答弁本文情報
平成二十九年四月七日受領答弁第一七一号
内閣衆質一九三第一七一号
平成二十九年四月七日
衆議院議長 大島理森 殿
衆議院議員逢坂誠二君提出テロ等準備罪の対象犯罪数に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員逢坂誠二君提出テロ等準備罪の対象犯罪数に関する質問に対する答弁書
一から六までについて
お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、御指摘の答弁書における「組織的な犯罪の共謀罪においては、死刑又は無期若しくは長期四年以上の懲役若しくは禁錮の刑が定められている罪を対象犯罪としているところであり、これを犯罪の内容に応じて選別することは、国際組織犯罪防止条約上できないものと考えている」との答弁は、当時国会に提出していた犯罪の国際化及び組織化並びに情報処理の高度化に対処するための刑法等の一部を改正する法律案において新設することとしていた同法律案による改正後の組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律(平成十一年法律第百三十六号)第六条の二の罪(以下「旧法律案の罪」という。)について述べたものである。すなわち、旧法律案の罪においては、国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約(以下「本条約」という。)第五条1(a)(@)に規定する行為の犯罪化について本条約上認められているオプションである「国内法上求められるときは・・・組織的な犯罪集団が関与するもの」との要件の下で、組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律(以下「組織的犯罪処罰法」という。)第二条第一項において定義された「団体」に着目して、「団体の活動として、当該行為を実行するための組織により行われるもの」及び「第三条第二項に規定する目的で行われるもの」との要件を定めていたことを前提として、本条約上対象犯罪とすべきもの、すなわち、このような「団体」が関与する全ての「重大な犯罪」として、死刑又は無期若しくは長期四年以上の懲役若しくは禁錮の刑が定められている罪一般を対象犯罪としていた旨説明していたものである。
他方、今国会に提出している組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律等の一部を改正する法律案による改正後の組織的犯罪処罰法(以下「改正後組織的犯罪処罰法」という。)第六条の二の罪においては、旧法律案の罪についての国会における御議論を踏まえ、組織的な犯罪集団とは関わりがない方々が処罰の対象とはなるものではないことが明確になるよう、右に述べた本条約上認められているオプションである「国内法上求められるときは・・・組織的な犯罪集団が関与するもの」との要件の下で、組織的犯罪処罰法第二条第一項において定義されている「団体」のうち、テロリズム集団、暴力団、薬物密売組織等の「その結合関係の基礎としての共同の目的が別表第三に掲げる罪を実行することにあるもの」を「組織的犯罪集団」と定義した上で、「組織的犯罪集団・・・の団体の活動として、当該行為を実行するための組織により行われるもの」及び「組織的犯罪集団に不正権益を得させ、又は・・・組織的犯罪集団の不正権益を維持し、若しくは拡大する目的で行われるもの」との要件を定めることとしたことを前提として、本条約上対象犯罪とすべきもの、すなわち、このような「組織的犯罪集団」が関与する全ての「重大な犯罪」として、死刑又は無期若しくは長期四年以上の懲役若しくは禁錮の刑が定められている罪のうち、「組織的犯罪集団・・・の団体の活動として、当該行為を実行するための組織により行われる」こと又は「組織的犯罪集団に不正権益を得させ、又は・・・組織的犯罪集団の不正権益を維持し、若しくは拡大する目的で行われる」ことが現実的に想定されるものを改正後組織的犯罪処罰法第六条の二の罪における対象犯罪として規定することとしたところである。このように、本条約上認められているオプションである「国内法上求められるときは・・・組織的な犯罪集団が関与するもの」との要件の下で、国内法において、「組織的な犯罪集団」の捉え方に応じて、対象犯罪を定めることは、本条約第五条1(a)(@)の規定により許容されるところであり、また、同条3の「組織的な犯罪集団の関与するすべての重大な犯罪を適用の対象とすることを確保する」との規定とも整合するものである。このようなことから、改正後組織的犯罪処罰法別表第四において列挙している罪の数は、犯罪行為の態様に着目して数えると、改正後組織的犯罪処罰法において新設することとしている改正後組織的犯罪処罰法第七条の二第二項の罪を除き、二百七十七となっている。