に基づく活動に従事し在職中に自殺した海上自衛隊員四人の中には、テロ対策特措法に基づく活動に従事し在職中に自殺した海上自衛隊員二人が含まれている。また、補給支援特措法に基づく活動に従事し在職中に病死した海上自衛隊員二人の中には、テロ対策特措法に基づく活動に従事し在職中に病死した海上自衛隊員一人が含まれている。
御指摘の「派遣後の自衛隊員の状況等」の意味するところが必ずしも明らかではないため、お尋ねの「認識」についてお答えすることは困難であるが、いずれにせよ、防衛省としては、一般に、自殺は、様々な要因が複合的に影響し合って発生するものであり、個々の原因について特定することが困難な場合も多く、海外派遣との因果関係を特定することは困難な場合が多いと考えているが、同省においては、自殺の原因について可能な限り特定できるよう努めているところであり、このような観点を含め自殺事故防止対策については、今後とも強力に推進してまいりたい。
一般に、自殺は、様々な要因が複合的に影響し合って発生するものであることから、死亡者に占める自殺者の割合の差異の要因及び御指摘の「自殺対策白書」におけるデータとの比較について一概にお答えすることは困難である。
お尋ねについては、前回答弁書四の①について及び四の②についてでお答えしたとおりである。
平成二十七年六月十八日の衆議院予算委員会における中谷防衛大臣答弁に際しては、全自衛隊員等に対するメンタルヘルスチェックの実施等に係る専門的な見地からの意見を参考にしたものであり、その過程における意見を求められた個々の自衛隊員及び当該意見の内容を明らかにする必要があるとは考えていない。
また、防衛省においては、自衛隊の任務などの特性を踏まえて、同省の施設等機関である防衛医科大学校教授等の意見を聞いているものであり、適切であると考えている。
防衛省においては、御指摘の「自殺総合対策大綱」(平成二十四年八月二十八日閣議決定)を踏まえ、内閣府が取組の実施を呼びかけている自殺予防週間において、自衛隊員に対し自殺事故防止に関する啓発活動を行っており、引き続き、自衛隊員の自殺事故防止に全力で取り組んでまいりたい。
政府としては、従前から、自殺対策に関する情報について、同省を含む関係省庁間における共有を推進してきており、今後とも関係省庁間の情報共有を推進してまいりたい。