答弁本文情報
平成二十八年三月十一日受領答弁第一五八号
内閣衆質一九〇第一五八号
平成二十八年三月十一日
衆議院議長 大島理森 殿
衆議院議員仲里利信君提出沖縄で実施されていた米軍実弾砲撃演習の県外移転に伴い明らかとなった二重基準や騒音の放置等の諸問題に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員仲里利信君提出沖縄で実施されていた米軍実弾砲撃演習の県外移転に伴い明らかとなった二重基準や騒音の放置等の諸問題に関する質問に対する答弁書
一について
騒音の健康影響については、騒音レベルや暴露時間によっては睡眠や聴力への影響が生じる可能性があることを認識している。
お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、一般的に、公害による健康被害については、公害の種類ごとに、被害が発生するメカニズム等が異なるため、一概に比較することは困難である。
御指摘の「世界保健機関が定める「騒音のもたらす健康被害のガイドライン」」については、何を指すのか必ずしも明らかではないため、お答えすることは困難である。
環境基本法(平成五年法律第九十一号)第十六条第一項の規定に基づく騒音に係る環境基準には、自衛隊等(自衛隊法(昭和二十九年法律第百六十五号)第二条第一項に規定する自衛隊又は日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約(昭和三十五年条約第六号。以下「日米安保条約」という。)に基づき日本国にあるアメリカ合衆国の軍隊をいう。以下同じ。)による砲撃を主とする射撃、爆撃その他火薬類の使用の頻繁な実施により生ずる音響(以下「砲撃騒音」という。)のみを特に対象としたものはない。自衛隊等の特有の行為により生ずる騒音である砲撃騒音は、航空機騒音と同様に断続的に発生する騒音であることから、環境基本法第十六条第一項の規定に基づく航空機騒音に係る環境基準について(昭和四十八年環境庁告示第百五十四号)に定める算定方式に倣い定めた基準(砲撃騒音の影響度について、「演習場周辺住宅防音事業補助金交付要綱第一条及び演習場周辺の移転補償等の実施に関する訓令第一条に規定する別に指定する区域の指定について」(平成二十二年三月二十五日付け防地防第三四八三号防衛事務次官通達)及び「演習場周辺における住宅防音区域及び移転補償区域の指定に関する細部要領について」(平成二十二年三月二十五日付け地防第三四八四号防衛省地方協力局長通知。以下「細部要領」という。)に規定する算定式等に基づき、当該音響の強度並びに発生の回数及び時刻等を考慮して算定した値(以下「LCden値」という。)による基準をいう。)を評価基準としたものである。
防衛省においては、自衛隊等が使用する施設(自衛隊の施設又は日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定(昭和三十五年条約第七号。以下「日米地位協定」という。)第二条1の施設及び区域(以下「施設及び区域」という。)をいう。以下「自衛隊等の施設」という。)の周辺区域においてLCden値が八十一以上の区域が存在するかについて専門知識を有する業者に騒音度調査を委託し実施している。騒音度調査の際に用いている騒音計は、日本工業規格C一五〇九−一に規定するサウンドレベルメータであり、「騒音に係る環境基準の評価マニュアル」(平成二十七年十月環境省作成)において使用することとしている規格と同様のものである。なお、世界保健機関が使用している測定機器については、承知していない。
お尋ねの「測定器の測定可能距離(能力)や設置距離(間隔)、必要機器数」の意味するところが必ずしも明らかではないが、騒音度調査の測定を行う範囲は、砲撃等の発射位置及び着弾位置からおおむね二十キロメートル以内とし、測定箇所は、測定地域全体にわたって分布するように選定することとしており、具体的な測定箇所数については、上富良野演習場で二十か所、北海道大演習場(島松着弾地及び島松地区に限る。以下同じ。)で三十一か所、然別演習場で二十か所、矢臼別演習場で三十か所、岩手山中演習場で二十三か所、王城寺原演習場で三十か所、北富士演習場で二十六か所、東富士演習場で三十か所、饗庭野演習場で三十二か所、日出生台演習場で三十か所である。
なお、防衛省においては、LCden値が八十一以上あることが確認され、当該区域内に住宅があると判明した場合には、演習場周辺住宅防音事業補助金交付要綱(平成十九年防衛省訓令第百九号。平成十九年八月三十一日以前は演習場周辺住宅防音事業補助金交付要綱(平成九年防衛施設庁訓令第十三号)。以下「交付要綱」という。)に規定する住宅防音工事の対象区域として指定した後においても、騒音状況の変化を把握するため、地形の影響や集落の所在などを勘案しつつ、必要に応じて自動騒音測定装置を設置し、騒音状況の把握に努めているところである。具体的な測定箇所数については、上富良野演習場に一か所、北海道大演習場に四か所、岩手山中演習場に三か所、北富士演習場に二か所、東富士演習場に三か所及び饗庭野演習場に五か所設置し、測定を行っているものである。
