答弁本文情報
平成三十年一月三十日受領答弁第一号
内閣衆質一九六第一号
平成三十年一月三十日
衆議院議長 大島理森 殿
衆議院議員逢坂誠二君提出国際NGO「核兵器廃絶国際キャンペーン」のフィン事務局長の訪日にかかわる政府の姿勢に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員逢坂誠二君提出国際NGO「核兵器廃絶国際キャンペーン」のフィン事務局長の訪日にかかわる政府の姿勢に関する質問に対する答弁書
一について
お尋ねの事実は確認できなかった。
政府としては、御指摘の安倍内閣総理大臣との面会の求めについて対応を検討したものであるが、安倍内閣総理大臣との面会が実現しなかった理由については、菅内閣官房長官が、平成三十年一月十五日午前の記者会見において、「日程の都合上、難しいということでありますし、それ以上でもそれ以下でもありません。」と述べているとおりである。今後核兵器廃絶国際キャンペーン(以下「ICAN」という。)から安倍内閣総理大臣との面会につき同様の要請があった場合には、安倍内閣総理大臣の日程等を踏まえて対応することとなる。
いずれにせよ、我が国は、ICANも推進した核兵器禁止条約が掲げる核兵器廃絶という目標を共有しており、昨年のICANによるノーベル平和賞の受賞を契機として、国際社会の核軍縮・不拡散に向けた認識や機運が高まることを喜ばしいと受け止めている。
我が国は、唯一の戦争被爆国として核兵器使用による惨禍を二度と繰り返してはならないと考え、核兵器のない平和で安全な世界の実現を目指した取組を粘り強く行ってきている。一方、北朝鮮の核・弾道ミサイル開発は、国際的な大量破壊兵器の不拡散への取組に背馳する重大な問題であるとともに、我が国の安全に対する重大かつ差し迫った脅威となっている。このような厳しい安全保障環境の下で我が国として安全保障に万全を期するためには、核を含む米国の抑止力に依存することが必要であると考えている。我が国としては、核兵器のない世界の実現に向けて、核兵器の非人道性と安全保障の二つの観点を考慮しながら、現実的かつ実践的な核軍縮のための措置を着実に積み上げていくことが重要と考えており、今後もそうした取組において、様々な立場の国々の結束を図りつつ、主導的な役割を果たしていく考えである。具体的には、核兵器の不拡散に関する条約(昭和五十一年条約第六号)を基礎とし、包括的核実験禁止条約の早期発効やいわゆる核兵器用核分裂性物質生産禁止条約(カットオフ条約)の早期交渉開始等に向け、核兵器国と非核兵器国との間の協力による現実的かつ実践的な措置を積み重ね、核兵器のない世界の実現に向けた努力を続けていく考えである。
御指摘のフィンICAN事務局長の指摘については、その具体的に意味するところが必ずしも明らかではないため、お尋ねにお答えすることは困難である。
我が国は、核兵器禁止条約が掲げる核兵器廃絶という目標は共有している。一方、同条約は、その交渉に当たりいずれの核兵器国等の参加を得られず、また、現実の国際社会における安全保障の観点を踏まえて作成されたものとはいえないことから、核兵器国のみならず、核の脅威に晒されている非核兵器国の支持を得られていない。北朝鮮の核・弾道ミサイル開発は、国際的な大量破壊兵器の不拡散への取組に背馳する重大な問題であるとともに、我が国の安全に対する重大かつ差し迫った脅威となっている。このような厳しい安全保障環境の下で我が国として安全保障に万全を期するためには、核を含む米国の抑止力に依存することが必要である。我が国としては、核兵器のない世界の実現に向けて、核兵器の非人道性と安全保障の二つの観点を考慮しながら、現実的かつ実践的な核軍縮のための措置を着実に積み上げていくことが重要であると考えている。こうした我が国の立場は、同条約の考え方とは異なるものであることから、同条約に署名する考えはない。