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令和四年四月八日受領
答弁第三七号

  内閣衆質二〇八第三七号
  令和四年四月八日
内閣総理大臣 岸田文雄

       衆議院議長 細田博之 殿

衆議院議員長妻昭君提出食の安全に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員長妻昭君提出食の安全に関する質問に対する答弁書


一について

 「食品表示基準Q&Aについて」(平成二十七年三月三十日付け消食表第百四十号消費者庁食品表示企画課長通知)の別添「食品表示基準Q&A」の別添「食品添加物の不使用表示に関するガイドライン」は、添加物の不使用表示に関して、消費者に誤認等を与えないよう留意が必要な具体的事項をまとめたものであり、添加物の不使用表示を一律に禁止するものではなく、食品関連事業者等が、食品表示基準(平成二十七年内閣府令第十号)第九条の規定により、一般用加工食品の容器包装に表示することが禁止されている事項(以下「表示禁止事項」という。)に該当するか否かについて、自己点検を行う際に用いることができるものとして公表しているものである。
 添加物の不使用表示については、同条に違反しない限り可能であるが、当該不使用表示が、表示禁止事項に該当するか否かは、商品の性質、消費者の知識水準、取引の実態、表示の方法、表示の対象となる内容等を踏まえて判断する必要があるため、一概にお答えすることは困難である。

二について

 御指摘の「欧米(米国又はEU)のいずれかの国で安全性の問題で使用できない食品添加物」の意味するところが必ずしも明らかではないが、御指摘の「欧米(米国又はEU)のいずれかの国」で使用できない添加物を「新たに日本で使用可能とした」かどうかについて、政府として把握していないことから、お尋ねについてお答えすることは困難である。

三の1について

 お尋ねの「臭素酸カリウムの残留基準値は零(ゼロ)ということでよいのか」及び「臭素酸カリウムが残留したケースに関して、政府には責任は無いのか」の意味するところが必ずしも明らかではないが、臭素酸カリウムは、食品衛生法(昭和二十二年法律第二百三十三号)第十三条第一項の規定に基づき定められている食品、添加物等の規格基準(昭和三十四年厚生省告示第三百七十号。以下「規格基準」という。)において「使用した臭素酸カリウムについては、最終食品の完成前に分解し、又は除去しなければならない」と規定されており、臭素酸カリウムが最終食品に残留していないことについては、同条第二項の規定に基づき、一義的には、食品又は添加物を製造し、加工し、使用し、調理し、保存し、販売し、又は輸入する者が確認する責務を負う。
 政府としては、同法第二十七条の規定に基づく届出において、使用された添加物の品名を輸入届出書に記載させた上で提出させており、提出された輸入届出書の内容について審査を行った結果、過去十年間においては、臭素酸カリウムが使用された食品の輸入届出書は提出されておらず、御指摘の「残留していないことを検査」する機会はなかった。
 また、国内の小売店等に対する同法第三十条第二項の規定に基づく監視指導は都道府県知事、保健所を設置する市の市長及び特別区の区長(以下「都道府県知事等」という。)が実施しており、政府としては、臭素酸カリウムが使用された食品の国内における検査については都道府県知事等が当該監視指導の中で実施しているものと承知しているが、お尋ねの「年間何検体、残留していないことを検査で確認しているのか」及び「臭素酸カリウムが最終商品に残留していたケース」は把握していない。
 御指摘の「臭素酸カリウムの残留を確認する検査手法」については、「食品中の臭素酸カリウム分析法について」(平成十五年三月四日付け食基発第〇三〇四〇〇一号厚生労働省医薬局食品保健部基準課長通知)で示しているところであるが、お尋ねの「このような検査ができる機関は全国で何か所あるのか」については、政府としては把握していない。
 国にあっては同法第二十三条第一項の規定に基づく輸入食品監視指導計画に基づき、適切に食品等の監視指導を行っており、都道府県、保健所を設置する市及び特別区(以下「都道府県等」という。)にあっては同法第二十四条第一項の規定に基づく都道府県等食品衛生監視指導計画に基づき、適切に監視指導がなされているものと承知しており、「残留がないことを確認する仕組みに不備がある」とは考えていない。

