答弁本文情報
令和七年三月二十五日受領答弁第一〇二号
内閣衆質二一七第一〇二号
令和七年三月二十五日
内閣総理大臣 石破 茂
衆議院議長 額賀福志郎 殿
衆議院議員鈴木庸介君提出登録有形文化財制度に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員鈴木庸介君提出登録有形文化財制度に関する質問に対する答弁書
一の1について
お尋ねの「この件数」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、御指摘の「解体等による抹消」の件数は、文化庁長官に対し、文化財保護法(昭和二十五年法律第二百十四号。以下「法」という。)第六十四条第一項に基づく建造物の解体等を行う旨の届出及び法第六十八条に基づく当該解体等を行った後の当該建造物の現状等の報告があった建造物で、当該報告の内容を踏まえ、文部科学大臣が法第五十九条第三項に基づく登録の抹消を行い、同大臣が、同条第四項に基づき、当該抹消をした旨を官報で告示したものの件数である。
一の2について
御指摘の「無届けの現状変更等」については、法第二百三条第二号において、法第六十四条第一項の規定に違反して届出を行わなかった者は、五万円以下の過料に処することとしている。
また、文化庁においては、建造物である登録有形文化財(法第五十八条第一項に規定する登録有形文化財をいう。以下同じ。)の所有者等が法に基づく届出等を適切に行うことができるよう、各種届出等に係る手続について整理した手引を作成し、同庁のウェブサイトに掲載するとともに、登録有形文化財の所有者に対し、同条第三項に基づく登録証の交付時に併せて、各種届出等に係る手続について記載したパンフレットを交付することにより、所有者等に対する現状変更の届出等の各種届出等に係る手続の周知に努めている。
さらに、登録有形文化財の所有者等による現状変更の届出等に係る書類は、法第百八十八条第一項に基づき、都道府県及び政令指定都市(以下これらを合わせて「都道府県等」という。)の教育委員会を経由して提出されるところ、同庁においては、都道府県等における建造物である登録有形文化財に関する事務が適切に実施されるよう、一年に一回、全ての都道府県等の担当者を集めた会議を開催し、各種届出等に際して都道府県等において実施する手続についての説明等を行っている。
二の1及び三の1について
法第二十七条第一項の規定による有形文化財の指定に係る制度(以下「指定制度」という。)が、重要文化財について、その所有者等に対する強い規制を前提とした手厚い保護措置を講ずるものであるのに対して、法第五十七条第一項の規定による有形文化財の登録に係る制度(以下「登録制度」という。)は、登録有形文化財について、その所有者等に対する比較的緩やかな規制を前提とした保護措置を講ずるものであり、所有者等による文化財の自主的な保護を促すものである。このような登録制度の趣旨等に鑑みて、登録有形文化財建造物修理等事業においては保存修理に係る工事を国庫補助の対象外としており、また、登録有形文化財に係る税制措置は、重要文化財に係る税制措置と比較して限定的なものとしている。
二の2及び三の2について
お尋ねについては、二の1及び三の1についてで述べたような指定制度と登録制度の相違を踏まえ、慎重に検討する必要があるものと考えている。