衆議院

メインへスキップ



答弁本文情報

経過へ | 質問本文(HTML)へ | 質問本文(PDF)へ | 答弁本文(PDF)へ
平成二十七年七月二十八日受領
答弁第三二七号

  内閣衆質一八九第三二七号
  平成二十七年七月二十八日
内閣総理大臣 安倍晋三

       衆議院議長 大島理森 殿

衆議院議員西村智奈美君提出労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員西村智奈美君提出労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律に関する質問に対する答弁書



一について

 第百八十九回国会に提出した労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律等の一部を改正する法律案(以下「労働者派遣法改正法案」という。)は、派遣労働者のより一層の雇用の安定、保護等を図るとともに、派遣先に常用雇用される労働者の派遣労働者による代替を防止すること(以下「常用代替防止」という。)を目的としたものである。

二について

 労働者派遣法改正法案は、一についてでお答えしたとおり、派遣労働者のより一層の雇用の安定、保護等を図るためのものである。いずれにせよ、御指摘の勧告は法的拘束力を有するものではないが、その内容等を十分に検討の上、政府として適切に対処してきている。

三について

 労働者派遣法改正法案第一条の規定による改正後の労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(昭和六十年法律第八十八号。以下「平成二十七年改正後労働者派遣法」という。)第三十条においては、派遣元事業主に、派遣先の事業所その他派遣就業の場所における同一の組織単位の業務について継続して三年間当該労働者派遣に係る労働に従事する見込みがある同条第一項に規定する特定有期雇用派遣労働者に対し、派遣労働者が引き続き就業することを希望する場合は、同項各号に定める措置(以下「雇用安定措置」という。)を実施することを義務付ける等、派遣労働者の一層の雇用の安定を図ることとしている。
 なお、派遣期間制限の対象外である労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(以下「労働者派遣法」という。)第四十条の二第一項第一号に掲げる業務に従事している派遣労働者の一部については、平成二十七年改正後労働者派遣法施行後においては原則として期間制限の対象となることを踏まえ、都道府県労働局に専用の窓口を設置し、相談対応を実施することとしている。

四の1について

 政府としては、労働者派遣法等に違反する事例を把握した場合には、都道府県労働局において適切に指導等を行うこととしており、今後とも、こうした指導等を通じ、労働者派遣法の適正な運用に努めてまいりたい。

四の2について

 近年、都道府県労働局の需給調整事業関係業務は増加傾向にあることから、政府としては、需給調整指導官の専門性の向上に努めるとともに、引き続き、必要な定員及び予算の確保に努めてまいりたい。

五の1について

 常用代替防止の趣旨については、労働者派遣法の制定当時から維持されているものである。

五の2について

 労働者派遣事業は、職業安定法(昭和二十二年法律第百四十一号)において禁止されている労働者供給事業のうち、供給元と派遣労働者との間に雇用関係があるものを切り出し、労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等を内容とする労働者派遣法の規制の下に実施することとしたものであり、労働者派遣法改正法案もその考え方に立って立案したものである。

五の3について

 常用代替防止の趣旨にのっとり、労働者派遣法改正法案において、派遣先の事業所等ごとの業務について労働者派遣の期間制限を設ける等の措置を講ずることとしているところである。

六及び七の1について

 労働者派遣法改正法案においては、派遣労働の利用を臨時的かつ一時的なものに限ることを原則とすることとしているが、無期雇用派遣労働者(期間を定めないで雇用される派遣労働者をいう。以下同じ。)については、雇用の安定やキャリア形成が図られにくいとの問題が少ないことを踏まえ、労働市場全体としてより安定的な雇用を増やしていくという観点から、この原則の例外としたものである。

七の2及び4について

 御指摘の「派遣労働者の導入と連動した常用労働者の人員削減・解雇」の意味するところが必ずしも明らかではないが、常用代替防止の趣旨を踏まえると、一般論として申し上げれば、有期雇用派遣労働者の受入れを理由に常用労働者の人員削減又は解雇をすることは望ましくないと考えている。なお、解雇の効力については、労働契約法(平成十九年法律第百二十八号)第十六条において、「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする」とされているところである。

七の3について

 派遣先が、当該派遣先を離職した労働者について、その離職の日から起算して一年を経過する日までの間に派遣労働者(無期雇用派遣労働者を含む。)として受け入れることは、労働者派遣法第四十条の六第一項の規定により禁止されており、これに違反する場合には、都道府県労働局において適切に指導等を行っているところである。

七の5について

 派遣先の都合による労働者派遣契約の解除に当たっては、派遣先は、労働者派遣法第二十九条の二等の規定に基づき、当該労働者派遣に係る派遣労働者の新たな就業の機会の確保、労働者派遣をする事業主による当該派遣労働者に対する休業手当等の支払に要する費用を確保するための当該費用の負担その他の当該派遣労働者の雇用の安定を図るために必要な措置を講じなければならないこととされている。
 また、使用者の責に帰すべき事由により休業した場合においては、使用者は、労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)第二十六条の規定に基づき、休業期間中当該労働者に、その平均賃金の百分の六十以上の手当を支払わなければならないこととされているところである。

