衆議院

メインへスキップ



答弁本文情報

経過へ | 質問本文(HTML)へ | 質問本文(PDF)へ | 答弁本文(PDF)へ
平成二十八年十二月十六日受領
答弁第一九九号

  内閣衆質一九二第一九九号
  平成二十八年十二月十六日
内閣総理大臣 安倍晋三

       衆議院議長 大島理森 殿

衆議院議員仲里利信君提出SACO合意及び普天間飛行場の五年以内の返還の破綻と最近の普天間飛行場の機能強化との関係に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員仲里利信君提出SACO合意及び普天間飛行場の五年以内の返還の破綻と最近の普天間飛行場の機能強化との関係に関する質問に対する答弁書



一について

 平成八年十二月に発表された沖縄に関する特別行動委員会の最終報告(以下「SACO最終報告」という。)は、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約(昭和三十五年条約第六号)及び関連取極の下におけるそれぞれの義務との両立を図りつつ、沖縄県における在日米軍の施設及び区域を整理、統合、縮小することなどによって、沖縄県民の負担を軽減し、それにより日米同盟関係を強化することを目的としている。

二について

 お尋ねについて、@SACO最終報告で返還が約束された施設及び区域、A内容及びB平成二十八年十一月末までの返還の実施状況は次のとおりである。
 @普天間飛行場 A全部返還 B未実施
 @北部訓練場 A過半の返還 B未実施
 @安波訓練場 A全部返還(共同使用の解除) B実施済み
 @ギンバル訓練場 A全部返還 B実施済み
 @楚辺通信所 A全部返還 B実施済み
 @読谷補助飛行場 A全部返還 B実施済み
 @キャンプ桑江 A大部分の返還 B一部実施済み
 @瀬名波通信施設 A大部分の返還 B実施済み
 @牧港補給地区 A一部返還 B未実施
 @那覇港湾施設 A全部返還 B未実施
 @キャンプ瑞慶覧 A一部返還 B一部実施済み
 一部実施済み又は未実施の理由は、代替施設の建設工事が完了していないことや、関係機関との調整が続いていることであるが、北部訓練場については、その過半の返還に向けて、返還条件であるヘリコプター着陸帯の移設工事を進めている。

三について

 政府としては、沖縄は、米国本土、ハワイ等と比較して、東アジアの各地域に近い位置にあると同時に、我が国の周辺諸国との間に一定の距離をおいている等の利点を有していると認識している。また、我が国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増す中、こうした地理上の利点を有する沖縄に、高い機動性や即応性等により在日米軍の重要な一翼を担う米海兵隊や米空軍等の部隊が駐留することは、我が国の安全及び極東における国際の平和と安全の維持に寄与していると認識している。このような認識の下、SACO最終報告における土地の返還については、日米同盟関係を強化しつつ、沖縄県民の負担軽減を図るべく、沖縄県における在日米軍の施設及び区域を整理、統合、縮小することについて、日米両政府で検討した結果取りまとめられたものである。

四について

 SACO最終報告の作成に当たっては、外務大臣、内閣官房長官、防衛庁長官(当時)及び沖縄県知事を構成員とする「沖縄米軍基地問題協議会」等の場において、沖縄県が同県に所在する全ての米軍基地を返還することを求めた当時の県政の考え方をまとめた「基地返還アクションプログラム」の説明を聴取するなど、同県側の意見も十分に踏まえた上で、日米両政府で検討を行い、SACO最終報告発表前に同県側に検討内容を提示するなどしており、「沖縄県民にはその事実は全く知らされていなかった」及び「政府は沖縄県民をだました」との御指摘は当たらないものと考えている。

五について

 お尋ねの「基地の県内たらい回しであって、基地機能の向上と強化、効率化であること」の趣旨が必ずしも明らかではないが、SACO最終報告は、沖縄県における在日米軍の施設及び区域を整理、統合、縮小することなどによって、沖縄県民の負担軽減に資するものであると認識している。

