答弁本文情報
令和六年十一月二十二日受領答弁第五一号
内閣衆質二一五第五一号
令和六年十一月二十二日
内閣総理大臣 石破 茂
衆議院議長 額賀福志郎 殿
衆議院議員堀川あきこ君提出大学の授業料値上げと高等教育の無償化に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員堀川あきこ君提出大学の授業料値上げと高等教育の無償化に関する質問に対する答弁書
一について
お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、政府としては、例えば、大学等における修学の支援に関する法律(令和元年法律第八号。以下「大学等修学支援法」という。)に基づき、令和二年四月一日から、低所得者世帯の者に対し、大学等における授業料等減免を制度化するとともに、独立行政法人日本学生支援機構における給付型奨学金を大幅に拡充する措置を講ずる等、真に支援が必要な低所得者世帯の者に支援が行き渡るよう制度を整備したほか、「こども未来戦略」(令和五年十二月二十二日閣議決定)において、「授業料等減免及び給付型奨学金について、低所得世帯の高校生の大学進学率の向上を図るとともに、二千二十四年度から多子世帯や理工農系の学生等の中間層(世帯年収約六百万円)に拡大する。さらに、高等教育費により理想のこども数を持てない状況を払拭するため、二千二十五年度から、多子世帯の学生等については授業料等を無償とする措置等を講ずることとし、対象学生に係る学業の要件について必要な見直しを図ることを含め、早急に具体化する」及び「奨学金制度の更なる充実や授業料負担の軽減など、高等教育費の負担軽減を中心に、ライフステージを通じた経済的支援の更なる強化や若い世代の所得向上に向けた取組について、適切な見直しを行う」としており、引き続き、高等教育段階における教育費の負担軽減に取り組んでまいりたい。
二について
前段のお尋ねについては、「二〇二五年度からの授業料値上げ」及び「二〇二六年度以降の授業料値上げを検討」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、令和七年度の学士課程の入学者から授業料を改定する国立大学については、国立大学法人東京大学を把握している。また、令和八年度以降の学士課程の入学者から授業料を改定する国立大学については把握していない。
後段のお尋ねについては、「この間の国立・公立・私立大学を含め」及び「授業料値上げの検討状況」の具体的に意味するところが明らかではないため、お答えすることは困難である。
三について
前段のお尋ねについては、文部科学省としては、国立大学法人運営費交付金について、来年度予算等において、必要な予算の確保に努めてまいりたい。
後段のお尋ねについては、「増額とセット」及び「抜本的に引き下げる」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、国立大学における授業料の標準額については、令和六年五月十五日の衆議院文部科学委員会において、盛山文部科学大臣(当時)が「国が示す標準額の設定に当たっては、国立大学の役割も踏まえつつ、私立大学の授業料水準など、社会経済情勢や家計負担の状況も総合的に勘案する必要があると考えております。」と答弁したとおりである。
四の1について
お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではなく、また、大学における授業料の額の設定については、各大学の設置者において、様々な事情を考慮して判断されるものであることから、お尋ねについて一概にお答えすることは困難である。
四の2について
令和七年度概算要求における国立大学法人運営費交付金については、文部科学省において、その時点において必要と考える額を計上したところであり、引き続き、状況の変化等に応じて、毎年度、必要な予算の確保に努めてまいりたい。
四の3について
高等教育における、経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約(昭和五十四年条約第六号)第十三条2(C)に規定する無償教育の漸進的な導入(以下「漸進的無償化」という。)の具体的な方法については、加盟国がそれぞれ判断するものと認識しているところ、政府としては、一についてでお答えしたような施策を行うなどしており、中長期的には、高等教育の漸進的無償化の趣旨に沿った取組が進んでいるものと認識しているところであり、「事実上、高等教育の漸進的無償化を進める責任を放棄することではないか」との御指摘は当たらないものと考えている。
四の4について
お尋ねの「環境をつくる」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、「経常費補助二分の一を実現」することについては、現下の厳しい財政状況に鑑み、私立大学等の経常的経費に対する私立大学等経常費補助金の割合を二分の一とすることについて速やかに達成することは困難であると認識しているが、令和六年度予算においては、同補助金として約二千九百七十八億円を計上しているところである。引き続き、私立大学等の教育条件の維持・向上等を図るため、必要な助成を行ってまいりたい。なお、私立大学における授業料の額は、各大学の運営に必要な費用等を踏まえ、各大学の設置者において判断されるものである。
五の1について
お尋ねの「無償化が進学・家計に及ぼす効果」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、例えば、大学等への進学率の変動の背景には様々な要因が影響すると考えられるところ、大学等修学支援法に基づく、独立行政法人日本学生支援機構における給付型奨学金の支給や大学等における授業料減免等が、住民税非課税世帯の子供の大学等への進学率の上昇に寄与しているものと考えている。
五の2について
お尋ねの「この間」及び「基準を引き上げる」の具体的に意味するところが明らかではないため、お答えすることは困難である。
五の3について
前段のお尋ねについては、「実態把握」の具体的な対象が必ずしも明らかではないが、「給付型奨学金の学業要件で取消しとなった学生が、その後も在学し学業を継続しているか」については、現時点において網羅的に把握していないところ、今後、必要に応じ、その実態の把握について検討してまいりたい。
後段のお尋ねについては、「学ぶ権利をゆがめる」の具体的に意味するところが明らかではないため、お答えすることは困難であるが、いずれにせよ、大学等修学支援法に基づく、独立行政法人日本学生支援機構における給付型奨学金の支給や大学等における授業料減免等の対象となる学生の学業成績に係る要件については、令和六年三月二十二日の参議院文教科学委員会において、盛山文部科学大臣(当時)が「学業成績の要件につきましては、学生の社会での自立、活躍を図るという制度の目的と、支援が公費で賄われるものであるということを踏まえて設定しているものでございます。今後ともこういった要件については必要であると考えております。」と答弁したとおりである。