八の1について

 お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、労働者派遣法に違反する場合には、都道府県労働局において適切に指導等を行っているところである。

八の2について

 お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律等の一部を改正する法律(平成二十四年法律第二十七号)第二条の規定による改正後の労働者派遣法(以下「平成二十四年改正後労働者派遣法」という。)第四十条の六第一項の規定については、その趣旨及び内容についての周知や都道府県労働局における適切な指導等を通じ、その履行を確保してまいりたい。

九の1について

 平成二十四年改正後労働者派遣法第四十条の六の規定について、同条に定めるところにより派遣労働者が承諾の意思表示をした場合には、労働者派遣の役務の提供を受ける者と当該派遣労働者との労働契約が成立するとされているところである。

九の2について

 労働者派遣法改正法案第二条の規定による改正後の労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律等の一部を改正する法律第二条の規定による改正後の労働者派遣法第四十条の六第一項第三号の規定は、常用代替防止のための規定である派遣先の事業所等ごとの業務についての労働者派遣の期間制限に係る規制等の遵守徹底及び派遣労働者の保護を目的としたものである。

九の3について

 お尋ねについては、平成二十四年改正後労働者派遣法第四十条の八等の規定に基づき、適切な指導等を行うこととしている。

十の1から4までについて

 過半数労働組合等(平成二十七年改正後労働者派遣法第四十条の二第四項に規定する過半数労働組合等をいう。以下同じ。)に対する意見聴取(同項の規定に基づく意見の聴取をいう。以下同じ。)の手続は、常用代替防止の趣旨を踏まえて設けることとしているものである。また、意見聴取の手続及び内容については、派遣先から過半数労働組合等に対して、延長しようとする派遣可能期間等を通知すること、当該事業所における派遣労働者数の推移に関する資料等の過半数労働組合等にとって労使間の話合いにおいて参考となる資料を提供すること等を労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律施行規則(昭和六十一年労働省令第二十号。以下「省令」という。)及び派遣先が講ずべき措置に関する指針(平成十一年労働省告示第百三十八号。以下「告示」という。)で定めることを想定している。また、意見聴取については、派遣先に対し、意見聴取の記録を周知すること、異議があったときの対応方針等の説明を行うこと等を省令及び告示で定めることで、実質的な労使間の話合いができるような仕組みを構築することを想定している。

十の5について

 派遣先に、意見聴取を行う前に過半数労働組合等に対し派遣可能期間の延長の理由等を説明することを義務付けることは想定していない。

十一及び十二について

 平成二十七年改正後労働者派遣法第三十条及び第三十条の二第一項においては、就業規則等への記載の有無にかかわらず、派遣元事業主は雇用安定措置及び教育訓練の実施の責務を負うこととしているところである。

十三について

 御指摘の「派遣労働者の結社の自由及び団体交渉の権利」については、我が国においては、派遣労働者も、派遣先に雇用される労働者と同様に、団結及び団体交渉その他の団体行動を行う権利は憲法第二十八条により保障されているところである。
 また、御指摘の「派遣先が負うべき使用者としての責任」に係る周知については、「労働者派遣制度の改正について」(平成二十六年一月二十九日労働政策審議会建議)において、「国は、派遣先の使用者性に関する代表的な裁判例及び中労委命令について、整理を行った上で周知することが適当である。」及び「派遣先が苦情処理を行うに際しては、派遣先の使用者性に関する代表的な裁判例や中労委命令に留意することを指針に規定することが適当である。」とされたことを踏まえ、必要な対応を行うこととしている。

十四について

 労働者派遣法改正法案附則第二条第三項において、「政府は、派遣労働者と派遣労働者の従事する業務と同種の業務に従事する派遣先に雇用される労働者との均等な待遇及び均衡のとれた待遇の確保の在り方について検討するため、調査研究その他の必要な措置を講ずるものとする」と規定されており、御指摘の「無期雇用派遣と有期雇用派遣労働者の待遇格差の解消」に係る対応についても、併せて検討してまいりたい。

十五について

 お尋ねの格差に関する合理性の有無についての「説明責任」の意味するところが必ずしも明らかではないため、お答えすることは困難である。なお、労働者派遣法改正法案においては、賃金水準に関する情報提供等に関する配慮義務に係る規定を新たに設けること等により、派遣労働者の待遇の改善と、納得性の向上を図ることとしている。

十六について

 前段のお尋ねについては、労働者が妊娠、出産、育児等のための権利を行使できることは重要であり、雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律(昭和四十七年法律第百十三号)及び育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(平成三年法律第七十六号)においては、派遣労働者を含め、全ての労働者に対する妊娠若しくは出産又は育児休業若しくは介護休業等の取得等を理由とする不利益取扱いが禁止されているところである。
 後段のお尋ねについては、御指摘の「関連する法制度の見直し」の具体的な内容が必ずしも明らかではないため、お答えすることは困難である。



経過へ | 質問本文(HTML)へ | 質問本文(PDF)へ | 答弁本文(PDF)へ
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.