答弁本文情報
令和六年十二月二十七日受領答弁第七八号
内閣衆質二一六第七八号
令和六年十二月二十七日
内閣総理大臣 石破 茂
衆議院議長 額賀福志郎 殿
衆議院議員奥野総一郎君提出農業における高温被害及び害虫被害への対策に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員奥野総一郎君提出農業における高温被害及び害虫被害への対策に関する質問に対する答弁書
一について
御指摘の「高温や害虫の大量発生」と「農業被害額」との因果関係が必ずしも明らかではないことから、お尋ねについては把握しておらず、お答えすることは困難である。
二について
御指摘の「高温被害」の「防止に関する施策」については、農林水産省においては、これまで累次にわたり、「高温に伴う農作物等の被害防止に向けた技術指導の徹底について」(令和六年八月二日付け六農産第千九百五十四号・六畜産第千五百九号農林水産省農産局農業環境対策課長・農林水産省畜産局企画課長通知)等の通知を発出し、都道府県に対して、高温による農作物等の被害を防止するための農業技術指導の徹底を図ってきており、また、令和五年度補正予算等で措置した「産地生産基盤パワーアップ事業」において遮光のための資材の導入等の高温による被害の対策に必要な経費を支援してきており、さらに、平成十九年度から毎年度、地球温暖化の影響と考えられる農業現場における農作物等の高温障害等の影響、その適応策等を「地球温暖化影響調査レポート」として取りまとめ、公表してきている。これらの施策は、農業現場において活用され、高温による被害の減少につながっているものと考えている。
また、御指摘の「害虫被害」の具体的な内容が必ずしも明らかではないが、同省においては、指定有害動植物(植物防疫法(昭和二十五年法律第百五十一号)第二十二条第一項に定める指定有害動植物をいう。以下同じ。)について、その防除を適時で経済的なものにするため、同法第二十三条第一項に定める発生予察事業により、指定有害動植物による農産物への損害の発生を予察し、これに基づく情報を農業者に提供しているほか、同法第二十二条の二第一項の規定に基づき農林水産大臣が定める「指定有害動植物の総合防除を推進するための基本的な指針」(令和四年農林水産省告示第千八百六十二号)に基づき、農業者による指定有害動植物の発生状況に応じた防除の普及推進を図っているところである。さらに、都道府県に対して、気候変動の影響による指定有害動植物の発生量の増加や発生時期の変化等に対応した、新たな防除技術等の実証や農業者に対する講習等を実施するための消費・安全対策交付金による支援を行っているところである。これらの施策により、指定有害動植物の発生及び増加の抑制並びにこれが発生した場合における駆除及びまん延の防止が図られているものと考えている。
三について
御指摘の「高温対策栽培体系への転換支援」事業については、夏に高温であった令和五年の農産物検査(農産物検査法(昭和二十六年法律第百四十四号)第二条第一項に定める農産物検査をいう。)により一等と証明された水稲うるち玄米の比率が過去最低となったこと等から、令和五年度補正予算において高温である環境に適応した品種及び栽培技術に係る資材等の導入に必要な実証に係る経費を緊急的に措置したものであり、今後は当該事業による成果の普及を促進することにより産地の高温による被害への対策を後押ししていく考えであることから、令和六年度以降の予算では同様の事業を措置していない。また、御指摘の「遮光資材」に加え、当該事業による支援の対象としていた資材等の一部については、令和六年度補正予算で措置している「産地生産基盤パワーアップ事業」において、その導入に必要な経費の支援が可能である。
四について
御指摘の「農業者が行う害虫被害防止対策やそれに付随する対応」については、令和五年度補正予算等で措置した「産地生産基盤パワーアップ事業」において、御指摘の「農薬散布による駆除」に必要な農業機械、「防虫ネット」、「遮光資材」等の導入に必要な経費を支援してきているところである。