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令和元年十二月十三日受領
答弁第一二八号

  内閣衆質二〇〇第一二八号
  令和元年十二月十三日
内閣総理大臣 安倍晋三

       衆議院議長 大島理森 殿

衆議院議員山崎誠君提出原子力損害賠償法に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員山崎誠君提出原子力損害賠償法に関する質問に対する答弁書


一について

 原子力損害賠償・廃炉等支援機構法(平成二十三年法律第九十四号。以下「機構法」という。)第四十一条第一項に規定する要賠償額は、令和元年九月二十六日時点で、十一兆三千五百三十四億千七百万円と承知している。

二について

 お尋ねについては、「原子力災害からの福島復興の加速のための基本指針」(平成二十八年十二月二十日閣議決定。以下「基本指針」という。)における「除染・中間貯蔵施設事業の費用」は、平成二十三年三月十一日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴う原子力発電所の事故により放出された放射性物質による環境の汚染への対処に関する特別措置法(平成二十三年法律第百十号。以下「放射性物質汚染対処特措法」という。)第三十条の規定に基づく除染等の措置等の実施等に要するものであり、これらは、放射性物質汚染対処特措法第四十四条の規定に基づき、原子力損害の賠償に関する法律(昭和三十六年法律第百四十七号。以下「原賠法」という。)第三条第一項の規定により関係原子力事業者(放射性物質汚染対処特措法第二条第一項に規定する関係原子力事業者をいう。)が賠償する責めに任ずべき損害に係るものとして、当該関係原子力事業者の負担の下に実施されるものである。
 また、「除染費用、中間貯蔵施設の費用は、損害賠償費用ではなく損害損失費用であり、損害保険でカバーするべき費用ではないのか」とのお尋ねについては、「損害損失費用」の意味するところが明らかではないため、お答えすることは困難である。

三について

 平成二十四年七月二十三日付けの「東京電力福島原子力発電所における事故調査・検証委員会」の最終報告により、東京電力株式会社の福島第二原子力発電所(以下「福島第二原子力発電所」という。)からの放射性物質の放出はなかったと認識しているが、原賠法第二条第二項に規定する原子力損害は、核燃料物質の原子核分裂の過程の作用又は核燃料物質等の放射線の作用若しくは毒性的作用(これらを摂取し、又は吸入することにより人体に中毒及びその続発症を及ぼすものをいう。)により生じた損害であり、放射性物質の放出の有無にかかわらず、相当因果関係がある限り、原子力損害となる場合がある。
 その上で、福島第二原子力発電所の事故に係る補償金は、原子力損害賠償補償契約に関する法律(昭和三十六年法律第百四十八号)に規定する原子力損害賠償補償契約に基づき、原子力災害対策特別措置法(平成十一年法律第百五十六号)第十五条第三項に規定する避難のための立退き等の指示等に伴う住民の避難の損害等を東京電力株式会社が賠償することにより生ずる損失に対する補償として、東京電力株式会社に支払われたものである。
 さらに、御指摘の「福島第二原発への補償金六百八十九億円」については、東京電力株式会社の福島第一原子力発電所(以下「福島第一原子力発電所」という。)の事故と福島第二原子力発電所の事故に係る避難指示区域の一部の重複、福島第二原子力発電所に係る避難指示期間、福島第一原子力発電所における事故の影響度合い等を考慮し、福島第二原子力発電所における事故に起因した避難指示等に伴う損害等について算出を行ったものである。

四について

 お尋ねの「原賠法第六条の損害賠償措置の不足額」の意味するところが必ずしも明らかではないが、原賠法第七条第一項に規定する賠償措置額として東京電力ホールディングス株式会社(以下「東京電力」という。)が受領している金額を控除した金額は、令和元年九月二十六日時点で、十一兆千六百四十四億九千三十三万円と承知している。

五から七までについて

 お尋ねの「賠償措置額千二百億円を見直さない理由」の意味するところが必ずしも明らかではないが、原賠法第七条第一項に規定する賠償措置額については、国際水準に照らして十分高い水準であること、原子力損害賠償責任保険に係る国内外の保険市場の動向に照らして引上げが困難な状況にあること等を勘案した結果、平成三十年の原賠法改正時においては、当該賠償措置額については見直しを行わないと判断したためである。
 また、お尋ねの「損害賠償措置は担保されない」及び「損害賠償措置が担保されている」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、原賠法第十六条には、原子力事業者(原賠法第二条第三項に規定する原子力事業者をいう。)が原子力損害を賠償する責めに任ずべき額が賠償措置額を超えたときに政府は援助を行うことが規定されており、同条を具体化した機構法においては、原子力損害賠償・廃炉等支援機構(以下「機構」という。)が、原子力事業者(機構法第三十八条第一項に規定する原子力事業者をいう。以下同じ。)から負担金を徴収するとともに一定期間をかけて国庫に納付することを前提に、原子力損害の賠償のための資金を交付する等の仕組みが整備されており、損害を賠償するために必要な資金は確保できることとされている。

八から十まで及び十二について

 お尋ねの「原子力財産保険」は、民間企業の経営判断に基づく私契約によるものであると承知しており、政府としてお答えする立場にない。なお、御指摘の「東電の事故炉等処理費用八兆円は、送配電事業の超過利潤を廃炉等積立金として積み立てられており、電力消費者が負担させられている」との点については、国民負担を最大限抑制する観点から、廃炉・汚染水対策は、原則として、東京電力によるグループ全体での総力を挙げた合理化等で必要な資金を確保することとしていると承知している。

十一について

 お尋ねの「原子力事業者が八兆円の負債を抱えて法的整理した場合、誰が事故処理等をする」、「原子力損害損失」及び「損害損失保険」の意味するところが明らかではないため、お答えすることは困難である。

十三の前段及び十四について

 お尋ねの「交付金」が意味するところが必ずしも明らかではないが、基本指針において「交付国債の償還費用の元本分は、原子力事業者の負担金を主な原資として、支援機構の利益の国庫納付により回収される」こととしている。また、東京電力は、機構法第四十一条第一項第一号の規定に基づいて交付された資金については、機構に対する返済の義務を負っていないが、当該返済の義務の有無にかかわらず、原子力事業者は、機構法第三十八条第一項の規定に基づき、機構に対して負担金を納付する義務を負っており、基本指針は、当該負担金を主な原資として、機構の利益の国庫納付により、交付国債の償還費用の元本分を回収する旨を定めたものである。

十三の後段について

 お尋ねの「交付金」が意味するところが必ずしも明らかではないが、「交付国債の償還費用の元本分」は、機構法第四十九条第二項の規定に基づき政府が償還した金額である。

十五について

 全ての原子力事業者が機構に対して負担金を納付する義務を定める機構法第三十八条第一項の規定は、損害賠償に備えた原子力事業者の相互扶助の考えに基づいたものであるが、福島第一原子力発電所の事故による損害を賠償する直接的な責任を東京電力以外の原子力事業者に負わせるものではないことから、「原賠法第四条(責任の集中)に抵触するのではないか」との御指摘は当たらないと考える。

十六について

 お尋ねの「負担金」の額は、機構が運営委員会の議決を経て事業年度ごとに定めることとしており、「回収は何年間になる見通しか」についてお答えすることは困難である。また、お尋ねの「原子力事業者が法的整理、統合などがされた場合、負担金の分担負担はどうなるのか」については、仮定の質問であり、お答えすることは困難である。

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