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答弁本文情報

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平成三十年五月二十二日受領
答弁第二九六号

  内閣衆質一九六第二九六号
  平成三十年五月二十二日
内閣総理大臣 安倍晋三

       衆議院議長 大島理森 殿

衆議院議員山井和則君提出高度プロフェッショナル制度における健康管理時間の運用や実際の労働時間との関係等に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員山井和則君提出高度プロフェッショナル制度における健康管理時間の運用や実際の労働時間との関係等に関する質問に対する答弁書



一から七まで、十二、十四及び十六について

 御指摘のような「指示」等を禁止する明文の規定はないが、いわゆる高度プロフェッショナル制度においては、対象業務は「高度の専門的知識等を必要とし、その性質上従事した時間と従事して得た成果との関連性が通常高くないと認められるものとして厚生労働省令で定める業務」であることを要件としていること、また、「使用者との間の書面その他の厚生労働省令で定める方法による合意に基づき職務が明確に定められている」ことを要件としていること、さらに、対象者は労働条件に関する一定の交渉力を有していると考えられる者として「労働契約により使用者から支払われると見込まれる賃金の額を一年間当たりの賃金の額に換算した額が基準年間平均給与額・・・の三倍の額を相当程度上回る水準として厚生労働省令で定める額以上である」ことを要件としていること、加えて、同制度の適用に当たって労働者の同意を必要としていることから、御指摘のような事態は通常想定されないものと考えている。なお、同制度の要件を満たしていない場合には、労働基準監督機関による監督指導の対象となり、また、同制度の要件を満たさない結果、労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)第三十二条又は第三十七条に違反した場合は、第百十九条第一号により、使用者が六箇月以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処される可能性がある。
 また、お尋ねの「医師の面接指導により・・・適用されますか」については、同制度の要件を満たさない場合には、同制度の対象労働者にはならない。

八について

 御指摘のような、労働者に健康管理時間を通知する明文の規定はないが、使用者が把握した労働者ごとの健康管理時間を労働者本人にどのように通知するかについては、今後、検討していく考えである。

九及び十について

 今国会に提出している働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案による改正後の労働安全衛生法(昭和四十七年法律第五十七号。以下「新安衛法」という。)第六十六条の八の四において、「事業者は、労働基準法第四十一条の二第一項の規定により労働する労働者であつて、その健康管理時間(同項第三号に規定する健康管理時間をいう。)が当該労働者の健康の保持を考慮して厚生労働省令で定める時間を超えるものに対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師による面接指導を行わなければならない」こととしているが、労働者が当該医師による面接指導を受ける義務については規定していない。したがって、労働者が当該医師による面接指導を受けないことは、いわゆる高度プロフェッショナル制度の適用に影響を及ぼすものではない。なお、同条に違反した場合は、新安衛法第百二十条第一号により、使用者が五十万円以下の罰金に処される可能性がある。

十一、十三、十九及び二十について

 いわゆる高度プロフェッショナル制度の適用要件は、「高度の専門的知識等を必要とし、その性質上従事した時間と従事して得た成果との関連性が通常高くないと認められるものとして厚生労働省令で定める業務」に従事し、「労働契約により使用者から支払われると見込まれる賃金の額を一年間当たりの賃金の額に換算した額が基準年間平均給与額・・・の三倍の額を相当程度上回る水準として厚生労働省令で定める額以上である」こと等としており、これらの要件に該当する場合に限り同制度を適用することができる。
 また、いわゆる専門業務型裁量労働制の適用要件は、労働者が「業務の性質上その遂行の方法を大幅に当該業務に従事する労働者の裁量にゆだねる必要があるため、当該業務の遂行の手段及び時間配分の決定等に関し使用者が具体的な指示をすることが困難なものとして厚生労働省令で定める業務」に従事すること等としており、これらの要件に該当する場合に限り、同制度を適用することができる。
 さらに、いわゆる企画業務型裁量労働制の適用要件は、労働者が「事業の運営に関する事項についての企画、立案、調査及び分析の業務であつて、当該業務の性質上これを適切に遂行するにはその遂行の方法を大幅に労働者の裁量にゆだねる必要があるため、当該業務の遂行の手段及び時間配分の決定等に関し使用者が具体的な指示をしないこととする業務」に従事すること等としており、これらの要件に該当する場合に限り、同制度を適用することができる。
 お尋ねの「長時間労働に歯止めがかからないのではないですか」については、一から七まで、十二、十四及び十六についてでお答えしたとおりである。

十五について

 いわゆる高度プロフェッショナル制度の対象労働者の年収要件は、「労働契約により使用者から支払われると見込まれる賃金の額を一年間当たりの賃金の額に換算した額が基準年間平均給与額・・・の三倍の額を相当程度上回る水準として厚生労働省令で定める額以上である」こととしており、労働契約において当該要件を満たさない場合には、同制度の対象労働者にはならない。

十七について

 お尋ねの「安全配慮義務」に違反するか否かについては、司法の判断によるものと考えている。

十八について

 お尋ねの「既に給与の支払い対象・・・労働していない時間として評価する」の意味するところが必ずしも明らかではないためお答えすることは困難であるが、労働者災害補償保険法(昭和二十二年法律第五十号)に基づき業務上の災害として認定するか否かについては、労働基準監督署長により、脳血管疾患及び虚血性心疾患等(負傷に起因するものを除く。)の認定基準について(平成十三年十二月十二日付け基発第一〇六三号厚生労働省労働基準局長通達)、心理的負荷による精神障害の認定基準について(平成二十三年十二月二十六日付け基発一二二六第一号厚生労働省労働基準局長通達)等に従って、個別の事例に応じて関係者への聴き取りなどの調査を実施し労働時間数を把握した上で、判断されるものである。



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