答弁本文情報
令和二年十一月十三日受領答弁第五号
内閣衆質二〇三第五号
令和二年十一月十三日
内閣総理大臣 菅 義偉
衆議院議長 大島理森 殿
衆議院議員丸山穂高君提出不在者投票制度に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員丸山穂高君提出不在者投票制度に関する質問に対する答弁書
一の1について
不在者投票の投票用紙等のオンラインによる請求については、平成二十八年に、総務省関係法令に係る行政手続等における情報通信の技術の利用に関する法律施行規則の一部を改正する省令(平成二十八年総務省令第百二号)により可能としたところであり、総務省が平成二十九年に実施した「投票環境の向上方策等の研究に向けた調査」によると、同年十月二十二日に執行された第四十八回衆議院議員総選挙において、不在者投票の投票用紙等のオンラインによる請求を可能とした選挙管理委員会の数は、四十三となっている。
また、お尋ねの「自治体が不在者投票の投票用紙のオンライン請求を導入しない具体的な課題」については、各選挙管理委員会によって様々な要因があると考えられるため、一概にお答えすることは困難であるが、例えば、同省が平成二十九年に実施した不在者投票の投票用紙等のオンラインによる請求に係る意向調査によると、不在者投票の投票用紙等のオンラインによる請求を可能とする予定がない理由として、電子申請システムを整備していないことや、不在者投票の利用者数が少ないこと等が挙げられている。
お尋ねの「自治体へ不在者投票の投票用紙などのオンライン請求の導入の支援を行うこと」については、同省において、不在者投票の投票用紙等のオンラインによる請求を可能とするために必要な事項について、質疑応答集を作成し、各選挙管理委員会に送付する等してきているところである。
一の2及び4について
お尋ねの「所在地における不在者投票において、・・・所在地選管において投票用紙を受け取り、その場で投票を行うこと」については、平成三十年八月の「投票環境の向上方策等に関する研究会」の報告を踏まえ、総務省において各選挙管理委員会の意見を聴きつつ検討したところであるが、選挙人が登録されている選挙人名簿の属する市町村の選挙管理委員会(以下「名簿登録地選管」という。)から選挙人が滞在する市町村の選挙管理委員会に通知する仕組みを設ける必要があること、当該通知後に、当該選挙人が滞在地を変更する場合、期日前投票を行う場合等の対応について検討する必要があることなど、選挙管理委員会の事務負担の増加や選挙の公正を確保すること等の課題があると承知している。
お尋ねの「投票環境の向上」や「ICTの活用」については、一の1についてで述べたとおり、まずは、平成二十八年に不在者投票の投票用紙等のオンラインによる請求を可能としたところであり、さらに、手続のオンライン化に資する選挙人名簿管理の業務プロセス・情報システムの標準化に向けて検討を進めており、引き続き、選挙の公正を確保しつつ有権者が投票しやすい環境を整備するためICTの活用等を検討してまいりたい。
一の3について
お尋ねについては、政府として把握していない。
一の5について
今国会に提出している郵便法及び民間事業者による信書の送達に関する法律の一部を改正する法律案は、郵便物の送達の方法に係る基準の緩和等を行うものであるところ、令和元年九月十日の情報通信審議会の答申において、不在者投票における選挙人から名簿登録地選管への投票用紙等の請求等に普通扱いの郵便が用いられた場合に送達日数を更に要することとなることから、「選挙人や指定施設の管理者等に、従来よりも速やかに投票用紙等を請求するように周知すること」及び「指定施設に対して、投票用紙等の送致には速達を用いるよう周知を十分に行うこと」が望ましいとされていることを踏まえ、適切に対応してまいりたい。
二の1について
お尋ねの「特定感染症」の意味するところが必ずしも明らかではないため、お答えすることは困難であるが、公職選挙法(昭和二十五年法律第百号)においては、投票日当日に当該選挙人の属する投票区の投票所において投票を行うことを原則とする一方、同法第四十一条の二第一項の規定により設けられる共通投票所における投票、同法第四十八条の二第一項の規定による期日前投票及び同法第四十九条第一項の規定による病院等における不在者投票の諸制度が整備されている。
二の2について
「郵便等投票制度の対象者について見直すことも必要ではないか」とのお尋ねについては、郵便等による不在者投票は、身体に重度の障害がある選挙人に投票の機会を与えるための例外的な投票方法であり、投票管理者や投票立会人がいない中で投票を行うものであるため、どのような者を郵便等による不在者投票の対象とするかについては、選挙の公正の確保の観点から慎重に検討する必要があるとともに、各党各会派においても御議論いただく必要があると考える。
また、公職選挙法上、お尋ねの「新型コロナウイルス感染症発症者及び濃厚接触者」の投票を禁止する規定はない。