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答弁本文情報

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令和七年四月四日受領
答弁第一二一号

  内閣衆質二一七第一二一号
  令和七年四月四日
内閣総理大臣 石破 茂

       衆議院議長 額賀福志郎 殿

衆議院議員八幡愛君提出屋外広告物規制と表現の自由に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員八幡愛君提出屋外広告物規制と表現の自由に関する質問に対する答弁書


一について

 政府としては、表現の自由は、憲法で保障された基本的人権の一つであり、これを尊重することは当然のことであると考えており、また、一般論として、表現の自由が、公共の福祉のため必要な場合に、合理的な限度において制約を受けることはあり得ると考えられる。
 その上で、御指摘の「屋外広告物の内容に制限」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、御指摘の「屋外広告物法およびそれに基づく地方公共団体の条例」については、屋外広告物法(昭和二十四年法律第百八十九号。以下「法」という。)第一条の目的規定の「良好な景観を形成し、若しくは風致を維持し、又は公衆に対する危害を防止するために」、屋外広告物(法第二条第一項に規定する屋外広告物をいう。以下同じ。)の表示及び屋外広告物を掲出する物件の設置並びにこれらの維持について必要な規制を設けるものであり、公共の福祉のために、当該条例に基づき、表現の自由に対する必要かつ合理的な制限を行うことは可能であると考えられる。

二について

 御指摘の「屋外広告物条例等に基づく内容規制」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、御指摘の「屋外広告物条例」に基づく規制については、各地方公共団体において、当該条例に基づき、表現の自由に対する必要かつ合理的な制限が適切に行われているものと承知している。

三について

 御指摘の「屋外広告物の内容規制」及び「関係機関」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではなく、屋外広告物に係るお尋ねの「事例」については、政府として網羅的に把握していないが、例えば、国土交通省において把握している個別の最高裁判所の判決は、昭和四十三年十二月十八日最高裁判所大法廷判決(以下「昭和四十三年最高裁判決」という。)及び昭和六十二年三月三日最高裁判所第三小法廷判決(以下「昭和六十二年最高裁判決」という。)の二件である。
 昭和四十三年最高裁判決においては、電柱等にビラ等を貼り付けたため、大阪市屋外広告物条例(昭和三十一年大阪市条例第三十九号)違反とされた事案について、「大阪市屋外広告物条例は、屋外広告物法・・・に基づいて制定されたもので、右法律と条例の両者相待つて、大阪市における美観風致を維持し、および公衆に対する危害を防止するために、屋外広告物の表示の場所および方法ならびに屋外広告物を掲出する物件の設置および維持について必要な規制をしているのであり、本件印刷物の貼付が所論のように営利と関係のないものであるとしても、右法律および条例の規制の対象とされているものと解すべきところ・・・被告人らのした橋柱、電柱、電信柱にビラをはりつけた本件各所為のごときは、都市の美観風致を害するものとして規制の対象とされているものと認めるのを相当とする。そして、国民の文化的生活の向上を目途とする憲法の下においては、都市の美観風致を維持することは、公共の福祉を保持する所以であるから、この程度の規制は、公共の福祉のため、表現の自由に対し許された必要且つ合理的な制限と解することができる。従つて、所論の各禁止規定を憲法に違反するものということはでき」ないとの判示がされていると承知している。
 また、昭和六十二年最高裁判決においては、街路樹の支柱に政党の演説会の開催を告知する立看板を針金でくくり付けたため、大分県屋外広告物条例(昭和三十六年大分県条例第十八号)違反とされた事案について、「大分県屋外広告物条例は、屋外広告物法に基づいて制定されたもので、右法律と相俟つて、大分県における美観風致の維持及び公衆に対する危害防止の目的のために、屋外広告物の表示の場所・方法及び屋外広告物を掲出する物件の設置・維持について必要な規制をしているところ、国民の文化的生活の向上を目途とする憲法の下においては、都市の美観風致を維持することは、公共の福祉を保持する所以であり、右の程度の規制は、公共の福祉のため、表現の自由に対し許された必要かつ合理的な制限と解することができるから・・・大分県屋外広告物条例で広告物の表示を禁止されている街路樹二本の各支柱に、日本共産党の演説会開催の告知宣伝を内容とするいわゆるプラカード式ポスター各一枚を針金でくくりつけた被告人の本件所為につき、同条例三三条一号、四条一項三号の各規定を適用してこれを処罰しても憲法二一条一項に違反するものでない」との判示がされていると承知している。

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