答弁本文情報
令和七年五月九日受領答弁第一六〇号
内閣衆質二一七第一六〇号
令和七年五月九日
内閣総理大臣 石破 茂
衆議院議長 額賀福志郎 殿
衆議院議員井坂信彦君提出山林火災の消火活動に海水を利用することに関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員井坂信彦君提出山林火災の消火活動に海水を利用することに関する質問に対する答弁書
一について
御指摘の「山林火災等」及び「危険や環境への影響」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、林野火災(「火災報告取扱要領の全部改正について(通知)」(平成六年四月二十一日付け消防災第百号消防庁長官通知)において「森林、原野又は牧野が焼損した火災をいう。」と定義している「林野火災」をいう。以下同じ。)の消火活動において、「海水を散布する判断」については、消防水利等の現場の状況に応じて現場の指揮をとる者が行っている。
二について
林野火災の消火活動において、「海水を散布」することについては、御指摘の「岩手県林業技術センター」による「海水が散布された森林土壌について」の「調査」において「山火事跡地周辺の残存木の生残や山火事跡地への復旧造林について問題はない」とされており、また、「海水を利用した林野火災の空中消火に関する調査報告書」(平成十年三月自治省消防庁消防研究所及び農林水産省林野庁森林総合研究所作成)において「海水の空中散布は、内陸部の樹林地に適用しても大きな問題はないとも考えられる」とされていることから、山林への影響は少ないと考えている。また、農地への影響については、当該農地の土壌の塩分濃度によっては、土壌の排水性、保水性等が変化する可能性があると考えている。
三について
林野火災の消火活動において、「海水を散布」した場合の生態系への影響については把握していないが、二についてでお答えした山林への影響を踏まえ、特段の懸念を有しているものではない。
四について
御指摘の「その土地の復興」の意味するところが必ずしも明らかではないが、仮に林野火災の被害を受けた森林において、その消火活動に当たり、「海水を散布」したことにより森林が枯損するといった塩害等の被害が出た場合には、国や地方公共団体等が復旧を行うものと考えている。
五について
林野火災の消火活動において「海水の散布」を行った場合の山林及び生態系への影響については、二について及び三についてで述べたとおりであり、御指摘の「今回の大船渡市の山林火災」について、「環境や生態系に与える影響」について調査が必要であるとまでは考えていない。
六について
林野火災の消火活動については、その状況が様々であると考えられることから、「海水の散布」については、消防水利等の現場の状況に応じて現場の指揮をとる者が判断すべきものと考えており、お尋ねの「条件やガイドライン」を一律に示すことは困難であると考えている。