答弁本文情報
令和元年五月十七日受領答弁第一五七号
内閣衆質一九八第一五七号
令和元年五月十七日
衆議院議長 大島理森 殿
衆議院議員松原仁君提出朝鮮総連による対日有害活動等に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員松原仁君提出朝鮮総連による対日有害活動等に関する質問に対する答弁書
一について
政府としては、現時点においては、昭和四十九年六月に発生した姉弟拉致容疑事案、昭和五十三年六月に発生した元飲食店店員拉致容疑事案及び昭和五十五年六月に発生した辛光洙事件において、それぞれ朝鮮総聯傘下団体等の構成員の関与があったものと認識している。
御指摘の「朝銀信用組合の経営破綻」の原因については、金融機能の再生のための緊急措置に関する法律(平成十年法律第百三十二号)第十三条の規定に基づく金融整理管財人の報告等によれば、融資審査が不十分であったこと、法令遵守体制に問題があったこと、内部での相互牽制機能が形骸化し、不適切な経営管理が行われていたこと等が指摘されているところであり、また、預金保険機構及び株式会社整理回収機構が債権回収の一環として融資資金の過去の動きの把握に努めた結果、朝鮮総聯に対して架空の名義等を用いて融資が行われていたことが明らかとなっているところである。
お尋ねの「朝銀信用組合の経営破綻に関係して検挙された」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、平成十三年十一月、警視庁において、朝銀東京信用組合のため業務上預かり保管中の金員を着服したなどとして、朝鮮総聯の構成員らを業務上横領罪等で検挙したことがあるものと承知している。
警察庁において調査した限りでは、北朝鮮を仕出地とする覚醒剤密輸事件への朝鮮総聯等の構成員の関与は、現在のところ確認されていない。
お尋ねの「不正輸出事件」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、平成元年二月、新潟県警察において、当時の外国為替及び外国貿易管理法(昭和二十四年法律第二百二十八号)により輸出が規制されていた貨物を通商産業大臣(当時)の許可を受けずに不正に輸出しようとしたなどとして、朝鮮総聯傘下団体の構成員を同法違反等で検挙したことがあるものと承知している。
お尋ねの「科学技術によって北朝鮮を支援することを目的とする団体」としては、在日朝鮮人の科学者、技術者等で構成されており、朝鮮総聯傘下団体の一つである在日本朝鮮人科学技術協会があり、同団体については、平成十七年十月、警視庁において、薬局の開設等の許可を受けずに医薬品を販売したなどとして、同団体の構成員を当時の薬事法(昭和三十五年法律第百四十五号)違反で検挙したことがあるものと承知している。
お尋ねの「朝鮮総連傘下団体の税理士法違反事件」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、平成二十年十一月及び十二月、警視庁において、税理士ではなく、また、税理士法(昭和二十六年法律第二百三十七号)に別段の定めがある場合ではないにもかかわらず、税理士業務を行ったとして、朝鮮総聯傘下団体の構成員らを同法違反で検挙したことがあるものと承知している。
お尋ねの「外務省へのスパイ活動」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、昭和四十二年十一月、警視庁において、外務省の事務官から秘密文書等を収集するなどした行為に関し、朝鮮総聯傘下団体の構成員らを国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)違反等で検挙したことがあるものと承知している。
お尋ねの「北朝鮮人権問題に関する集会」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、平成六年八月、大阪府警察において、「救え!北朝鮮の民衆/緊急行動ネットワーク」というグループが開催した集会を威力を用いて妨害したとして、朝鮮総聯の構成員らを威力業務妨害罪で検挙したことがあるものと承知している。
政府としては、朝鮮総聯が各界関係者に対し、その活動に対する理解を求め、北朝鮮に対する友好的な世論を醸成するため、北朝鮮の各種記念日に際して開催する祝賀会への参加を呼び掛けるなどの各種諸工作を行っているものと認識している。
政府としては、朝鮮総聯について、その前身組織である在日朝鮮統一民主戦線がこれまでに暴力主義的破壊活動を行った疑いがあるものと認識しており、また、北朝鮮とも密接な関係を有していることから、今後の情勢いかんによっては、将来、暴力主義的破壊活動を行うおそれのあることを否定し得ないものと認識している。
朝鮮総聯は、破壊活動防止法(昭和二十七年法律第二百四十号)に基づく調査対象団体である。