防衛省は、細部要領に基づき、自衛隊等の施設の周辺において、騒音の最大音圧レベルの測定や騒音の発生時刻等を記録するなどの現地調査を行い、これらの測定データ等から一日の間に発生する砲種別、弾種別、発射位置別及び着弾位置別の騒音値を算出するなどして、LCden値が八十一以上の区域が存在するかを調べるため騒音度調査を実施し、当該調査の結果、LCden値が八十一以上であることが確認され、当該区域内に住宅が所在することが判明した場合には、住宅防音工事の対象区域として指定しているところである。住宅防音工事の対象区域を指定している十の施設についても、それぞれ騒音度調査を実施した結果、当該施設の周辺にLCden値八十一以上の値が確認されたものである。
平成二十六年度までに住宅防音工事が完了して交付要綱に基づき補助金が交付された世帯数は、上富良野演習場については三世帯、北海道大演習場については二百四十四世帯、然別演習場については零世帯、矢臼別演習場については四百二十九世帯、岩手山中演習場については二十六世帯、王城寺原演習場については八百九世帯、北富士演習場については二千五百十世帯、東富士演習場については七千七百九十世帯、饗庭野演習場については百二十四世帯、日出生台演習場については八百六十二世帯である。
お尋ねの「全世帯の数」及び「対象区域外とした世帯数」については、その意味するところが必ずしも明らかではないため、お答えすることは困難である。
お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、防衛省では、名護市から米軍の訓練による騒音について問合せがあった際には、必要に応じて米軍に照会し、回答を得た際には、その回答内容を名護市に伝えている。なお、米軍からの回答について、政府としてその具体的な内容をお答えする立場にない。
お尋ねの測定値については、名護市及び名護市議会からの情報の提供により承知している。
政府としては、米軍は、日米安保条約の目的達成のため、その能力を維持するための訓練を行う必要があるものと認識しているが、米軍に対しては、引き続き、訓練の実施に当たり、騒音について、周辺住民に与える影響を最小限にとどめるよう働きかけていく考えである。
お尋ねの「使用している装備」とは砲種等のことであり、「訓練の状況」とは砲撃回数等のことであり、「等」とは騒音の発生源と周辺地域との距離等である。また、お尋ねの「「同等の騒音状況が生じていない」とした理由」については、自衛隊等の施設について、使用している装備や訓練の状況等を総合的に考慮した上で、当該自衛隊等の施設の周辺においてLCden値が八十一以上の区域が存在する可能性があると認められなかったからである。
お尋ねの「市民団体等への説明会が開催されている」の意味するところが必ずしも明らかではないが、平成八年十二月二日に発表された「沖縄に関する特別行動委員会」の最終報告を踏まえ、沖縄県において実施されていた実弾射撃訓練を本土の演習場に移転して実施する際には、地方防衛局等から地元自治体等に対し、適宜、説明会等を実施している。
また、当該実弾射撃訓練がキャンプ・ハンセンにおいて実施されていた際には、沖縄防衛局から地元自治体等に対し、日時、演習内容等を通知していたところである。
お尋ねの「自衛隊等」については、三についてで述べた自衛隊等を指す。
また、お尋ねの「遠征」、「射撃演習・訓練」及び「廃弾処理」の意味するところが必ずしも明らかではないが、米軍が施設及び区域で実施する射撃、爆撃その他火薬類の使用により生ずる音響についても評価の対象となり得る。
住宅防音工事の対象区域の指定に当たっては、自衛隊等の施設の周辺においてLCden値が八十一以上の区域が存在する可能性の有無について検討し、その可能性があると認められる場合に実施することとしているところ、当該区域を指定している十の施設以外の施設について、その可能性があると認められないことから、住宅防音工事の対象区域を指定することは現時点において考えていないが、今後の騒音状況に応じて適切に対応してまいりたい。
お尋ねの「廃弾処理」の意味するところが必ずしも明らかではないが、陸上自衛隊は、昭和五十一年一月より、日米地位協定第二条4(a)の規定に基づき、キャンプ・ハンセン及びキャンプ・シュワブの一部土地を不発弾処理場として共同使用しており、当該処理場を使用する予定については、事前に沖縄防衛局から関係自治体に対して通知している。