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令和七年四月二十二日受領
答弁第一四一号

  内閣衆質二一七第一四一号
  令和七年四月二十二日
内閣総理大臣 石破 茂

       衆議院議長 額賀福志郎 殿

衆議院議員屋良朝博君提出良質な幼児教育を提供するための子ども・子育て支援制度等の改善に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員屋良朝博君提出良質な幼児教育を提供するための子ども・子育て支援制度等の改善に関する質問に対する答弁書


一について

 お尋ねについては、令和七年四月二日の衆議院厚生労働委員会において、政府参考人が「公定価格につきましては、利用児童数に基づいて配置すべき職員数が決まることから、利用児童数に応じて支払われる仕組みとなっております。・・・保育所等の利用児童数に定員割れが生じている場合などには、適切な利用定員に見直していただくことが必要だと考えております。このため、市町村におきまして、事業者との意思疎通を図り、その意向を十分に考慮しつつ、その施設での最近の実利用人員の実績あるいは今後の見込みなどを踏まえ、適切に利用定員を設定していただく、見直していただく必要があるというふうに考えております。その上で、こども家庭庁といたしましては、令和七年度の予算におきまして、定員六十人以下の保育所等に係る定員区分を従来の十人単位から五人単位に細分化したところであります。これによりまして、利用定員より利用子供数が少ない場合に生じる給付費収入の減少分を軽減することとしております。さらに、今年度から施行される見える化におきまして、経営情報の分析を行いながら、今後も適切に公定価格の設定を行ってまいりたいと考えております。」と答弁しているとおりである。

二の1について

 お尋ねについては、必要な財源の確保等と併せて、こども家庭審議会の意見も聴きながら、検討することとしている。

二の2について

 お尋ねについては、令和五年十一月十四日の参議院内閣委員会において、政府参考人が「処遇改善等加算のⅠでございますけれども、これは長く働くことができる職場を構築するためという趣旨から、職員の平均経験年数に応じて二パーセントから十二パーセントまでの加算率を増加する仕組みでございます。・・・その十一年というところで一つ段差が切れているという状況は事実でございます。ただ同時に、処遇加算のⅡというものもございます。副主任の保育士や職務別の分野リーダーなどの技能、経験に応じた処遇改善加算等のⅡも実施をしておりますので、双方併せてキャリアを正当に評価をしていくというふうな仕組みになっているところでございます。」と答弁しているところ、新たな財源の確保等に関する課題もあると考えられることから、慎重な検討が必要であると考えている。

二の3について

 お尋ねについては、特定教育・保育施設(子ども・子育て支援法(平成二十四年法律第六十五号)第二十七条第一項に規定する特定教育・保育施設をいう。以下同じ。)である御指摘の「幼稚園及び認定こども園」に係るものも含め、令和七年四月八日の衆議院地域活性化・こども政策・デジタル社会形成に関する特別委員会において、政府参考人が「これまで処遇改善等加算がⅠからⅢの三種類あったところ、現場における事務手続の簡素化の観点から、今年度より、これを処遇改善等加算として一本化するとともに、関係者の御意見も踏まえまして、配分ルールの統一化、柔軟化、そして賃金改善の確認方法の見直しを実施することとしております。この加算の一本化につきましては、自治体や保育現場の実務に影響も大きいものと考えますので、これまで関係団体に対する説明会を開催するとともに、運用の疑義への回答や自治体への申請様式の案を三月にお示ししたところでありまして、事前の周知に取り組んでまいりました。また、今後におきましても、現場目線から明確化が必要と考えられる点につきましては、様々問合せをいただいておりますので、順次FAQの形で発出をするとともに、なるべく早期にオンライン説明会も開催をして、周知をしっかり行っていきたいと考えております。」と答弁しているところ、こうした考え方に基づき、必要な対応を行っているところである。

三について

 お尋ねについては、「特定教育・保育、特別利用保育、特別利用教育、特定地域型保育、特別利用地域型保育、特定利用地域型保育及び特例保育に要する費用の額の算定に関する基準等」(平成二十七年内閣府告示第四十九号)第一条第二十一号において、「処遇改善等加算」について「施設等における職員の平均経験年数及び賃金改善の取組を踏まえた加算率により加算されるもの・・・並びに・・・施設等において技能及び経験を有する職員について追加的な賃金改善を行う場合に加算されるもの」と定めているところ、当該「技能及び経験」の評価に当たっては、「施設型給付費等に係る処遇改善等加算について」(令和七年四月十一日付けこ成保二九六・七文科初第二五〇号こども家庭庁成育局長及び文部科学省初等中等教育局長連名通知)において、「特定教育・保育施設(都道府県又は市町村が設置するものを除く。)及び特定地域型保育事業所(都道府県又は市町村が運営するものは、告示の別表に定める加算率・・・に対応するものに限る。)」を対象として、「研修を修了している」こと等を評価することとしており、また、新たな財源の確保等に関する課題もあると考えられることから、慎重な検討が必要であると考えている。なお、私立の幼稚園のうち特定教育・保育施設ではない幼稚園に対しては、令和七年度予算において、御指摘の「専修免許状」又は「一種免許状」に係る「免許状の上進に伴う処遇改善措置」を講じたところである。

