答弁本文情報
平成二十八年六月七日受領答弁第三一九号
内閣衆質一九〇第三一九号
平成二十八年六月七日
衆議院議長 大島理森 殿
衆議院議員阿部知子君提出理学療法士・作業療法士の臨床実習に関する再質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員阿部知子君提出理学療法士・作業療法士の臨床実習に関する再質問に対する答弁書
一の一)について
理学療法士及び作業療法士法(昭和四十年法律第百三十七号)第十一条第一号及び第二号の学校及び理学療法士養成施設並びに同法第十二条第一号及び第二号の学校及び作業療法士養成施設(以下「理学療法士等学校養成施設」と総称する。)の学生(以下「理学療法士等学生」という。)が臨床実習において理学療法又は作業療法(以下「理学療法等」という。)を行う目的に関しては、「理学療法士作業療法士養成施設指導ガイドライン」(平成二十七年三月三十一日付け医政発〇三三一第二十八号厚生労働省医政局長通知。以下「ガイドライン」という。)において、社会的ニーズの多様化に対応した臨床的な観察力及び分析力を養うとともに、治療計画の立案能力及び実践能力を身に付けることと示している。
理学療法士等学生が臨床実習において行うことのできる理学療法等は、先の答弁書(平成二十八年三月十八日内閣衆質一九〇第一八〇号。以下「前回答弁書」という。)一の一)についてでお答えしたとおり、医師の指示及び相当の経験を有する理学療法士又は作業療法士による指導並びに患者の同意の下、その目的、手段及び方法が社会通念から見て相当であり、理学療法士及び作業療法士(以下「理学療法士等」という。)が行う理学療法等と同程度の安全性が確保される範囲内で行われる行為であると考えており、例えば、これらの条件を満たした上で、座る、立つといった基本的動作能力の回復を図るための運動を患者に対して行わせることがこれに該当する。
理学療法士等学生が行う臨床実習の指導の体制に関しては、ガイドラインにおいて、「実習指導者は、理学療法士養成施設においては、理学療法に関し相当の経験を有する理学療法士、作業療法士養成施設においては、作業療法に関し相当の経験を有する作業療法士とし、かつ、そのうち少なくとも一人は免許を受けた後三年以上業務に従事した者であること」、「実習施設における実習人員と当該施設の実習指導者数の対比は二対一程度とすることが望ましいこと」等を示している。この指導体制を充実させることについては、今後、理学療法士等学校養成施設の養成カリキュラム全体の見直しを行う中で検討してまいりたい。
理学療法士等学校養成施設においては、理学療法士等学生が、臨床実習を行うに先立ち、理学療法士作業療法士学校養成施設指定規則(昭和四十一年文部省・厚生省令第三号。以下「指定規則」という。)に定める教育内容について受講した講義、演習等の成績が一定の基準を満たしていること等をもって、臨床実習を行うに足る知識及び技術を習得していると評価しているものと認識している。
理学療法士等学生が臨床実習を行う際の患者の同意については、理学療法士等学校養成施設の教員及び実習施設の実習指導者が患者やその家族に対して実習の必要性や実習内容等について十分説明を行うこと、理学療法士等学校養成施設及び実習施設の連名で患者と同意について文書で取り交わすこと、口頭で同意を得た場合にあってはその旨を記録として残すこと等の方法によることが望ましいと考えている。
理学療法士等学生の臨床実習は、臨床的な観察力及び分析力並びに治療計画の立案能力及び実践能力を身に付けるために必要であり、また、患者の同意の下、理学療法士等が行う理学療法等と同程度の安全性が確保された上で実施されていると認識していることから、現時点においては、御指摘のように「現状の臨床実習は直ちに中止し、資格取得後の研修へ切り替えるべき」とは考えていない。
なお、現在の臨床実習の在り方を改善していくことについては、今後、理学療法士等学校養成施設の養成カリキュラム全体の見直しを行う中で検討してまいりたい。
御指摘の「理学療法士等の資格のない学生の行為」の意味するところが必ずしも明らかではないが、前回答弁書一の一)についてでお答えした範囲内で理学療法士等学生の臨床実習を実施している保険医療機関において、理学療法士等学生の指導等を行う保険医及び理学療法士等が適切に指導等を行い、診療を行っている場合に、健康保険法(大正十一年法律第七十号)第七十六条第四項等の規定に基づく保険者等の審査を経て、保険者等から診療報酬の支払を受けることは差し支えないものと考えている。
御指摘の「実態」の詳細が明らかではないが、理学療法士等学生の臨床実習は、前回答弁書一の一)についてでお答えした要件の下、各理学療法士等学校養成施設において、患者の状態や実習施設の状況等を踏まえて適切に行われるべきものと考えている。
理学療法士等学生の臨床実習について、「臨床実習検討委員会最終報告」(平成三年五月十三日厚生省公表)や「看護基礎教育における技術教育のあり方に関する検討会報告書」(平成十五年三月十七日厚生労働省公表)に相当する指針を作成することについては、今後、理学療法士等学校養成施設の養成カリキュラム全体の見直しを行う中で検討してまいりたい。
