答弁本文情報
令和四年六月十四日受領答弁第八三号
内閣衆質二〇八第八三号
令和四年六月十四日
内閣総理大臣 岸田文雄
衆議院議長 細田博之 殿
衆議院議員井坂信彦君提出いじめの重大事態の認定に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員井坂信彦君提出いじめの重大事態の認定に関する質問に対する答弁書
一について
御指摘の「自己都合による不登校」の意味するところが必ずしも明らかではないが、「不登校重大事態に係る調査の指針」(平成二十八年三月文部科学省初等中等教育局作成)においては、「不登校重大事態の場合は、欠席の継続により重大事態に至ることを早期の段階で予測できる場合も多いと思われることから、重大事態に至るよりも相当前の段階から設置者に報告・相談するとともに、踏み込んだ準備作業(既に実施した定期的なアンケート調査の確認、いじめの事実確認のための関係児童生徒からの聴取の確認、指導記録の記載内容の確認など)を行う必要がある。」としているところであり、これを踏まえ、学校の設置者又は学校において、いじめ防止対策推進法(平成二十五年法律第七十一号。以下「法」という。)第二十八条第一項第二号に規定する「いじめにより当該学校に在籍する児童等が相当の期間学校を欠席することを余儀なくされている疑い」の有無を判断することとなる。
二について
法第八条において「学校及び学校の教職員は、・・・学校全体でいじめの防止及び早期発見に取り組むとともに、当該学校に在籍する児童等がいじめを受けていると思われるときは、適切かつ迅速にこれに対処する責務を有する。」と規定しており、お尋ねの「学校側が欠席日数を調整」することは適切ではないと考えている。
三について
お尋ねの「教員や学校の負担増大を目的とした長期欠席」の意味するところが必ずしも明らかではないが、法第二十八条第一項に規定する調査(以下「調査」という。)の目的等については、同項において「その事態(以下「重大事態」という。)に対処し、及び当該重大事態と同種の事態の発生の防止に資するため、・・・当該重大事態に係る事実関係を明確にするための調査を行う」と規定されていることから、お尋ねの「重大事態の調査の途中で明らかに訴えの内容と相違していると判断」される場合には、調査を終了することができる。文部科学省においては、こうした調査の目的等について、都道府県・指定都市等生徒指導担当者連絡会議等において、都道府県教育委員会等に対し周知を図っている。
四について
お尋ねの「年間三十日よりも、こちらの「一定期間の連続した欠席」を優先させる」の意味するところが必ずしも明らかではないが、法第十一条第一項に規定するいじめ防止基本方針である「いじめの防止等のための基本的な方針」(平成二十五年十月十一日文部科学大臣決定(最終改定 平成二十九年三月十四日))においては、法第二十八条第一項第二号に規定する「相当の期間」について「年間三十日を目安とする。ただし、児童生徒が一定期間、連続して欠席しているような場合には、上記目安にかかわらず、学校の設置者又は学校の判断により、迅速に調査に着手することが必要である。」としているところ、これを踏まえ、調査に着手するか否かは、学校の設置者又は学校において適切に判断すべきであり、「いじめの重大事態の調査に関するガイドライン」(平成二十九年三月文部科学省作成)において「決して、安易に、重大事態として取り扱わないことを選択するようなことがあってはならない。」としているところである。
五について
お尋ねの「補助の教員を派遣すること」の意味するところが必ずしも明らかではないが、調査を実施する学校の教員の負担軽減のため、当該学校の設置者の判断により、教員を配置することは可能である。