六について

 お尋ねの「北部訓練場の一部返還を始めこれまで返還された基地を見ると、米軍が使用しないとした基地を返還しているだけに過ぎない」の趣旨が必ずしも明らかではないが、SACO最終報告において返還の対象とされた在日米軍の施設及び区域のうち平成二十八年十一月末までに返還されたものは、その返還されるまでの間、在日米軍により使用されていたものと認識しており、また、北部訓練場の返還される部分も、これまで在日米軍によって使用されてきていると認識している。

七について

 お尋ねの「沖縄に米軍基地が集中することについて、政府は口を開けば「沖縄の地理的優位性」を挙げるが、最早そのような主張や理屈は破綻している」の趣旨が必ずしも明らかではないが、政府としては、沖縄は、米国本土、ハワイ等と比較して、東アジアの各地域に近い位置にあると同時に、我が国の周辺諸国との間に一定の距離をおいている等の利点を有していると認識している。また、我が国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増す中、こうした地理上の利点を有する沖縄に、高い機動性や即応性等により在日米軍の重要な一翼を担う米海兵隊や米空軍等の部隊が駐留することは、我が国の安全及び極東における国際の平和と安全の維持に寄与していると認識しており、このような認識に変わりはない。

八について

 お尋ねの「このような対応は安全保障のただ乗りであり、身勝手な考えではないか」の趣旨が必ずしも明らかではないが、在日米軍は、その抑止力を通じて我が国の安全及び極東における国際の平和と安全の維持に寄与している。
 他方、在日米軍の施設及び区域が沖縄県内に集中している現状は、沖縄の皆様にとって、大きな負担となっているものと認識している。
 政府としては、こうした認識の下、在日米軍の抑止力を維持しつつ、沖縄の負担を日本全体で分かち合っていく観点から、これまでの日米合意を踏まえ、普天間飛行場の移設・返還、在沖縄米海兵隊の移転、嘉手納飛行場以南の施設及び区域の返還、KC一三〇空中給油機の岩国飛行場への移駐、沖縄県外での垂直離着陸機MV二二オスプレイの訓練等の実施等を着実に進め、沖縄の皆様の気持ちに寄り添いながら、政府としてできることは全て行うとの姿勢で取り組んでいく考えである。

九及び十六について

 お尋ねの「二〇〇四年八月十三日に沖縄県宜野湾市の沖縄国際大学での米軍ヘリコプターの墜落炎上事故が発生したことを受け、市街地にある危険性を早急に除去するため、普天間飛行場を五年ないし七年以内に閉鎖・返還することを合意」、「日米両政府が合意した二〇二二年度までの普天間飛行場の閉鎖という目標」及び「二〇二二年度までに普天間飛行場が閉鎖されるという日米合意」の意味するところが必ずしも明らかではないが、平成二十五年四月に発表された「沖縄における在日米軍施設・区域に関する統合計画」において、普天間飛行場は、返還条件が満たされ、返還のための必要な手続が完了した後、平成三十四年度又はその後に返還可能とされている。
 政府としては、住宅や学校で囲まれ、市街地の真ん中にある同飛行場の固定化は絶対に避けなければならないと考えており、これは政府と沖縄の皆様の共通認識であると考えている。同飛行場の移設については、キャンプ・シュワブ辺野古崎地区及びこれに隣接する水域に代替施設を建設する現在の計画が、同飛行場の継続的な使用を回避するための唯一の解決策であると考えている。政府としては、同飛行場の一日も早い移設・返還を実現し、沖縄の負担を早期に軽減するよう努力していく考えである。
 また、ハリス米太平洋軍司令官の御指摘の発言については承知しているが、これまで、日本側から米側に対し、同飛行場の移設が当初より遅れ、平成三十七年になるとの見通しを伝えたことはなく、外交ルート等を通じて、抗議を行ったところである。

十及び十一について

 普天間飛行場の危険性について一概にお答えすることは困難であるが、政府としては、住宅や学校で囲まれ、市街地の真ん中にある同飛行場の固定化は絶対に避けなければならないと考えており、これは政府と沖縄の皆様の共通認識であると考えている。政府としては、同飛行場の一日も早い移設・返還を実現し、沖縄の負担を早期に軽減するよう努力していく考えである。

