答弁本文情報
平成二十七年八月十四日受領答弁第三六九号
内閣衆質一八九第三六九号
平成二十七年八月十四日
衆議院議長 大島理森 殿
衆議院議員福田昭夫君提出増税と歳出減では財政再建が出来ないのではないかという疑問に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員福田昭夫君提出増税と歳出減では財政再建が出来ないのではないかという疑問に関する質問に対する答弁書
一について
御指摘の仮定を前提としたお尋ねにお答えすることは困難であるが、「中長期の経済財政に関する試算」(平成二十七年七月二十二日経済財政諮問会議提出)においては、名目長期金利は、均衡実質金利及び期待インフレ率並びにGDPギャップなどに基づいて試算された短期金利に一定のリスクプレミアムを加えることで試算した結果、二千二十年度までに経済成長等に伴って三・九パーセント程度まで上昇する結果となっている。
「中長期の経済財政に関する試算」は、政府のマクロ経済目標及び国・地方の財政健全化目標の進捗状況等を点検し、中長期的な経済と財政の姿を展望するため、経済・財政・社会保障を一体的にモデル化した内閣府の計量モデルに基づき試算している。試算においては、大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略の「三本の矢」の効果が着実に発現する「経済再生ケース」をお示しする一方で、経済が足下の潜在成長率並みで将来にわたって推移する「ベースラインケース」についてもお示ししているところである。
政府としては、中長期的に、実質GDP成長率二パーセント程度、名目GDP成長率三パーセント程度を上回る経済成長の実現を目指し、デフレ脱却と経済再生に取り組んでまいりたい。
今後の日本経済については、「地方への好循環拡大に向けた緊急経済対策」(平成二十六年十二月二十七日閣議決定)を具体化する平成二十六年度補正予算及び平成二十七年度予算の着実な実行や賃金上昇を定着させ投資を促進させるための環境整備の取組等により、雇用・所得環境が引き続き改善し、好循環が更に進展するとともに、交易条件も改善する中で、堅調な民需に支えられた景気回復が見込まれる。先行きのリスクとしては、中国経済を始めとした海外景気の下振れや金融資本・商品市場の動向等に留意する必要がある。
その上で、平成二十九年四月の消費税率の十パーセントへの引上げについては、社会保障制度を次世代に引き渡していく責任を果たすとともに、市場や国際社会における我が国の信認を確保するため、経済環境を整える中で、実施することとしている。
財政法(昭和二十二年法律第三十四号)第五条本文においては、「すべて、公債の発行については、日本銀行にこれを引き受けさせ、又、借入金の借入については、日本銀行からこれを借り入れてはならない」とされており、これに抵触する日本銀行による公債の引受け等については禁じられている。ただし、日本銀行が自らの判断により、金融政策の目的で、市場で流通している国債を買い入れることは、同条に抵触するものではなく、日本銀行において、その時々の経済・物価情勢や市場動向を踏まえつつ、適切に行われるものと考えている。
「経済財政運営と改革の基本方針二〇一五」(平成二十七年六月三十日閣議決定)第三章に定めた「経済・財政再生計画」に、債務残高の対GDP比を中長期的に着実に引き下げていくことを定めている。
引き続き、政府としては、「経済再生なくして財政健全化なし」との基本方針の下、「デフレ脱却・経済再生」、「歳出改革」、「歳入改革」の三本柱の改革を一体として推進し、経済と財政双方の一体的な再生を目指してまいりたい。