答弁本文情報
令和六年十二月十七日受領答弁第四八号
内閣衆質二一六第四八号
令和六年十二月十七日
内閣総理大臣 石破 茂
衆議院議長 額賀福志郎 殿
衆議院議員井坂信彦君提出クロマグロの漁獲枠拡大に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員井坂信彦君提出クロマグロの漁獲枠拡大に関する質問に対する答弁書
一について
御指摘の「増えすぎること」及び「他の魚介類の生態系への影響」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、例えば、国立研究開発法人水産研究・教育機構において実施しているくろまぐろの食性に関する調査においては、これまでのところ、くろまぐろが捕食している魚介類の資源量に与える影響を明らかに示すデータは得られていないと承知している。
二について
御指摘の「環境保護団体」が具体的に何を指すのか必ずしも明らかではないが、例えば、公益財団法人世界自然保護基金ジャパンは、令和六年七月に開催された中西部太平洋まぐろ類委員会北小委員会がくろまぐろの漁獲量の上限を引き上げることについての勧告を行ったこと等について、「「ネイチャー・ポジティブの好事例」として歓迎」、「今回の事例は、科学に基づいた資源管理をしっかり行えば水産資源は回復するという一つの証」との声明を出しており、また、例年中西部太平洋まぐろ類委員会の年次会合にオブザーバーとして参加している米国のThe Pew Charitable Trusts及びThe Ocean Foundationは、同年十一月から十二月にかけて開催された同会合において、「we continue to express concern about significant increases in Pacific bluefin tuna catch limits based on stock assessments that do not consider a wide range of uncertainty」との共同声明を出していると承知している。
三について
北太平洋まぐろ類国際科学委員会が中西部太平洋まぐろ類委員会北小委員会に提出し議論された今後のくろまぐろの資源状況の予測においては、令和六年十一月から十二月にかけて開催された中西部太平洋まぐろ類委員会年次会合において中西部太平洋まぐろ類委員会北小委員会の勧告を受けて決定された中西部太平洋におけるくろまぐろの漁獲量の上限を上回る量を漁獲した場合であっても、くろまぐろの資源の回復が続くことが示されていると承知していることから、御指摘の「クロマグロ資源量の持続可能性」の確保に支障を及ぼすおそれは低いものと考えている。
四について
令和七年以降のくろまぐろの漁獲可能量(漁業法(昭和二十四年法律第二百六十七号)第十五条第一項第一号により、農林水産大臣が資源管理基本方針(同法第十一条第一項に規定する資源管理基本方針をいう。)に即して、同条第二項第三号に規定する特定水産資源及びその管理年度ごとに定める数量をいう。)のうち、都道府県に配分する数量及び同大臣が漁獲量の管理を行うために設定する区分に配分する数量については、水産政策審議会資源管理分科会において令和六年十二月十一日に改正された「くろまぐろの漁獲可能量の配分の考え方について」において「放流等の混獲回避を行うなど漁獲枠管理の負担の大きい漁業者や獲り控えた都道府県、漁業等に対して配慮する」、特に大型のくろまぐろについては「合意が得られた増枠相当分の数量(二千八百七トン)」は「都道府県に配慮して配分する」等とされており、同月十三日、これらに従い同大臣が決定したところである。
五について
遊漁(漁港及び漁場の整備等に関する法律(昭和二十五年法律第百三十七号)第四条の二第二号に規定する遊漁をいう。以下同じ。)を行う者によるくろまぐろの採捕については、漁業法第百五十二条第一項に基づき設置される広域漁業調整委員会が同法第百二十一条第一項に基づき行う指示(以下単に「指示」という。)に基づき、その数量の管理をしているところである。今後の指示やくろまぐろの遊漁の管理の在り方については、広域漁業調整委員会の下に設置された「くろまぐろ遊漁専門部会」において、現在、審議されているところである。