答弁本文情報
令和七年三月二十八日受領答弁第一一五号
内閣衆質二一七第一一五号
令和七年三月二十八日
内閣総理大臣 石破 茂
衆議院議長 額賀福志郎 殿
衆議院議員松原仁君提出畜産動物のアニマルウェルフェアに関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員松原仁君提出畜産動物のアニマルウェルフェアに関する質問に対する答弁書
一について
お尋ねの「動物保護指数」については、その詳細を把握していないため、お尋ねの「認識」について一概にお答えすることは困難であるが、動物福祉に関する国際的な民間団体である「世界動物保護協会(WAP)」が各国の動物福祉に係る法律等を評価したものであり、我が国については、産業動物の動物福祉に関して低い評価がなされたものと承知している。
二について
御指摘の「動物の愛護及び管理に関する法律(昭和四十八年法律第百五号)について、政府で「畜産動物」若しくは「産業動物」又はそれに類する条項の新設を検討したこと」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、仮に動物の愛護及び管理に関する法律(昭和四十八年法律第百五号)における「畜産動物」や「産業動物」に係る規定の新設についてのお尋ねであれば、政府としてはその新設を検討したことはなく、また、現時点において検討する予定もない。
三について
動物の愛護及び管理に関する法律第四十条第一項において、「動物を殺さなければならない場合には、できる限りその動物に苦痛を与えない方法によつてしなければならない」こととされているとともに、同条第二項において、「環境大臣は、関係行政機関の長と協議して、前項の方法に関し必要な事項を定めることができる」こととされている。この「方法」として、動物の殺処分方法に関する指針(平成七年総理府告示第四十号)において、「殺処分動物の殺処分方法は、化学的又は物理的方法により、できる限り殺処分動物に苦痛を与えない方法を用いて当該動物を意識の喪失状態にし、心機能又は肺機能を非可逆的に停止させる方法によるほか、社会的に容認されている通常の方法によること」と規定している。政府としては、この規定に従った対応がとられるよう、各都道府県等に対して通知を発出するなどしてきているところであり、引き続き、必要な取組を行ってまいりたい。
四から六までについて
国際獣疫事務局の「陸生動物衛生規約」における動物福祉に関する勧告等の国内外の情勢を踏まえて令和五年七月二十六日に農林水産省が発出した「国際獣疫事務局の陸生動物衛生規約におけるアニマルウェルフェアの国際基準を踏まえた家畜の飼養管理の推進について」(令和五年七月二十六日付け五畜産第千六十二号農林水産省畜産局長通知。以下「局長通知」という。)において、御指摘の「ケージ飼育」、「平飼い」、「放牧」、「ストール飼育」及び「繋ぎ飼い」といった個々の飼養管理の実態に応じて、「家畜の飼養者がアニマルウェルフェアの原則である「五つの自由」を理解」し行う家畜の「日々の観察や記録、丁寧な取扱い、良質な飼料や水の給与等の適正な飼養管理」を図ることとしており、具体的には、これに必要な環境の整備については、「家畜が快適に休息することができ、姿勢を正常に調整することができるなど、快適で安全なものとし、家畜本来の生態や習性に従った自然な行動がとれる機会を設けるようにすること」、「高い密度で飼養することは、損傷の発生を増やし、摂食、飲水、運動、休息等の行動に悪影響を与える可能性があることに留意する」こと、「畜舎」については、「家畜が休息するための十分なスペースが確保され、立ち上がる等の正常な行動をとれる構造であること」等と示しているところ、農林水産省としては、このような局長通知の内容について必要な周知を図っているところである。
七について
御指摘の「畜産動物(産業動物)に関するアニマルウェルフェアの向上」に向けて、政府としては、国内外の情勢を踏まえて令和五年に局長通知を発出し、「アニマルウェルフェアの定義と五つの自由」、「アニマルウェルフェアの考え方に対応した飼養管理における一般原則」等についての周知を図るとともに、これに必要となる施設の整備に取り組む農家に対する支援を行っており、引き続き、これらの取組を行ってまいりたい。