四について

 お尋ねの「理由」については、令和六年四月三日の衆議院地域活性化・こども政策・デジタル社会形成に関する特別委員会において、政府参考人が「今般、四、五歳児の職員配置の改善のために、三十対一から二十五対一の職員配置を実現するための四歳以上児配置改善加算を設けました。・・・チーム保育加配加算でございますけれども、小集団のグループ教育を実施する場合に教員を加配するものでございまして、職員の配置を手厚くすることにより職員一人当たりで見る子供の数を少なくできるという趣旨、これは、今般創設しました四歳以上児配置改善加算と同じ軸にあるものと考えております。こうした中で、幼稚園や認定こども園は、定員規模に応じまして最大八人までの教員をチーム保育加配加算として加配がされており、また、これにより二十五対一以上の手厚い職員配置が実現可能というふうになっているところでございます。このため、今回、チーム保育加配加算を適用されている施設につきましては、既に二十五対一以上の手厚い配置への支援を行っていることから、併用して取得するということはしておりません。」と答弁しているとおりである。
 また、御指摘の「四歳以上児配置改善加算」と「チーム保育加配加算」の「併給」に関しては、こども家庭庁が令和六年十二月二十日に公表した「保育政策の新たな方向性~持続可能で質の高い保育を通じたこどもまんなか社会の実現へ~」(以下「保育政策の新たな方向性」という。)において、「四・五歳児、三歳児の職員配置の改善の促進」として、「加算の取得等により改善を促進するとともに、改善の状況を確認しながら、「従前の基準により運営することも妨げない」としている経過措置の取扱いを検討」と示しているところ、両者の関係の在り方について、当該「検討」を行う中で、検討を行ってまいりたい。

五について

 お尋ねについては、特定教育・保育施設である御指摘の「幼稚園及び認定こども園」に係るものも含め、令和七年四月二日の衆議院厚生労働委員会において、政府参考人が「地域区分につきましても、公務員の地域手当における地域区分に準拠することを基本としながら、他の社会保障制度との整合性を踏まえてこれまで改正してきております。・・・令和六年の人事院勧告を踏まえた保育分野の地域区分の対応につきましては、仮に今回の人事院勧告をそのまま当てはめた場合には、都道府県単位に広域化することで県内の隣接する市町村との不均衡の解消が図られる一方で、一部では、例えば、県外の隣接する市町村との差が現行よりも拡大する、このようなこととなります。このような課題がございますので、保育の地域区分につきましては、令和七年四月からの見直しは実施せず、引き続き、見直し方法について丁寧に議論を進めていくこととしたところでございます。この地域区分につきましては、これまでも、全国知事会等に参画いただいている審議会で御意見を伺っているとともに、様々な場で個別の自治体から直接御意見や御要望をお伺いしているところでございまして、引き続き、自治体を始めとする関係者の御意見を伺い、また、他の社会保障分野の動向なども注視しながら、丁寧に検討を進めてまいります。」と答弁しているところ、こうした検討の方向性に沿って、引き続き、必要な議論を行ってまいりたい。

六について

 御指摘の「市町村外に居住していることを理由とする不利益な取扱い」及び「要件緩和」の意味するところが必ずしも明らかではないが、御指摘の「広域入所」については、「児童福祉法に基づく保育所等の利用調整の取扱いについて(通知)」(平成二十七年二月三日付け府政共生第九八号・雇児発〇二〇三第三号内閣府政策統括官(共生社会政策担当)及び厚生労働省雇用均等・児童家庭局長連名通知)中の「(四)広域利用の際の利用調整の取扱いについて」において、「保育認定を受けた子どもが居住する市町村と異なる市町村に存在する保育所又は認定こども園(認定こども園については、保育認定に係る利用に限る。)の利用を希望する場合については、保護者が居住する市町村(以下「居住地市町村」という。)と施設・事業が所在する市町村(以下「所在地市町村」という。)の間の調整が必要となる。この場合は、所在地市町村において、他市町村に居住する住民の利用に関する優先度の取扱いに基づき、調整を行った上で、居住地市町村が利用のあっせんを行うこととなる。その際に、所在地市町村においては、当該保護者の保育の必要度を踏まえつつ、 ・各市町村間における住民の広域利用の実態 ・地域における待機児童の発生状況や保育所等の利用定員の状況等を勘案し、調整を行うこととする。その際、市町村間で予め調整のうえ、事業計画において広域利用を前提とした保育の提供体制の確保方策を位置づけた場合については、所在地市町村において、当該位置づけに特に配慮した調整を行うこととする。」としているところ、引き続き、これに基づき、市町村(特別区を含む。)による適切な対応を促してまいりたい。