三の2について

 加工助剤として使用される臭素酸カリウムは、食品の加工の際に添加される添加物であって、当該食品の完成前に除去されるものであることから、食品表示基準第三条において表示が免除されている。御指摘の「臭素酸カリウムが最終商品から消滅していない事例」及び「臭素酸カリウムが残留したケース」については、適切な製造方法等の下で使用した場合に、添加物としての有効性を保ちつつ、遵守が可能なものとして設定された添加物の使用に関する基準を定めている規格基準が遵守されていない事例であり、規格基準に違反した食品が確認されたことをもって、直ちに表示を義務付け、又は食品衛生法第十二条の規定に基づく指定を取り消す必要はないと考える。
 「消費者の選ぶ権利」に関するお尋ねについては、食品表示基準が、食品を消費者が安全に摂取し、及び自主的かつ合理的に選択するために必要と認められる事項を内容とするものであるところ、臭素酸カリウムは、食品の加工の際に添加される添加物であって、当該食品の完成前に除去されるものであることから、当該事項に含めていないものである。
 お尋ねの「臭素酸カリウムのように最終商品に残留しないことが定められている他の食品添加物について、最終商品における残留が確認された事例」については、政府としては、検疫所における平成十二年四月以降の輸入食品に対する輸入時の同法の違反状況について把握しており、同年に過酸化水素、平成十三年にアセトン及び過酸化水素、平成十四年及び平成十五年に過酸化水素及び二酸化ケイ素、平成十六年から平成二十一年までに過酸化水素、平成二十二年に過酸化水素及びヘキサン並びに平成二十四年及び令和三年に二酸化ケイ素の残留を確認している。

三の3及び4について

 お尋ねの「加工助剤のうち残留が認められない物質」の意味するところが必ずしも明らかではないが、添加物のうち規格基準において、分解し、除去し、又は中和しなければならない旨が定められているものは、二十種類である。これらの添加物については、食品の加工の際に添加される添加物であって、当該食品の完成前に除去されるものであることから、食品表示基準第三条において表示が免除されている。当該添加物が最終食品に残留していないことの確認については、食品衛生法第十三条第二項の規定に基づき、一義的には、食品又は添加物を製造し、加工し、使用し、調理し、保存し、販売し、又は輸入する者が確認する責務を負う。また、国にあっては同法第二十三条第一項の規定に基づく輸入食品監視指導計画に基づき、適切に食品等の監視指導を行っており、都道府県等にあっては同法第二十四条第一項の規定に基づく都道府県等食品衛生監視指導計画に基づき、適切に監視指導がなされているものと承知している。

四の1について

 御指摘の「欧米に属する国で安全性の観点から使用が認められていない食品添加物」の意味するところが必ずしも明らかではないが、御指摘の「欧米に属する国」で使用できない添加物であって、人の健康を損なうおそれのないものとして、食品衛生法第十二条の規定に基づき「日本で使用が認められている食品添加物」としては、例えば、米国においては食用赤色二号及び英国においては臭素酸カリウムがあると承知している。
 食用赤色二号、食用赤色一〇四号及び食用赤色一〇五号については昭和二十三年七月十三日に、食用赤色一〇六号及び次亜硫酸ナトリウムについては昭和三十二年七月三十一日に、ジフェニルについては昭和四十六年二月二十六日に、人の健康を損なうおそれのない添加物として指定されたところであるが、お尋ねの「安全性はいつ、誰によって、どのように確認されたのか」について、その当時の資料が現存していないことからお答えすることは困難である。なお、食用赤色二号にあっては、平成十四年七月に、薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会毒性・添加物合同部会において、「食用赤色二号に関しましては発がん性はないだろうということで、現行どおり使用を認めるということで問題ないという結論をいただいた」とされ、次亜硫酸ナトリウムにあっては、平成十五年九月に、食品安全委員会が、食品安全基本法(平成十五年法律第四十八号)第十一条第一項に規定する食品健康影響評価(以下「食品健康影響評価」という。)の結果を取りまとめ、「薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会毒性・添加物合同部会において行われた「その安全性について現段階で新たな対応をとる必要はないと考えられる」との評価の結果は妥当」であると評価している。

四の2について

 二酸化チタンについては、昭和五十八年八月二十七日に、人の健康を損なうおそれのない添加物として指定されたところであるが、お尋ねの「安全性はいつ、誰によって、どのように確認されたのか」について、その当時の資料が現存していないことからお答えすることは困難である。

四の3について

 トランス脂肪酸の食品を通じた人の健康に及ぼす影響については、食品安全委員会において、食品健康影響評価を行い、平成二十四年三月八日に、その結果を取りまとめたところである。

四の4について

 プロピコナゾールの食品を通じた人の健康に及ぼす影響については、食品安全委員会において、食品健康影響評価を行い、直近では平成二十九年七月四日に、その結果を取りまとめたところであり、当該結果等を踏まえ、プロピコナゾールを含む農薬の登録に当たっては、農薬取締法(昭和二十三年法律第八十二号)に基づき、農薬の安全性その他の品質に関する審査を行い、農薬の使用方法を定めている。

