答弁本文情報
令和七年四月二十二日受領答弁第一四二号
内閣衆質二一七第一四二号
令和七年四月二十二日
内閣総理大臣 石破 茂
衆議院議長 額賀福志郎 殿
衆議院議員屋良朝博君提出幼稚園等の体制及び施設の整備支援に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員屋良朝博君提出幼稚園等の体制及び施設の整備支援に関する質問に対する答弁書
一の1について
お尋ねの「大学等を通じたキャリア形成支援による幼児教育の「職」の魅力向上・発信事業」(以下「魅力向上事業」という。)の「取組の現状」については、大学等を幼稚園教諭等のキャリア形成の支援の拠点として、中学生及び高校生を対象とした出前授業の開催等を通じた現場の魅力の発信、大学生のキャリア形成の支援のためのシンポジウムの開催、現職の幼稚園教諭の職場定着や離職者の円滑な復職支援のための取組等を行っているところである。また、幼稚園教諭等の雇用の動向については、様々な要因が影響していると考えられることから、魅力向上事業が「人材の供給に与えた影響」については、一概にお答えすることは困難である。
一の2について
御指摘の「経営を圧迫」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、幼稚園等において、職業紹介事業者等を利用する例があることは承知しており、政府としては、幼稚園等における適正な職業紹介事業者等の利用を促すため、「「職業安定法施行規則の一部を改正する省令」等の公布に伴う雇用仲介事業利用にあたっての留意事項等の周知協力依頼について」(令和六年十一月二十六日付け厚生労働省職業安定局需給調整事業課長等事務連絡)において、幼稚園等に対して職業紹介事業者等を利用する際の注意点等を周知しているところである。
一の3のアについて
お尋ねについては、例えば、文部科学省において令和元年度に東京都私立幼稚園連合会に委託して行った調査研究である「幼稚園の人材確保支援事業」によると、「教員の主な離職理由」として、「結婚・出産」、「ストレス」、「人間関係」等が挙げられている。
一の3のイについて
お尋ねの「人材の定着」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、文部科学省においては、例えば、令和五年度から魅力向上事業を実施しているところであり、若手の幼稚園教諭が悩みについて教員養成課程を有する大学等の教授に相談できる機会の提供、現職の幼稚園教諭が教諭としてのキャリアを確立するために必要な知識及び技能を体系的に身に付けられる機会の提供等、幼稚園教諭の職場定着を支援する取組を行っている。
二について
御指摘の「公開保育を活用した幼児教育の質向上システム(ECEQ)」については、個別の団体における取組であり、その評価について、政府として見解を述べることは差し控えたいが、令和元年度に当時の公益財団法人全日本私立幼稚園幼児教育研究機構が実施した御指摘の「文部科学省委託調査」においては、その有用性と課題が報告されている。
三について
御指摘の「幼稚園における学級編制の基準を、原則三十五人以下から原則三十人以下に引き下げる」ことについては、文部科学省において、現在その具体的な内容について検討を進めているところであり、現時点において、お尋ねについてお答えすることは困難である。
四の1について
御指摘の「幼児教育の学び強化事業」については、令和七年度予算において、調査研究に必要な経費を計上しているが、現時点では当該調査研究の具体的な内容は決まっていないため、お尋ねについてお答えすることは困難である。
四の2について
お尋ねの「より具体的かつ直接的な支援」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、「障害のある幼児等の受入れ」に対する支援については、政府において、その実施主体である都道府県等による補助の実績や効果等を踏まえ、必要に応じて適切に対応してまいりたい。
五について
お尋ねの「心のケアの担い手」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、幼稚園教諭等に対しては、教育職員免許法施行規則(昭和二十九年文部省令第二十六号)第二条第一項において、普通免許状の授与を受けるに当たって修得が必要な科目に含めることが必要な事項として、「教育相談(カウンセリングに関する基礎的な知識を含む。)の理論及び方法」を規定し、幼児の発達の状況に即しつつ、個々の心理的な特質や教育的課題を適切に捉え、支援するために必要な基礎知識を身に付けさせることとしている。
また、政府としては、「緊急スクールカウンセラー等活用事業交付金」において、被災した幼児等の心のケア、教職員や保護者等への助言・援助等を行うため、公立の幼稚園等にスクールカウンセラー等を緊急的に配置するために必要な経費を補助するとともに、「私立高等学校等経常費助成費補助金」において、私立の幼稚園等におけるスクールカウンセラーの活用等に係る経費の一部を補助しているところである。
六について
お尋ねの「要因」については、例えば、工事費の高騰や資材の不足により、私立の幼稚園において補助の対象となる事業を実施することが困難となったこと等が考えられる。文部科学省においては、幼稚園における早期の事業着手を可能とするため、「私立学校施設整備費補助金」への申請の時期を見直す等の運用改善等の対策を行っているところであり、予算の執行に当たっては、効果的かつ効率的な執行となるよう、引き続き努めてまいりたい。
七について
お尋ねの「原因」については、例えば、令和五年度予算において、御指摘の「遊具、運動用具、教具等」の整備のほかに、新型コロナウイルス感染症対策を実施するために必要となる衛生用品等の購入等についても、これらに対する支援に必要な経費を計上していたが、同年度に、新型コロナウイルス感染症が感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(平成十年法律第百十四号)第六条第六項に規定する五類感染症とされたことにより、補助の対象となる事業の実施数が減少したこと等が考えられる。令和七年度予算においては、新型コロナウイルス感染症対策のみを目的とした支援に必要な経費は計上していないが、令和八年度以降については、補助の申請の状況を十分に考慮しながら、各年度の予算編成過程において検討し、適切に対応してまいりたい。
八について
幼稚園等において、情報端末の整備、保護者との連絡や情報共有を行うためのアプリの導入及び教職員に対するこれらのICTの活用に係る研修を行う場合には、「教育支援体制整備事業費交付金」による支援を行っている。