十二、十三及び十七について

 設置から五十年以上が経過した普天間飛行場においては、老朽化が著しい施設もあることから、安全面や環境面での配慮が必要となっていることを踏まえ、現在の米海兵隊の航空機の安全な運用の維持や環境の保全等に不可欠な施設の改修を実施しているところである。

十四について

 お尋ねの「同様の機能を持った施設」の意味するところが必ずしも明らかではないが、雨水排水施設の改修については、普天間飛行場において、既存の雨水排水路の許容量を超える雨水の流入により、特に格納庫付近でしばしば冠水被害が発生している状況であることから、このような被害を防止又は軽減するため、排水路を改修するとともに、同飛行場南東に調整池を整備するものである。

十五、十八及び十九について

 これまで日本側の経費により行われた普天間飛行場における補修事業は、管制塔及び消防用建物の非常用発電施設の改修、給電設備の改修、雨水排水施設の改修、汚水排水施設の改修並びに隊舎の改修の五事案である。
 管制塔及び消防用建物の非常用発電施設の改修については、既存の非常用発電施設では、管制塔及び消防用建物が必要とする電力容量を確保できない状況のため非常用発電機の更新を実施したものであり、事業費は、約四億円である。
 給電設備の改修については、電線等の老朽化が著しく、漏停電が発生することがあるため、電線の張り替え等を実施したものであり、事業費は、約三億円である。
 汚水排水施設の改修については、老朽化が著しい汚水管の改修を実施したものであり、事業費は、約二億円である。
 隊舎の改修については、壁や天井など建物全体の亀裂、一部コンクリートの剥離、壁等のひび割れ等が見られたため、補修を実施したものであり、事業費は、約十一億円である。
 これら四事案については、平成二十八年度中までに工事を完了する計画である。
 雨水排水施設の改修については、十四についてで述べたとおりであり、事業費は、約三十六億円を見込んでいる。
 さらに、米側より追加的な補修事業の要望を受けて、現在、補修内容を検討するため老朽度調査を行っているところであるが、補修内容については今後米側と協議されることから現時点でその詳細をお答えすることは困難である。
 また、お尋ねの「性能や機能の向上」の趣旨が必ずしも明らかではないが、補修事業は、同飛行場の安全な運用の維持等を図る上で必要最小限の補修を行うものである。
 補修事業の実施により、どの程度耐用年数が向上するかについては、建物、工作物等の種目、構造等ごとに異なるため一概には申し上げられない。

二十について

 お尋ねの「日米両政府の約束であった「五年以内の普天間飛行場の閉鎖」」が何を指すのか必ずしも明らかではないが、仲井眞沖縄県知事(当時)から要望のあった「普天間飛行場の五年以内運用停止」については、政府としても、普天間飛行場のキャンプ・シュワブ辺野古崎地区及びこれに隣接する水域への移設に必要な埋立承認を得て工事を進める中で、特に、移設されるまでの間の同飛行場の危険性の除去を中心とした負担軽減は極めて重要な課題であるとの認識の下、米国をはじめ、相手のあることではあるが、できることは全て行うという姿勢で取り組んできている。
 平成二十七年十月に翁長沖縄県知事が埋立承認を取り消すなど、同飛行場の移設をめぐる状況は、当時と変化しているところであるが、政府としては、引き続き、同飛行場の移設について地元の御協力が得られることを前提に、相手のあることではあるが、できることは全て行うとの方針の下、取り組んでいく考えである。
 他方、お尋ねの「平成二十八年十一月時点での普天間飛行場の閉鎖・返還の時期の見通し」については、九及び十六についてで述べたとおり、同飛行場は、返還条件が満たされ、返還のための必要な手続が完了した後、平成三十四年度又はその後に返還可能とされている。



経過へ | 質問本文(HTML)へ | 質問本文(PDF)へ | 答弁本文(PDF)へ
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.