答弁本文情報
平成二十九年六月二十七日受領答弁第四〇九号
内閣衆質一九三第四〇九号
平成二十九年六月二十七日
衆議院議長 大島理森 殿
衆議院議員逢坂誠二君提出政府職員の通報が公益通報保護制度の対象になるか否かの基準に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員逢坂誠二君提出政府職員の通報が公益通報保護制度の対象になるか否かの基準に関する質問に対する答弁書
一について
公益通報者保護法(平成十六年法律第百二十二号)は、国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)第百条第一項の規定により課される守秘義務を解除するものではないが、公益通報者保護法第二条第三項に規定する通報対象事実(以下「通報対象事実」という。)は、犯罪行為などの反社会性が明白な行為の事実であり、国家公務員法第百条第一項に規定する「秘密」として保護するに値しないと考えられるため、そもそも、通報対象事実について、国家公務員法第二条に規定する一般職に属する職員(以下「職員」という。)が公益通報者保護法第三条各号に定める公益通報をしたとしても、国家公務員法第百条第一項の規定に違反するものではないと考えられる。
一についてでお答えしたとおり、通報対象事実について、職員が公益通報者保護法第三条各号に定める公益通報をしたとしても、国家公務員法第百条第一項の規定に違反するものではないと考えられるところであり、御指摘の「国家公務員法上の守秘義務違反を免責される事例の具体的な指針」に当たるものは存在していない。
国家公務員法第百条第一項に規定する「秘密」とは、一般に知られていない事実であって、他に知られないことについて相当の利益を有するもの、すなわち、非公知性及び秘匿の必要性の二つの要素を具備している事実をいうところ、具体的な事実が当該「秘密」に該当するかどうかは、事案に即して個別具体的に判断すべきものであるため、一概にお答えすることは困難である。
三及び四についてでお答えしたとおり、具体的な事実が国家公務員法第百条第一項に規定する「秘密」に該当するかどうかは、事案に即して個別具体的に判断すべきものであるが、当該事実が当該「秘密」に該当する場合であっても、これを漏らす行為が刑法(明治四十年法律第四十五号)第三十五条から第三十七条までのいずれかに該当する場合は、違法性が阻却されると考えられる。
御指摘の「国民の知る権利に資すること」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、一についてでお答えしたとおり、通報対象事実について、職員が公益通報者保護法第三条各号に定める公益通報をしたとしても、国家公務員法第百条第一項の規定に違反するものではないと考えられる。
なお、国家公務員法第百条第一項に規定する「秘密」に該当する事実であっても、他の法益との権衡上、これを公表しなければならない場合があることから、同条第二項において、職員又は退職者が法令による証人、鑑定人等となり、職務上の秘密に属する事項を発表するには、所轄庁の長(退職者については、その退職した官職又はこれに相当する官職の所轄庁の長)の許可を要する旨を定め、守秘義務を解除し得ることとされているところである。