理学療法士等学生の臨床実習の実習指導者の数に関しては、ガイドラインにおいて、「実習施設における実習人員と当該施設の実習指導者数の対比は二対一程度とすることが望ましいこと」と示しており、この基準を参考に、各実習施設において、受け入れる理学療法士等学生の数に応じて適切な数の実習指導者が確保されるべきものと考えている。
理学療法士等学校養成施設の臨床実習の実習指導者の指導の質を確保し、及び向上させるため、現在も厚生労働省と公益財団法人医療研修推進財団との共催で、毎年、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士養成施設教員等講習会を開催しているところであるが、お尋ねの実習指導者に対する研修を義務付けることについては、今後、理学療法士等学校養成施設の養成カリキュラム全体の見直しを行う中で検討してまいりたい。
どのような方策によれば臨床実習を引き受ける実習施設の負担軽減につながるかという点については、今後、理学療法士等学校養成施設の養成カリキュラム全体の見直しを行う中で検討してまいりたいと考えているが、実習指導者に対する対価の支払については、各理学療法士等学校養成施設において対応されるべきものと考えている。
理学療法士等学生が臨床実習を行う実習施設に関しては、ガイドラインにおいて、「実習施設のうち少なくとも一か所は養成施設に近接していることが望ましいこと」及び「実習施設には実習を行ううえに必要な機械器具を備えていること」と示しており、これらの要件を満たす実習施設は、指定規則第二条第一項第十号に定める施設に該当すると考えている。一方で、「看護師等養成所の運営に関する指導ガイドライン」(平成二十七年三月三十一日付け医政発〇三三一第二十一号厚生労働省医政局長通知)においては、保健師助産師看護師法(昭和二十三年法律第二百三号)第二十一条第三号の看護師養成所の学生又は生徒が臨地実習を行う実習施設として必要な人事配置、記録等の要件を定めているが、理学療法士等学生が臨床実習を行う実習施設に関しては、ガイドラインにおいて、これらに相当する要件は示していない。御指摘を踏まえ、理学療法士等学生が臨床実習を行う実習施設の要件の見直しについては、今後、理学療法士等学校養成施設の養成カリキュラム全体の見直しを行う中で検討してまいりたい。
御指摘の「実態」の詳細が明らかではないため、お尋ねについて一概にお答えすることは困難であるが、理学療法士等学生が臨床実習を行う実習施設の要件の見直しについては、今後、理学療法士等学校養成施設の養成カリキュラム全体の見直しを行う中で検討してまいりたい。
お尋ねについては、今後、理学療法士等学校養成施設の養成カリキュラム全体の見直しを行う中で、その実態の把握を含め、検討してまいりたい。
お尋ねの要望書については、平成二十一年に当時の全国私立リハビリテーション学校協会、社団法人日本理学療法士協会及び社団法人日本作業療法士協会(以下「関係団体」という。)から厚生労働省に対して提出された後、関係団体との間で要望の背景にある事実や要望の詳細等について定期的に意見交換を行っていたところである。また、御指摘の理学療法士等学校養成施設における専任教員の基準の見直しについては、今後、理学療法士等学校養成施設の養成カリキュラム全体の見直しを行う中で検討してまいりたい。
今後行う予定の理学療法士等学校養成施設の養成カリキュラム全体の見直しは、検討会を開催し、理学療法士等学校養成施設の指定基準等の見直し等を行うことを考えているが、その具体的な内容については今後検討してまいりたい。また、検討会の開催に当たっては、公開で行うことを原則とし、指定規則の改正を行う場合には、パブリックコメントを行うこと等により、検討過程の透明性の確保に努めてまいりたい。
御指摘の「法令の整備を怠った」の意味するところが明らかではないが、理学療法士等学校養成施設の教育の在り方については、今後、理学療法士等学校養成施設の養成カリキュラム全体の見直しを行う中で検討してまいりたい。また、理学療法士等の需給の見通し及び確保のための対策については、現在、平成二十七年十二月に厚生労働省に設置された「医療従事者の需給に関する検討会理学療法士・作業療法士需給分科会」において検討しているところである。
政府としては、御指摘の理学療法士等学校養成施設における「専任教員」は、専ら当該理学療法士等学校養成施設において理学療法士等学生に対する教育等に従事する者を意味するものとして用いている。
お尋ねについては、前回答弁書三の三)についてでお答えしたとおりである。
お尋ねにあるような理学療法士等学生の勧誘方法については、個別に詳細を把握していないため、消費者契約法(平成十二年法律第六十一号)又は不当景品類及び不当表示防止法(昭和三十七年法律第百三十四号)に違反するかどうかについて一概にお答えすることは困難であるが、理学療法士等学校養成施設の評価、その結果の公表及び情報の提供等の仕組みについては、前回答弁書三の四)についてでお答えしたとおりである。