答弁本文情報
令和七年六月二十七日受領答弁第二九〇号
内閣衆質二一七第二九〇号
令和七年六月二十七日
内閣総理大臣 石破 茂
衆議院議長 額賀福志郎 殿
衆議院議員井坂信彦君提出キャリアアップ助成金制度の変更に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員井坂信彦君提出キャリアアップ助成金制度の変更に関する質問に対する答弁書
一及び三について
御指摘のように「新規学卒者」について「中小企業の雇い控えにつながったり、または雇い入れた者の待遇改善を遅らせることになる」かどうか及び「企業側が有期雇用労働者の正規雇用化を遅らせる原因になる」かどうかについては、事業主が雇用保険法施行規則(昭和五十年労働省令第三号)第百十八条の二第二項に規定するキャリアアップ助成金の正社員化コース助成金(以下「本助成金」という。)を利用するかどうかも含め、個別具体的な事案に応じて判断されるものであり、一概にお答えすることは困難である。
二について
御指摘の「助成金目当ての不適切なものが少なくない」かどうかについては承知していないが、いずれにせよ、令和七年四月一日に行った「新規学卒者」について「雇い入れられた日から起算して一年未満の者については、支給対象者から除外」することとした本助成金の支給要件の見直しの趣旨については、「キャリアアップ助成金の実施等に係る留意事項について」(令和七年四月一日付け雇均有発〇四〇一第一号・職障発〇四〇一第二号厚生労働省雇用環境・均等局有期・短時間労働課長及び職業安定局障害者雇用対策課長連名通知)において、「新規学卒者について、本来正規雇用労働者として雇い入れることができるにもかかわらず、試用期間的に半年間非正規雇用労働者として雇用し、正社員化コースの申請をするといった、本助成金の趣旨と離れた活用例があるとの指摘があることを踏まえた対応」と示しているとおりである。
四について
御指摘の「三年以上にわたって有期雇用となっている者は、そもそも本人が正規雇用転換を望まない場合が多い」及び「勤続三年未満の者」が「一番雇い止めをされやすい」かどうかについては承知していないが、令和七年四月一日に行った「有期雇用労働者」について「重点支援対象者と重点支援対象者以外に分類」することとした本助成金の支給要件の見直しの趣旨については、正規雇用労働者として雇用される機会が十分になかった者として、雇用保険法施行規則第百十八条の二第二項第一号ハ(2)に基づき、「勤続三年未満の者」のうち雇入れの日の前日から起算して過去五年間に正規雇用労働者として雇用された期間を通算した期間が一年以下であり、かつ、雇入れの日の前日から起算して過去一年間に正規雇用労働者として雇用されたことがない者に対し御指摘の「正規雇用転換」の措置を講じた事業主を重点的に支援するためのものであるところ、「勤続一年未満の者」であることのみをもって重点的に支援する対象とすることは考えていない。
五について
御指摘の「猶予期間を設けずに行われた」の意味するところが必ずしも明らかではないが、本助成金の見直しに当たっては、雇用保険法施行規則の改正案についてパブリックコメントを実施し、広く国民から意見を聴取するとともに、当該見直し後の本助成金の支給要件等について、厚生労働省のホームページ等において速やかに周知を行ってきたほか、令和七年四月一日よりも前に本助成金の支給要件を満たした事業主に対しては、従前の金額により本助成金を支給することを可能とする経過措置を講じており、御指摘の「救済措置」を講ずることは考えていない。
六について
お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、いずれにせよ、令和七年四月一日に行った本助成金の支給要件の見直しの趣旨については、二について及び四についてで述べたとおりであり、御指摘の「令和七年度の支給要領」の「冒頭の趣旨の部分」に合致するものである。
七について
本助成金の支給要件の見直しにより「正規雇用化が減速、停滞」することを前提とした仮定のお尋ねにお答えすることは差し控えたいが、いずれにせよ、厚生労働省において、引き続き、雇用保険法施行規則第百十八条の二第二項等の規定に基づき、本助成金により、御指摘のように「有期雇用労働者」の「正規雇用」への「転換」等に取り組む事業主を適切に支援していく考えである。