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答弁本文情報

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令和六年六月十四日受領
答弁第一二〇号

  内閣衆質二一三第一二〇号
  令和六年六月十四日
内閣総理大臣臨時代理
国務大臣 林 芳正

       衆議院議長 額賀福志郎 殿

衆議院議員阿部知子君提出国民の信頼に応える医療事故調査制度への改善に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員阿部知子君提出国民の信頼に応える医療事故調査制度への改善に関する質問に対する答弁書


一の1について
  
 御指摘の「試算」は、医療法施行規則(昭和二十三年厚生省令第五十号。以下「規則」という。)第九条の二十の二第一項第十四号に規定する事故等事案の定義に基づき報告された内容等を踏まえて推計したものであり、当該事故等事案と、医療法(昭和二十三年法律第二百五号。以下「法」という。)の規定に基づき実施されている医療事故調査制度(以下「医療事故調査制度」という。)において法第六条の十第一項の規定に基づく法第六条の十五第一項の医療事故調査・支援センター(以下「センター」という。)への報告の対象とされている法第六条の十第一項に規定する医療事故(以下「医療事故」という。)とでは、その定義が異なること等から、お尋ねの「実績数と試算の数値」について、一概に比較することは困難である。

一の2について
  
 御指摘の「この状況を放置したまま」の意味するところが明らかではないが、いずれにせよ、医療事故調査制度は、法及び規則の規定等に基づき、医療機関が医療事故に該当するか否かを自主的に判断し、自ら医療事故の原因を明らかにするために必要な調査(以下「医療事故調査」という。)を行う仕組みであり、医療事故に該当するか否かについては、各医療機関において、当該医療機関内での調査や検証等を踏まえて適切に判断されているものと承知しているところ、医療機関において提供される医療の内容は、その特性や専門性等に応じて様々であることから、御指摘のように「大規模な医療機関ほど多数の症例を扱うことから事故事例も多い」とは一概に言えず、また、御指摘のように「一例も医療事故に該当する事例がないのはいかにも不自然」とは考えておらず、「積極的に医療安全に取り組んでいる医療機関とそうでないところとの格差は一目瞭然」及び「制度として機能していないことは歴然」との御指摘は当たらないと考えている。

一の3について
  
 一の2についてで述べたとおり、医療事故に該当するか否かについては、各医療機関において適切に判断されているものと承知しているところ、御指摘のような「体制が整備された」特定機能病院についても同様であり、必ずしも御指摘のように「事故報告ゼロはあり得ない」ものではないと考えている。

一の4について
  
 一の2についてで述べたとおり、医療事故調査制度は、法及び規則の規定等に基づき、医療機関が医療事故に該当するか否かを自主的に判断し、医療事故調査を行う仕組みであり、御指摘のように「センターで合議を行い「医療事故」として報告を推奨すると助言した」事例であっても、最終的に医療事故に該当するか否かについては、各医療機関において、当該助言に加え、当該医療機関内での調査や検証等を踏まえて適切に判断されているものと承知しており、「報告すべき事例が報告されていない実態が端的に示された」との御指摘は当たらないものと考えている。

一の5について
  
 御指摘の「センター」の「公正性・透明性の保持」の意味するところが必ずしも明らかではないが、一の2について及び一の4についてで述べたとおり、医療事故調査制度は、法及び規則の規定等に基づき、医療機関が医療事故に該当するか否かを自主的に判断し、医療事故調査を行う仕組みであるが、「医療法施行規則の一部を改正する省令の施行に伴う留意事項等について」(平成二十八年六月二十四日付け医政総発〇六二四第一号厚生労働省医政局総務課長通知)において、遺族から医療事故が発生したのではないかという申出があり、医療機関が医療事故には該当しないと判断した場合には、遺族に対してその理由を分かりやすく説明することとしているところ、医療機関において適切な対応が行われるよう、引き続き、同通知の内容について必要な周知を図っていくことが重要であると考えており、御指摘のような「センターが調査を開始できる制度を創設する」といった「センターの機能強化」については、医療事故調査制度の趣旨にも照らして、慎重に検討すべきものと考えている。

二の1について
  
 医療事故の再発防止に関する普及啓発を図るためには、センターにおいて、御指摘の「報告書」そのものではなく、個別事例の類型化等により集積した情報について傾向や優先順位を勘案して行った分析に基づき、全体として得られた知見を分かりやすい形で公表することが重要であると考えており、法第六条の十六第六号に掲げる業務として、センターにおいて「医療事故の再発防止に向けた提言」を公表しているところである。

二の2について
  
 医療機関において提供される医療の内容は、当該医療機関の専門性等によって全く異なるため、御指摘の「事例の公表」が、医療事故に該当するか否かについて必ずしも御指摘のように「医療機関の適切な判断に資することとなる」とは限らないことから、各医療機関において御指摘の「判断を迷うケース」も含め適切な判断が行われるよう、医療事故調査制度の趣旨・目的、医療事故の定義等の周知徹底が重要であると考えており、「地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律の一部の施行(医療事故調査制度)について」(平成二十七年五月八日付け医政発〇五〇八第一号厚生労働省医政局長通知)において医療事故の定義等について分かりやすく示すとともに、研修等を通じて医療機関への継続的な周知に努めているところであるほか、各医療機関の管理者が医療事故調査制度に関する正確な知識や理解を有していることも重要であることから、「医療事故調査制度に関する管理者向け研修への参加の推進等について(協力依頼)」(令和三年三月三日付け厚生労働省医政局総務課医療安全推進室事務連絡)等により、当該管理者に対して、研修の積極的な受講を重ねて促すとともに、とりわけ「判断を迷うケース」については、「留意すべき事項」として「医療事故調査・支援センターへの相談」や「医療法第六条の十一第二項に規定する医療事故調査等支援団体の活用」について周知しているところである。

三について
  
 御指摘の「こうした問題点に向き合い、見直す」の意味するところが明らかではないが、いずれにせよ、医療事故調査制度は、医療関係者、患者等による長い議論を経て制度化されたものであることから、現行制度を適切に運用していくことが重要であると考えており、引き続き、当該制度の適切な運用が図られるよう、その趣旨・目的等について周知徹底を図るとともに、センターが設置する医療事故調査・支援事業運営委員会への参加や、令和四年度及び令和五年度に厚生労働科学研究費補助金により実施された研究事業である「医療機関内の医療事故の機能的な報告体制の構築のための研究」を通じた運用面の改善について検討しているところであり、新たに御指摘のような「議論の場を設置」することは考えていない。

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