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令和三年四月十六日受領
答弁第九一号

  内閣衆質二〇四第九一号
  令和三年四月十六日
内閣総理大臣臨時代理
国務大臣 麻生太郎

       衆議院議長 大島理森 殿

衆議院議員宮川伸君提出GABA高蓄積トマトの安全性に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員宮川伸君提出GABA高蓄積トマトの安全性に関する質問に対する答弁書


一について

 お尋ねの「これまでに日本で承認されたゲノム編集作物」の意味するところが必ずしも明らかではないが、令和三年四月十四日現在、「ゲノム編集技術応用食品及び添加物の食品衛生上の取扱要領」(令和元年九月十九日厚生労働省大臣官房生活衛生・食品安全審議官決定。以下「食品取扱要領」という。)による厚生労働省への届出が行われたゲノム編集技術応用食品及びゲノム編集技術応用添加物、「農林水産分野におけるゲノム編集技術の利用により得られた生物の生物多様性影響に関する情報提供等の具体的な手続について」(令和元年十月九日付け元消安第二七四三号農林水産省消費・安全局長通知。以下「生物利用通知」という。)による農林水産省及び環境省への情報提供が行われたゲノム編集技術の利用により得られた生物並びに「ゲノム編集飼料等の飼料安全上の取扱いについて」(令和二年二月七日付け元消安第四六〇五号農林水産省消費・安全局長通知)及び同通知の別添「ゲノム編集飼料及び飼料添加物の飼料安全上の取扱要領」(以下「飼料取扱要領」と総称する。)による農林水産省への届出が行われたゲノム編集飼料及びゲノム編集飼料添加物(以下「ゲノム編集技術応用食品等」と総称する。)は、サナテックシード株式会社が開発したグルタミン酸脱炭酸酵素遺伝子の一部を改変してGABA含有量を高めたトマト(以下「GABAトマト」という。)である。

二について

 お尋ねの「これまでに世界の市場で流通しているゲノム編集作物」の意味するところが明らかではなく、お答えすることは困難である。
 なお、ゲノム編集技術応用食品等に該当するものを把握することができる制度に関する国際的な枠組みは存在しないため、ゲノム編集技術応用食品等の流通を網羅的に把握することは困難であるが、政府としては、ゲノム編集技術応用食品等に該当するものを把握することができる制度を設けている国のうち、米国においてCalyxt,Inc.が開発したオレイン酸の含有量を高めた大豆が同国内において流通しているものと承知している。
 また、当該大豆は、令和三年四月十四日現在、食品取扱要領による厚生労働省への届出、生物利用通知による農林水産省及び環境省への情報提供並びに飼料取扱要領による農林水産省への届出が行われていないことから、政府としては、我が国においては流通していないものと考えている。

三について

 お尋ねの「現在、日本国内で遺伝子組換え作物の栽培を行っている農家」について、遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律(平成十五年法律第九十七号)第二条第二項に規定する遺伝子組換え生物等として同法第四条第一項の規定に基づき農林水産大臣及び環境大臣の承認を受けたもののうち、同法第六条第二項の規定に基づく情報の提供により我が国における栽培の状況が報告されたもの(以下「栽培の状況が報告されたもの」という。)は、令和元年度分については、サントリーホールディングス株式会社から報告された同社が開発したフラボノイド生合成経路を改変したバラであり、御指摘の「農家」の意味するところが必ずしも明らかではないが、当該バラが同社を除く生産者等により栽培されているか否かについては、把握していない。
 なお、令和三年四月十四日現在、令和二年度分及び令和三年度分については、栽培の状況が報告されたものはない。

四及び五について

 お尋ねの「遺伝子組換え作物」が遺伝子組換え食品を指すのであれば、「遺伝子組換え食品(種子植物)の安全性評価基準」(平成十六年一月二十九日食品安全委員会決定。以下「安全性評価基準」という。)の第二章の第七の「第二から第六までの事項により安全性の知見が得られていない場合に必要な事項」に該当する場合には、「急性毒性に関する試験」等に基づき、「食品としての安全性」を確認することとされている。また、お尋ねの「本トマト」がGABAトマトを指すのであれば、「動物を用いた毒性試験を行っているか」とのお尋ねについては、薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会新開発食品調査部会遺伝子組換え食品等調査会(以下「調査会」という。)での検討の結果、GABAトマトについては、自然界又は従来の品種改良技術でも起こり得る範囲の遺伝子の変化が生じているものであり、食品取扱要領に示す「届出の対象となるゲノム編集技術応用食品」に該当し、遺伝子組換え食品には該当しないと判断されたことから、安全性評価基準に基づく「急性毒性に関する試験」等を行う必要はなく、「毒性試験」の実施の有無は把握していない。

六の1及び2について

 「本トマトは全ゲノムシーケンス解析を行っているか」とのお尋ね及び御指摘の「全ゲノムシーケンス解析を行っていない場合」については、これを公にすることにより、開発者等の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあることから、お答えすることは差し控えたい。

六の3について

 お尋ねについては、仮定の質問であり、お答えすることは差し控えたい。なお、一般論としては、食品取扱要領において、「遺伝子の状況が最終的に外来の遺伝子及びその一部を含む場合は、組換えDNA技術に該当するものとして、・・・安全性審査を受ける必要がある」こととされており、四及び五についてでお答えしたとおり、安全性評価基準の第二章の第七に該当する場合には、「急性毒性に関する試験」等を行う必要がある。

七の1について

 お尋ねの「実際には何箇所のシーケンス解析が行われたのか」については、これを公にすることにより、開発者等の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあることから、お答えすることは差し控えたい。

七の2及び3について

 「これら全てにシーケンス解析をしなくてよいと政府は考えるか」及び「四塩基対のミスマッチでオフターゲットによる切断が起こらないと政府は考えるか」とのお尋ねについて、一般論としては、「ゲノム編集技術応用食品等の取扱いに関する留意事項について」(令和元年九月十九日付け薬生食基発〇九一九第二号厚生労働省医薬・生活衛生局食品基準審査課長通知)において、「確認されたDNAの変化がヒトの健康に悪影響を及ぼす新たなアレルゲンの産生及び含有する既知の毒性物質の増加を生じないことの確認」については、「オフターゲットが起こる蓋然性の高いと推定される配列について、CRISPRdirect等適切な複数の検索ツールを必要に応じて組み合わせて確認し、アレルゲンや既知の毒性物質との相同性検索等により照合し、その結果を提出すること」とされている。

八について

 「EU(欧州連合)は現時点でゲノム編集作物に対して動物を用いた毒性試験を義務付けているか」とのお尋ねについては、EUに対して調査を実施していないことから、政府として把握していない。政府としては、GABAトマトをEUに輸出するに当たっては、EUにおける「ゲノム編集作物」に係る規則に従って対応する必要があるものと考えている。

九について

 お尋ねの「社会的メリット」の意味するところが必ずしも明らかではないが、四及び五についてでお答えしたとおり、調査会での検討の結果、GABAトマトについては、自然界又は従来の品種改良技術でも起こり得る範囲の遺伝子の変化が生じているものであることから、遺伝子組換え食品と同等の安全性審査を行うことは不要であると考えている。

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