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平成二十八年二月二十三日受領
答弁第一二九号

  内閣衆質一九〇第一二九号
  平成二十八年二月二十三日
内閣総理大臣 安倍晋三

       衆議院議長 大島理森 殿

衆議院議員大串博志君提出諸外国における一階部分の年金積立金の運用状況に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員大串博志君提出諸外国における一階部分の年金積立金の運用状況に関する質問に対する答弁書



一について

 お尋ねの「「基礎的制度」、「最低額保障制度」、「資力調査付又は特定階層向け制度」ごとの分類」及び「それぞれの第一層部分の制度において積立金を有している」の意味するところが必ずしも明らかではないが、「Pensions at a Glance 2015」(以下「報告書」という。)では、経済協力開発機構(以下「OECD」という。)に加盟する国の第一層部分の制度を「基礎年金(Basic pensions)」、「最低保障年金(Minimum pensions)」及び「社会扶助(Social assistance)」に分類して分析が行われており、各国の分類は以下のとおりである。オーストラリアが基礎年金、ベルギーが最低保障年金及び社会扶助、カナダが基礎年金及び社会扶助、チリが基礎年金及び社会扶助、チェコが基礎年金及び最低保障年金、デンマークが基礎年金及び社会扶助、エストニアが基礎年金、フィンランドが基礎年金及び社会扶助、フランスが最低保障年金、ギリシャが基礎年金、ハンガリーが最低保障年金、アイスランドが基礎年金及び社会扶助、アイルランドが基礎年金、イスラエルが基礎年金、イタリアが最低保障年金、日本が基礎年金、韓国が社会扶助、ルクセンブルクが基礎年金及び最低保障年金、メキシコが最低保障年金、オランダが基礎年金、ニュージーランドが基礎年金、ノルウェーが基礎年金、ポーランドが最低保障年金、ポルトガルが最低保障年金、スロベニアが最低保障年金、スペインが最低保障年金、スウェーデンが基礎年金、スイスが最低保障年金、トルコが最低保障年金、英国が基礎年金である。一方、報告書では、公的年金制度に係る積立金(Public pension reserve funds)を保有しているのはオーストラリア、ベルギー、カナダ、チリ、フィンランド、フランス、日本、韓国、メキシコ、ニュージーランド、ノルウェー、ポーランド、ポルトガル、スペイン、スウェーデン及び米国が挙げられている。しかしながら、両方に該当する国において当該積立金が上述の「基礎年金」、「最低保障年金」又は「社会扶助」の財源に充てられているかどうかについては報告書においては必ずしも明らかではないと承知している。
 また、報告書が引用しているOECDのデータによると、OECDに加盟する国のうち平成二十五年における公的年金制度に係る年金積立金を有している国名及び株式の運用比率は、当該データに記載のないフィンランド、フランス及び韓国を除き、以下のとおりである。オーストラリアが約四十三・二パーセント、カナダのカナダ年金制度投資委員会が約三十二・一パーセント、カナダのケベック州年金制度が約四十四・九パーセント、チリが約十六・六パーセント、日本が約三十二・三パーセント、ニュージーランドが約三十五・七パーセント、ノルウェーが約五十九・七パーセント、ポーランドが約十四・五パーセント、ポルトガルが約十六・二パーセント、スウェーデンの第一AP基金が約四十六・九パーセント、同国の第二AP基金が約四十八・九パーセント、同国の第三AP基金が約四十九・三パーセント、同国の第四AP基金が約五十九・一パーセントである。

二について

 国民年金及び厚生年金保険については、将来の保険料水準を固定した上で、おおむね百年程度の財政均衡期間を通じて年金財政の均衡が保たれるよう、年金額の水準を将来に向けて調整していく仕組みとなっている。また、年金額の水準については、一般論としては、人口構造、就業構造等の長期間の動向と同様に、年金積立金の運用実績が将来の年金額の水準に影響を与えることはあり得るが、この場合における運用実績は、長期間の動向により判断されるべきものである。年金額は、物価又は賃金の変動に応じて改定される仕組みとなっており、単年度の運用実績を理由として年金額が改定されるものではない。

三について

 政府としては、諸外国の制度について詳細を把握していないため、お尋ねについて一概にお答えすることは困難である。なお、例えば、スウェーデンの所得比例年金においては、保険料水準を固定した上で、積立金も活用しつつ、一定の期間における積立金を含めた年金の財源が年金支出の見込みを下回る場合には、給付水準を調整する仕組みが導入されていると承知している。また、一般論としては、年金積立金を運用する年金制度において、長期間の年金積立金の運用収入が年金の財政見通しの前提よりも低下した場合、その運用収入の低下が、人口構造、就業構造等の長期間の動向と同様に、年金財政に影響を与え、保険料水準や給付水準等の見直しが必要となる場合があると考える。



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