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令和二年十月二日受領
答弁第二八号

  内閣衆質二〇二第二八号
  令和二年十月二日
内閣総理大臣 菅 義偉

       衆議院議長 大島理森 殿

衆議院議員長妻昭君提出エレベーター事故の再発防止に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員長妻昭君提出エレベーター事故の再発防止に関する質問に対する答弁書


一について

 平成三十年度に建築基準法(昭和二十五年法律第二百一号)第十二条第三項の規定に基づき定期検査の結果の報告がなされたエレベーター七十万七千百七十台中、戸開走行保護装置が設置されている台数は十六万二千八百八台であり、このうち当該装置の設置が義務付けられていないエレベーターは三万五千二百七十六台であった。
 戸開走行保護装置については、建築基準法施行令(昭和二十五年政令第三百三十八号)を改正し、平成二十一年九月二十八日に、同日以降に新たに設置されるエレベーターへの設置を義務付けたほか、同日より前に設置されたエレベーターについても、設置の必要性について、あらゆる機会を捉えて所有者及び管理者に対し啓発を行うよう関係団体等へ要請するとともに、防災・安全交付金の交付等による設置の促進を図ってきたところであり、引き続きこのような取組を徹底していくことが重要と考えている。

二について

 エレベーターを適切に維持管理する責務は一義的には所有者が有していることから、製造業者から入手した保守点検に必要な情報は、所有者から保守点検業者に提供されるものと考えている。
 このため、国土交通省においては、建築基準法施行規則(昭和二十五年建設省令第四十号)を改正し、平成二十一年九月二十八日に、同日以降に新たに設置されるエレベーターの所有者が、建築確認の申請手続を通してエレベーターの保守点検の内容に係る情報を入手することとなるようにしたところである。
 また、平成二十八年に同省において作成した「昇降機の適切な維持管理に関する指針」において、全てのエレベーターを対象として、所有者及び製造業者が、エレベーターの維持管理に必要な情報の提供等の責任を製造業者が負うことを売買契約等において明確にすることを求めるとともに、所有者又は管理者(以下「所有者等」という。)が、製造業者の作成した保守点検に関する文書等を保守点検業者に閲覧させ、又は貸与することを求めており、その上でこれらの周知を図っているところである。
 さらに、同年に製造業者団体宛てに発出した通知において、全てのエレベーターを対象として、製造業者が、所有者等又は保守点検業者に対し、エレベーターの保守点検マニュアル等の技術情報を提供するとともに、所有者等又は保守点検業者が確実に最新の情報を入手可能となるよう対応することを要請しているところである。
 引き続きこのような取組を徹底し、エレベーターの適切な維持管理の推進を図ることが重要と考えている。

三について

 国土交通省においては、建築基準法施行規則の改正及び関連する告示の整備により、平成二十年四月一日から、定期検査・報告制度の検査項目及び検査方法の細分化・具体化並びに検査結果の判定基準の定量化を行うとともに、特定行政庁への報告に際し、実測データ等を記載した検査結果表や写真の添付を義務付けたところである。
 また、建築基準法第八条の趣旨に鑑み、所有者等がエレベーターの適切な維持管理を行えるよう、二についてで述べた「昇降機の適切な維持管理に関する指針」、平成二十八年に同省において作成した「エレベーター保守・点検業務標準契約書」並びに同年に所有者団体及び製造業者団体宛てに発出した通知において、日常の保守点検における標準的な点検項目、点検内容等を示すとともに、保守点検に当たって実測データ、写真等をもって報告すること、作業報告書を三年以上保存すること等を求めており、その上でこれらの周知を図っているところである。
 引き続きこのような取組を徹底し、エレベーターの適切な維持管理の推進を図ることが重要と考えている。

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