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平成二十八年三月十八日受領
答弁第一七四号

  内閣衆質一九〇第一七四号
  平成二十八年三月十八日
内閣総理大臣 安倍晋三

       衆議院議長 大島理森 殿

衆議院議員福田昭夫君提出経常黒字国に財政支出の拡大を求める声が高まっている事に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員福田昭夫君提出経常黒字国に財政支出の拡大を求める声が高まっている事に関する質問に対する答弁書



一について

 平成二十八年二月二十七日の二十か国財務大臣・中央銀行総裁声明では、金融、財政及び構造政策の全ての政策手段を、個別にまた総合的に用いることに合意したところである。
 政府としては、経済と財政双方の一体的な再生を目指しており、我が国の極めて厳しい財政状況を放置すれば、財政の持続可能性に対する疑念の高まりが経済成長自体を阻害するおそれがあるという認識の下に、それぞれの国が置かれた状況を踏まえながら、適切な財政運営を行っていくことが重要であると考えており、一般論としては、財政支出の拡大を行うべきか否かについては、御指摘の「経常黒字国であり、しかも巨額の対外純資産を持つ」という理由で判断されるべきではないと考えている。
 日本経済のファンダメンタルズは確かなものと認識しており、現時点で補正予算による経済対策を策定することは考えていない。政府としては、平成二十七年度補正予算を迅速かつ着実に執行するとともに、現在審議中の平成二十八年度予算の早期成立に努めてまいりたい。

二について

 内閣府においては、平成二十七年度補正予算について、一定の前提の下で予算額に基づいて試算した結果、実質GDPをおおむね〇・六パーセント程度押し上げる経済効果があると見込んでいる。ただし、一般論として、財政支出が実質GDP成長率に与える影響については、支出の内容や内外経済状況など様々な要因に左右されることに留意する必要がある。

三について

 我が国の財政については、極めて厳しい状況にあり、デフレ脱却・経済再生を図りつつ、その持続可能性を確保することが重要である。政府としては、「経済財政運営と改革の基本方針二〇一五」(平成二十七年六月三十日閣議決定)に盛り込まれた「経済・財政再生計画」(以下「経済・財政再生計画」という。)に基づき、平成三十二年度の財政健全化目標の達成に向けて、経済と財政双方の再生を目指す経済・財政一体改革に取り組むこととしている。

四について

 為替レート及び国債金利は、様々な要因を背景に市場において決まるものであり、それらの動向について言及することは市場に無用の混乱を生じさせかねないことから、御指摘の為替レート及び金利水準の動向を前提としたお尋ねにお答えすることは差し控えたい。
 また、我が国の財政状況は、国・地方の債務残高がGDPの二倍程度に膨らみ、なおも更なる累増が見込まれるなど、極めて厳しい状況にあり、政府としては、国債の安定的な消化を図るため、経済・財政再生計画に沿って引き続き財政健全化の取組を着実に進め、国債に対する信認を確保してまいりたい。

五について

 平成二十九年四月の消費税率の十パーセントへの引上げは、社会保障制度を次世代に引き渡していく責任を果たすとともに、市場や国際社会における我が国の信認を確保するため、リーマンショックや大震災のような重大な事態が発生しない限り、確実に実施することとしている。その上で、政府としては、経済財政運営に万全を期してまいりたい。

六について

 消費税率の五パーセントから十パーセントへの引上げによる増収分は全額、社会保障の充実・安定化に充てることとしている。その上で、消費税率の十パーセントへの引上げに当たって、政府としては、経済財政運営に万全を期してまいりたい。

七について

 平成二十九年四月一日の消費税率の十パーセントへの引上げは、その実施が国際的に法的拘束を受けるといったものではなく、所得税法等の一部を改正する法律(平成二十七年法律第九号)第十八条の規定により改正された社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法の一部を改正する等の法律(平成二十四年法律第六十八号)に基づくものであり、リーマンショックや大震災のような重大な事態が発生しない限り、確実に実施することとしている。

八について

 ハイパーインフレーションは、戦争等を背景とした極端な物不足や、財政運営及び通貨に対する信認が完全に失われるなど、極めて特殊な状況下において発生するものであり、現在の我が国の経済・財政の状況において発生するとは考えていない。

九について

 国債金利は、需要と供給のバランスのみによって決まるものではなく、経済・財政の状況等の様々な要因を背景に市場において決まるものであり、その動向について言及することは市場に無用の混乱を生じさせかねないことから、国債金利の動向に関するお尋ねにお答えすることは差し控えたい。

十について

 政府としては、長引くデフレからの早期脱却と日本経済の再生のため、大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略の三本の矢からなる経済政策を一体的に推進してきたところであるが、同時に、財政に対する市場の信認が喪失し、金利が急激に上昇するようなことがあれば、経済・財政及び国民生活に大きな影響が及ぶと考えている。
 我が国の財政については、極めて厳しい状況にあり、引き続き、財政に対する市場の信認を確保できるよう、経済再生と財政健全化の両立を目指すことが重要である。
 このため、平成二十九年四月の消費税率の十パーセントへの引上げは、社会保障制度を次世代に引き渡していく責任を果たすとともに、市場や国際社会における我が国の信認を確保するため、リーマンショックや大震災のような重大な事態が発生しない限り、確実に実施することとしている。



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