七について

 お尋ねの「理由」については、平成二十六年三月二十八日に開催された子ども・子育て会議(第十四回)、子ども・子育て会議基準検討部会(第十八回)合同会議の資料二「公定価格・利用者負担の主な論点について」において、御指摘の「通園送迎」に係る「私学助成での取扱いや実費徴収との関係」について「保育認定を受ける子どもの通園送迎に係る費用については、幼稚園と比較してその実施状況は低く(幼稚園五十・八パーセント、保育所六・七パーセント)、従来より実費徴収としての整理が行われていることから、これまでと同様の整理」とすることが確認されたことによるものであり、また、「二号認定子ども及び三号認定子どもについても加算すべき」とのお尋ねについては、こうした経緯に鑑み、また、新たな財源の確保等に関する課題もあると考えられることから、慎重な検討が必要であると考えている。

八の1について

 お尋ねについては、例えば、令和七年度予算において、「子ども・子育て支援交付金交付要綱」(令和五年九月七日付け(令和七年四月三日最終改正)こ成事第四八一号こども家庭庁長官通知別紙)に定める「幼稚園型Ⅰ」の「在籍園児分・・・(児童一人当たり日額)」について、前年度に比べ、「年間延べ利用児童数二千人超の施設」における、「平日」及び「長期休業日(八時間未満)」について四十円引き上げ、また、「長期休業日(八時間以上)」について八十円引き上げたところであり、引き続き、必要な対応を図ってまいりたい。

八の2について

 御指摘の「加算が適用されているものの不十分」の意味するところが必ずしも明らかではないが、「一時預かり事業実施要綱」(令和六年三月三十日付け五文科初第二五九二号・こ成保第一九一号(令和七年三月三十一日最終改正)文部科学省初等中等教育局長及びこども家庭庁成育局長連名通知別紙)において、「特別支援児童加算」として、「職員配置基準に基づく職員配置以上に加配が必要な障害児や、多胎育児家庭の育児疲れ等による心理的・身体的負担の軽減を図るために多胎児・・・を預かる施設に対し、・・・加算を適用する」こととしているところ、令和七年度予算において、当該加算の単価について、前年度に比べ三百円引き上げたところであり、引き続き、必要な対応を図ってまいりたい。

八の3について

 お尋ねについては、各年度の予算編成過程において検討し、適切に対応してまいりたい。

九について

 お尋ねについては、例えば、「幼児教育の質の向上のためのICT化支援について」(令和七年二月七日付け文部科学省初等中等教育局幼児教育課事務連絡別紙四)において、「保育DXの推進等を踏まえ、幼稚園等における教員等の業務負担軽減に資するシステム導入や端末の購入等に必要な経費に対する補助を行う」こととしており、文部科学省が令和五年度に実施した「幼児教育実態調査」によれば、「ICTの使用状況」として、「園の運営等に関する内部業務(指導要録の記入や指導計画の作成など)」に使用している「園」の数は、「幼稚園」については「幼稚園全体(八千七園)」のうち六千二百八十、「幼保連携型認定こども園」については「幼保連携型認定こども園全体(六千六百七十三園)」のうち五千六百四となっており、引き続き、当該調査結果等を踏まえながら、適切な支援を行ってまいりたい。

十について

 お尋ねについては、例えば、直近では、文部科学省及びこども家庭庁において、各都道府県に対して、「各都道府県における処遇改善等加算Ⅱに係る研修実施主体の認定状況に関する調査の実施について」(令和七年二月二十六日付け文部科学省初等中等教育局幼児教育課新制度・人材確保支援担当並びにこども家庭庁成育局保育政策課公定価格担当室及び成育基盤企画課連名事務連絡)を発出し、御指摘の「処遇改善等加算Ⅱ」に係る研修の「実施者から研修実施主体としての認定の申請があった場合には、改めて、積極的に認定」するよう促したところであり、引き続き、働きかけを行ってまいりたい。

十一について

 お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、御指摘の「就学前教育・保育施設整備交付金」については、保育政策の新たな方向性において、「地域が抱える課題や保育の将来像を踏まえた、保育提供体制の確保のための「実施計画」(今後の保育ニーズの動向を踏まえた整備等の計画)を国へ提出する自治体に対して必要な財政支援を行う」と示しているところ、令和七年度予算においては、当該自治体に対する、認定こども園等の整備に係る費用に対する補助の基準額について、当該費用の二分の一に相当する額から三分の二に相当する額に引き上げたところであり、引き続き、必要な支援を行ってまいりたい。

十二について

 お尋ねについては、例えば、文部科学省において、「幼児教育に関する大規模縦断調査事業公募要領」(令和五年二月二十七日文部科学省初等中等教育局幼児教育課)に基づき、「幼児教育に関する大規模縦断調査事業」について、国立大学法人東京大学に委託して実施しているところ、現在、同大学において、同公募要領に基づき、「日本全体における特色や傾向などを明らかにすることが可能となるよう、」「幼児教育に関する大規模な長期的縦断調査として、五歳児を対象に五年間の追跡調査を行い、幼児期の環境や体験、学びがその後の認知能力や非認知能力等に与える影響を分析」しているところである。

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