答弁本文情報
令和六年十二月二十七日受領答弁第一〇六号
内閣衆質二一六第一〇六号
令和六年十二月二十七日
内閣総理大臣 石破 茂
衆議院議長 額賀福志郎 殿
衆議院議員松原仁君提出中国による南シナ海における不法かつ危険な行為に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員松原仁君提出中国による南シナ海における不法かつ危険な行為に関する質問に対する答弁書
一について
お尋ねについては、我が国としては、南シナ海において、地域の緊張を高める行為が繰り返されていることに対し、深刻に懸念するとともに、緊張の緩和を強く求めるという立場である。
二について
海洋法に関する国際連合条約(平成八年条約第六号。以下「国連海洋法条約」という。)においては、国連海洋法条約の規定に基づいて管轄権を有する裁判所が行う裁判は、最終的なものとし、全ての紛争当事者はこれに従うものとされており、御指摘の「平成二十八年の南シナ海に関する比中仲裁判断」は、紛争当事者である中国及びフィリピンの間において拘束力を有するものである。我が国としては、同判断を受け入れないという中国の主張は、国連海洋法条約を始めとする国際法に従った紛争の平和的解決の原則に反しており、国際社会における法の支配を損なうものであると考えており、紛争当事者が同判断に従うことにより、南シナ海における紛争の平和的解決につながることを強く期待している。
三について
政府安全保障能力強化支援(以下「OSA」という。)とは、我が国として、同志国の安全保障上の能力や抑止力の強化に貢献することにより、我が国との安全保障協力関係の強化、我が国にとって望ましい安全保障環境の創出並びに国際的な平和と安全の維持及び強化に寄与することを目的として、軍等が裨益者となる資機材供与やインフラ整備等を行うものであるところ、お尋ねのフィリピンに対するOSAについては、我が国とフィリピンとの間で、令和五年十一月に、我が国がフィリピンに対して六億円を供与することを内容とする交換公文を締結し、我が国がフィリピン海軍に対して沿岸監視レーダーシステムを供与することを決定した。さらに、令和六年十二月に、我が国がフィリピンに対して十六億円を供与することを内容とする交換公文を締結し、我が国がフィリピン海軍に対して複合艇、沿岸監視レーダーシステム等を、また、フィリピン空軍に対して警戒管制レーダーの関連機材を供与することを決定したところである。
四について
海上協同活動(以下「MCA」という。)とは、国連海洋法条約上の権利を尊重する我が国、米国、フィリピン等の同盟国・同志国が協同し、航行の自由及び上空飛行の自由を支持し、「国家安全保障戦略」(令和四年十二月十六日閣議決定)等に示した「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けた地域的及び国際的な協力を強化するための取組として、共同訓練等の活動を実施するものであるところ、我が国としては、これまでに米国、フィリピン等との間で五回の共同訓練を実施してきたところである。
五について
我が国とフィリピンは、法の支配等の基本的な価値や原則を共有しており、引き続き、OSA、MCA等を通じ、両国の安全保障協力関係の強化を着実に実施していく考えである。