答弁本文情報
令和五年六月二十七日受領答弁第一二〇号
内閣衆質二一一第一二〇号
令和五年六月二十七日
内閣総理大臣 岸田文雄
衆議院議長 細田博之 殿
衆議院議員中谷一馬君提出向精神薬に係る重複受診・重複投薬の適正化等に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員中谷一馬君提出向精神薬に係る重複受診・重複投薬の適正化等に関する質問に対する答弁書
一の1について
お尋ねの「薬物の不正入手」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、麻薬及び向精神薬取締法(昭和二十八年法律第十四号)第二条第三十三号に規定する向精神薬処方せんを偽造し、又は変造する行為については、同法第七十二条第四号の規定により処罰の対象とされているところ、厚生労働省においては、「カラーコピーによる偽造処方せんに関する留意事項について」(平成十一年五月十四日付け医薬企第六十一号・医薬麻第七百四十七号厚生省医薬安全局企画課長及び麻薬課長連名通知)により、薬局、医療機関等に対し、偽造され、又は変造された処方箋が発見された場合には、速やかに最寄りの警察署へ通報するとともに、最寄りの保健所、薬剤師会等へ遅滞なく情報提供を行い、被害拡大の防止に努めるよう周知しているところである。また、都道府県警察や地方厚生局の麻薬取締部においては、薬局等から偽造され、又は変造された向精神薬処方せんの発見に係る通報があった場合には、刑事事件として取り上げるべきものがあれば、必要な捜査を行うなど、適切に対処することとしている。政府としては、引き続き、同法に違反する疑いのある具体的事実に接した場合には、関係機関が連携して、厳正に対処してまいりたい。また、厚生労働省においては、向精神薬の適正使用及び医療機関における適正管理のため、同法第五十条の三十八第一項の規定に基づく麻薬取締官による薬局、医療機関等への立入検査を実施しており、その際、御指摘のいわゆる「重複受診・重複投薬」への注意喚起も行っているところである。
一の2について
お尋ねについては、向精神薬をみだりに譲り渡すことは、麻薬及び向精神薬取締法第六十六条の四の規定による処罰の対象とされているところ、政府としては、薬物乱用防止に係る啓発活動の一環として、例えば、パンフレットを作成するなどして、向精神薬を含む医薬品の過量服薬の危険性に係る注意喚起を行っているところであり、引き続き、当該注意喚起の徹底を図るとともに、「不正な転売」についても、処罰の対象となることについて周知してまいりたい。
二の1について
お尋ねの「我が国における向精神薬の処方量」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、例えば、国際連合国際麻薬統制委員会が算出し、公表している向精神薬の各国ごとの消費量のデータによれば、我が国の向精神薬の消費量は減少傾向にあるものの、G7の中でドイツ、アメリカ、フランス及びイタリアと並んで多い状況にあると承知している。その上で、同一の疾病であっても国によって社会的、文化的又は経済的な要因により異なる治療法が選択され得るため、向精神薬の消費量について一概に「他国との比較」を行うことは困難である。
二の2について
お尋ねの「注意喚起等の対策」の意味するところが必ずしも明らかではないが、例えば、向精神薬の適正使用を促進することを目的として、一部の向精神薬について、「「使用上の注意」の改訂について」(平成二十九年三月二十一日付け薬生安発〇三二一第一号厚生労働省医薬・生活衛生局安全対策課長通知)により、製造販売業者に対し、向精神薬の添付文書の重要な基本的注意欄に「連用により薬物依存を生じることがあるので、漫然とした継続投与による長期使用を避けること。本剤の投与を継続する場合には、治療上の必要性を十分に検討すること」等を記載するよう指示しているほか、多種類の向精神薬を処方した場合については、診療報酬の減算措置を行う等の取組を行ってきたところである。政府としては、今後も向精神薬の適切な処方を推進するための取組を行ってまいりたい。