四の5について

 我が国において使用可能な七種類のネオニコチノイド系農薬の有効成分であるアセタミプリド、イミダクロプリド、クロチアニジン、ジノテフラン、チアクロプリド、チアメトキサム及びニテンピラム(以下「アセタミプリド等」という。)の食品を通じた人の健康に及ぼす影響については、食品安全委員会において、食品健康影響評価を行い、直近では、それぞれ平成二十六年十二月十六日、平成二十八年七月十二日、平成二十六年十月七日、平成二十九年二月十四日、平成三十年十月二十三日、平成二十七年七月二十八日、平成二十八年五月十七日に、その結果を取りまとめたところであり、当該結果等を踏まえ、アセタミプリド等を含む農薬の登録に当たっては、農薬取締法に基づき、農薬の安全性その他の品質に関する審査を行い、農薬の使用方法を定めている。
 御指摘の「ネオニコチノイド系の農薬と発達障害との因果関係があると指摘する論文」の意味するところが必ずしも明らかではないが、アセタミプリド等の食品健康影響評価に当たり収集し、参照した資料においては、アセタミプリド等と発達障害との間の因果関係が確認されたとする論文はなく、政府としては、当該因果関係は確認されていないとしたものである。

五の1について

 御指摘の「その海外で使われた日本では使えない農薬」の意味するところが必ずしも明らかではないが、我が国に輸入される食品を含む食品中の残留農薬については、我が国では使用できない農薬も含め、食品衛生法第十三条の規定に基づき規制を行っている。輸入時においては、海外での検出事例等を踏まえ、農薬取締法に基づき我が国で使用できる農薬として登録されていない農薬も、モニタリング検査の対象としており、食品衛生法に違反している食品があった場合は、当該食品は廃棄等されることとなる。

五の2について

 農産物に使用した農薬の表示の義務付けに関しては、消費者における表示の必要性、事業者における表示の実行可能性及び国際整合性を踏まえて慎重に検討する必要があると考えている。

五の3について

 御指摘の「欧米で安全性の観点から使用が認められていない農薬」の意味するところが必ずしも明らかではないが、仮に、「安全性の観点」が人の健康に及ぼす影響を意味するものであるとすれば、農薬に含まれる個別の有効成分が欧州連合及び米国において使用可能なものとして登録されていない理由に関する情報が公表されているとは限らないことから、網羅的には把握できないが、我が国においては、チアクロプリドを含む農薬については、農薬取締法に基づき、科学的知見に基づく評価の結果、農薬の安全性その他の品質に問題がないものとして登録されているところ、欧州連合においては、チアクロプリドについては、登録の更新手続時に、人の健康に及ぼす影響への懸念も考慮し登録が取り消されたと承知している。

六の1について

 御指摘のように具体的物質名を事業者の判断で記載することは可能であるが、使用量が少ない香料や、嚥下を目的としないガムベース等の添加物は、通常複数の組合せによって機能を果たすことが多く、個々の成分を表示する必要性が低いことから、また、有機酸、アミノ酸等の添加物は、食品中にも常在することから、食品表示基準等においてそれらの成分の機能等を一括する名称の表示をもって物質名の表示に代えることができることとしているものである。
 「QRコードなどを利用してインターネット上に表示すべき」との御指摘については、食品の購入時に、全ての消費者が容易にインターネットに接続できる環境が整っていないため、現時点では、容器包装上の表示に代わる方式として「QRコード」等を利用してインターネット上に表示することを義務付けることは困難であると考えている。

六の2について

 御指摘の「一括名表示」については、六の1についてで述べたとおりであり、使用する添加物の数によって表示の方法が変わるものではない。お尋ねの「添加物の多用を進めてしまう弊害」については、公衆衛生の見地から必要なものに対し、規格基準において添加物の使用量及び残存量の上限が定められており、規格基準への適合性は、食品衛生法第十三条第二項の規定に基づき、一義的には、食品又は添加物を製造し、加工し、使用し、調理し、保存し、販売し、又は輸入する者が確認する責務を負う。また、国にあっては同法第二十三条第一項の規定に基づく輸入食品監視指導計画に基づき、適切に食品等の監視指導を行っており、都道府県等にあっては同法第二十四条第一項の規定に基づく都道府県等食品衛生監視指導計画に基づき、適切に監視指導がなされているものと承知している。

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