答弁本文情報
令和四年六月二十四日受領答弁第一二九号
内閣衆質二〇八第一二九号
令和四年六月二十四日
内閣総理大臣 岸田文雄
衆議院議長 細田博之 殿
衆議院議員宮本徹君提出「経済財政運営と改革の基本方針二〇二二」における教育費の費用負担の軽減に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員宮本徹君提出「経済財政運営と改革の基本方針二〇二二」における教育費の費用負担の軽減に関する質問に対する答弁書
一の1について
「経済財政運営と改革の基本方針二〇二二」(令和四年六月七日閣議決定。以下「骨太方針」という。)において、お尋ねの「「給付型奨学金と授業料減免」の拡大の対象となる「中間層」」については、現行の制度において支援の対象にならない所得者層のうち高所得者を除いた所得者層が想定されており、現在、具体化に向けた検討を行っているところである。
一の2及び3について
御指摘の「給付型奨学金と授業料減免」の対象を拡大することについては、骨太方針において、「給付型奨学金と授業料減免を、必要性の高い多子世帯や理工農系の学生等の中間層へ拡大する」とされているところであり、これを踏まえ、現在、支援の対象や内容の具体化に向けた検討を行っているところであり、お尋ねについて現時点においてお答えすることは困難である。
一の4について
お尋ねの「消費増税時に確保した財源の金額」の意味するところが明らかではないため、その金額についてお答えすることは困難である。
お尋ねの「実際に予算化した金額」及び「執行した実績額」については、大学等における修学の支援に関する法律(令和元年法律第八号)に基づく支援制度の令和二年度の歳出予算額は約四千八百八十二億円、同年度の支出済歳出額は約二千七百八十九億円である。
「「骨太方針」がいう「恒久的な財源」とは、既にこれを確保しながら、執行していない財源を指しているのか、又は新たな財源を検討しているのか」とのお尋ねについては、骨太方針において、「給付型奨学金と授業料減免を、必要性の高い多子世帯や理工農系の学生等の中間層へ拡大する」とされているところであり、これを踏まえ、現在、支援の対象や内容の具体化に向けた検討を行っているところであり、現時点において「中間層へ拡大する」ために必要な金額が明らかではないことから、お尋ねについてお答えすることは困難である。
一の5について
お尋ねの「高等教育も高校教育も全員無償化すべき」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、限られた財源の中で、保護者等の経済的負担を軽減する必要があると認められる者や経済的理由により極めて修学に困難がある学生等を支援する観点から、一定の所得制限を設けることが適切であると考えているところ、引き続き、意欲と能力のある者が経済的理由により進学等を断念することがないよう、高等学校段階及び高等教育段階における教育費の負担軽減に取り組んでまいりたい。
具体的には、令和四年五月十日に教育未来創造会議で取りまとめられた「我が国の未来をけん引する大学等と社会の在り方について(第一次提言)」において、「学部段階の給付型奨学金と授業料減免の中間層への拡大」が提言されたところであり、これを着実に実施していく考えである。
二の1について
骨太方針において、「在学中は授業料を徴収せず卒業後の所得に応じて納付を可能とする新たな制度を、教育費を親・子供本人・国がどのように負担すべきかという論点や本制度の国民的な理解・受け入れ可能性を十分に考慮した上で、授業料無償化の対象となっていない学生について、安定的な財源を確保しつつ本格導入することに向け検討することとし、まずは大学院段階において導入することにより、ライフイベントも踏まえた柔軟な返還・納付(出世払い)の仕組みの創設を行う」とされているところ、現在、具体化に向けた検討を行っているところであり、お尋ねについて現時点においてお答えすることは困難である。
二の2について
お尋ねの「受益者負担主義」の意味するところが必ずしも明らかではないが、「在学中は授業料を徴収せず卒業後の所得に応じて納付を可能とする新たな制度」については、骨太方針において、「教育費を親・子供本人・国がどのように負担すべきかという論点」を十分に考慮した上で検討するとされているところである。
二の3について
お尋ねの「修学支援新制度で低所得者世帯を中心に行っている授業料減免と矛盾する」の意味するところが必ずしも明らかではないが、骨太方針において、「在学中は授業料を徴収せず卒業後の所得に応じて納付を可能とする新たな制度」は、「授業料無償化の対象となっていない学生について、安定的な財源を確保しつつ本格導入することに向け検討する」としており、また、「恒久的な財源も念頭に置きつつ、給付型奨学金と授業料減免を、必要性の高い多子世帯や理工農系の学生等の中間層へ拡大する」としていることを踏まえ、高等教育の漸進的無償化の趣旨に沿った取組となるよう、現在、具体化に向けた検討を行っているところである。
三について
お尋ねの「高校教育を完全無償化している」の意味するところが明らかではないため、前段のお尋ねについて一概にお答えすることは困難である。
また、都道府県による私立高等学校に在籍する生徒に対する支援については、当該生徒の保護者の収入以外にも、当該生徒の世帯構成等、都道府県ごとに制度を利用できる対象者に関する要件が異なるため、後段のお尋ねについて一概にお答えすることは困難である。