答弁本文情報
平成二十八年四月十五日受領答弁第二三七号
内閣衆質一九〇第二三七号
平成二十八年四月十五日
衆議院議長 大島理森 殿
衆議院議員仲里利信君提出沖縄で実施されていた米軍実弾砲撃演習の県外移転に伴い明らかとなった二重基準や騒音の放置等の諸問題に関する再質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員仲里利信君提出沖縄で実施されていた米軍実弾砲撃演習の県外移転に伴い明らかとなった二重基準や騒音の放置等の諸問題に関する再質問に対する答弁書
一について
御指摘の「世界保健機関が定める「騒音に係る環境基準(一般基準)」若しくは「航空機騒音に係る環境基準」」の意味するところが必ずしも明らかではないが、防衛省においては、先の答弁書(平成二十八年三月十一日内閣衆質一九〇第一五八号。以下「前回答弁書」という。)でお答えしたとおり、LCden値(砲撃を主とする射撃、爆撃その他火薬類の使用の頻繁な実施により生ずる音響(以下「砲撃騒音」という。)の影響度について、「演習場周辺住宅防音事業補助金交付要綱第一条及び演習場周辺の移転補償等の実施に関する訓令第一条に規定する別に指定する区域の指定について」(平成二十二年三月二十五日付け防地防第三四八三号防衛事務次官通達)及び「演習場周辺における住宅防音区域及び移転補償区域の指定に関する細部要領について」(平成二十二年三月二十五日付け地防第三四八四号防衛省地方協力局長通知)に規定する算定式等に基づき、当該音響の強度並びに発生の回数及び時刻等を考慮して算定した値をいう。以下同じ。)八十一以上の区域において、住宅防音工事の助成を行っているところである。当該LCden値八十一とは、環境基本法(平成五年法律第九十一号)第十六条第一項の規定に基づく航空機騒音に係る環境基準について(昭和四十八年環境庁告示第百五十四号。以下「航空機騒音に係る環境基準」という。)において、平成十九年環境省告示第百十四号による改正前に定められていた七十五WECPNLに相当する値として、防衛省において、砲撃騒音の衝撃性が強い、低周波成分が多いという特性等を考慮して算定した数値である。
航空機騒音については、他の騒音に比べて、断続的に発生し、最大騒音値が高く、特異な音質を有する騒音であることから、環境基本法第十六条第一項の規定に基づく騒音に係る環境基準について(平成十年環境庁告示第六十四号。以下「騒音に係る環境基準」という。)とは別に航空機騒音に係る環境基準が定められている。前回答弁書三についてでお答えしたとおり、砲撃騒音は、航空機騒音と同様の特性を有する騒音であることから、防衛省においては、航空機騒音に係る環境基準が騒音に係る環境基準とは別に定められている趣旨を踏まえ、航空機騒音に係る環境基準に倣い算定式を定めることとしたものである。
防衛省は、キャンプ・シュワブにおいて、平成十年及び平成十二年に爆発物処理場から発生する騒音状況の実態を把握するため騒音・振動調査を実施し、また、平成十三年十月から平成十四年九月までの一年間、名護市豊原区及び久志区において常時測定装置による騒音調査を行い、爆発物処理場から発生する騒音発生回数、最大騒音値、LCden値等の把握をしている。当該測定装置による測定結果によると、一年間のLCden値の平均は六十程度であり、騒音を計測した日のLCden値の平均は七十程度であった。これに対し、演習場周辺住宅防音事業補助金交付要綱(平成十九年防衛省訓令第百九号)に定めている十の演習場では、演習場周辺地域においてLCden値八十一から八十九までの騒音が確認されている。
また、同省は、LCden値の評価に当たり、一日の砲撃回数が不規則に変動する特徴を考慮し、一年間の平均ではなく、一年間の日別の砲撃回数の多い方から数えて、一年間の総日数の十パーセントに当たる日、すなわち三十七日目の砲撃回数を標準的な砲撃回数としており、LCden値を算定するためには、騒音発生日数が一年間で三十七日以上必要になるが、当該測定装置による騒音結果では、騒音が発生した日数は一年間で二十六日又は二十七日であり、騒音発生回数は一年間で二百五十回程度である。
さらに、名護市が公表している平成二十七年の騒音測定結果によると、キャンプ・シュワブ周辺で八十デシベル以上の騒音が計測された一年間の回数は、豊原及び辺野古測定局で五百回程度であると承知している。
他方、同省においては、住宅防音工事の対象区域の指定後において、騒音状況の変化を把握するため、自動騒音測定装置を当該十の演習場のうち六の演習場の対象区域外に設置しており、当該測定結果として、騒音発生回数を公表しているが、八十デシベル以上の騒音が発生している回数は、現在までのところ、対象区域外であっても数千回以上の規模になっている。
これらの状況を総合的に考慮し、キャンプ・シュワブ周辺では、演習場周辺で住宅防音工事を実施する際に対象としているLCden値八十一以上の騒音が発生している可能性があるとは認められないものと考えており、住宅防音工事を実施するための騒音度調査を実施することは現時点において考えていないが、今後の騒音状況に応じて適切に対応してまいりたい。