答弁本文情報
平成二十九年二月十日受領答弁第四一号
内閣衆質一九三第四一号
平成二十九年二月十日
衆議院議長 大島理森 殿
衆議院議員逢坂誠二君提出二〇二〇年度のプライマリーバランス黒字化に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員逢坂誠二君提出二〇二〇年度のプライマリーバランス黒字化に関する質問に対する答弁書
一及び十一について
「中長期の経済財政に関する試算」(平成二十九年一月二十五日経済財政諮問会議提出。以下「一月試算」という。)においては、経済再生ケースとして、デフレ脱却・経済再生に向けた経済財政政策の効果が着実に発現することで、日本経済がデフレ前のパフォーマンスを取り戻す姿を試算する一方、ベースラインケースとして、経済が足下の潜在成長率並みで将来にわたって推移する姿を試算している。これは、政府の掲げる経済再生と財政健全化のこれまでの進捗状況とともに、今後、目標実現のために必要となる取組の検討に必要な基礎データを提供するため、経済再生ケースとベースラインケースの二つのケースを比較考量できるようお示ししているものである。
御指摘の昨年七月の「中長期の経済財政に関する試算」(平成二十八年七月二十六日経済財政諮問会議提出)では、「「経済・財政再生計画」で、集中改革期間における改革努力のメルクマールとして設定した二千十八年度の基礎的財政収支赤字対GDP比▲一%程度の目安について、二千十七年度予算の姿も見極めつつ、過度な歳出抑制にならぬよう、消費税率再引上げの二千十九年十月への延期の影響に関し点検・適切な対応を行うこととしている」としており、「中間評価への影響に言及しなかった」との御指摘は当たらない。
一月試算の経済再生ケースにおいては、国・地方の基礎的財政収支の対GDP比の改善が進むとともに、低金利の効果もあり、公債等残高対GDP比は低下していく姿となっている。
お尋ねの「二〇二六年度以降の公債等残高の対GDP比率」については、試算を行っていないため、お答えすることは困難である。
一月試算の経済再生ケースにおいて、名目GDPが二千二十年度に六百兆円、二千二十四年度に七百兆円を上回るのは、日本経済がデフレ前のパフォーマンスを取り戻すことで、中長期的に名目GDP成長率が三パーセント以上で推移する姿となっているためである。
お尋ねの「国際社会にも公約した」の意味するところが必ずしも明らかではないが、政府としては、二千十年のG20トロント・サミット以降、国際会議の場で、二千二十年度の国・地方のプライマリーバランスの黒字化に向けてしっかりと努力をしていくということについて、国際社会に向けて表明をしてきたところである。
「経済財政運営と改革の基本方針二〇一五」(平成二十七年六月三十日閣議決定)に盛り込まれた「経済・財政再生計画」(以下「経済・財政再生計画」という。)においては、「集中改革期間における改革努力のメルクマールとして、二千十八年度(平成三十年度)のPB赤字の対GDP比▲一%程度を目安とする」こととしている。
その後、消費税率の再引上げを二千十九年十月に延期することとされたことから、中間評価に当たっては、こうした影響を踏まえる必要がある。
また、中間評価により、必要な場合は、デフレ脱却・経済再生を堅持する中で、歳出、歳入の追加措置等を検討していくこととなる。
我が国の財政は、極めて厳しい状況にあり、デフレ脱却・経済再生を図りつつ、その持続可能性を確保することが重要である。
これまでも、社会保障の改革を含め、徹底的な重点化、効率化など歳出削減にも取り組んできたところであり、この結果、社会保障関係費については、安倍内閣発足後の二千十三年度以降の五年間において、その実質的な伸びを年平均五千億円に抑えることができるなど、歳出改革の取組は着実に成果を上げている。
政府としては、御指摘の「二〇二〇年度の基礎的財政収支の黒字化」に向けて、引き続き、「経済再生なくして財政健全化なし」との基本方針の下、経済・財政再生計画に沿って、「デフレ脱却・経済再生」、「歳出改革」、「歳入改革」を三本柱として、「経済・財政一体改革」に取り組んでまいりたい。
政府としては、「経済再生なくして財政健全化なし」との基本方針の下、六百兆円経済の実現や二千二十年度の基礎的財政収支の黒字化の実現及び債務残高の対GDP比を中長期的に着実に引き下げていくことをいずれも目指している。