答弁本文情報
令和七年六月二十七日受領答弁第三一四号
内閣衆質二一七第三一四号
令和七年六月二十七日
内閣総理大臣 石破 茂
衆議院議長 額賀福志郎 殿
衆議院議員吉田はるみ君提出国際連合自由権規約委員会による日本への総括所見に対する政府の取組に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員吉田はるみ君提出国際連合自由権規約委員会による日本への総括所見に対する政府の取組に関する質問に対する答弁書
一の1について
民法(明治二十九年法律第八十九号)及び戸籍法(昭和二十二年法律第二百二十四号)における「嫡出でない子」の用語の見直しについては、学者、法曹関係者、有識者及び政府関係職員を構成員として、令和元年七月以降二十五回にわたって開催された法制審議会民法(親子法制)部会において、民法の嫡出推定制度に関する規定等の見直しに係る調査審議に際し、「嫡出でない子」の用語を「婚外子」などと見直すことが検討されたが、見直し後の用語が差別的であるとの指摘がされる懸念があること等を理由に、令和四年二月に取りまとめられた「民法(親子法制)等の改正に関する要綱案」(以下「要綱案」という。)に盛り込まれなかったものと承知している。政府としては、この用語の見直しについては、引き続き検討すべき課題であると認識しており、そのために国民の意識や社会情勢等を注視しているところであって、その改正の時期の見通し等をお答えすることは困難である。
一の2及び二の2について
一の1についてで述べた法制審議会民法(親子法制)部会においては、嫡出である子と嫡出でない子の法的な取扱いの区別の見直しについても検討されたが、嫡出という概念は、法律上の父子関係の成立のみならず、親権者、氏の定め方等にも関わるものであり、これらの規律を見直すことについては、それぞれの規律ごとに立法事実や国民の意識等を踏まえた検討が必要であると考えられたことから、要綱案に盛り込まれなかったものと承知しており、政府としては、現時点においても、嫡出という概念を見直す必要があるとは考えておらず、その改正の時期の見通し等をお答えすることは困難であって、嫡出という概念に関連して定められているお尋ねの各制度についても、同様である。
二の1について
御指摘の「総括所見の四十五a」は、「嫡出でない子」という用語について述べたものと考えられるところ、この用語については、平成二十五年九月二十六日最高裁判所第一小法廷判決において、「民法及び戸籍法において「嫡出でない子」という用語は法律上の婚姻関係にない男女の間に出生した子を意味するものとして用いられているものであ」ると判示されており、政府としては、この用語が差別的な意味合いを含むものではないと考えている。したがって、「嫡出でない子」との用語を用いる民法及び戸籍法の規定が、御指摘の市民的及び政治的権利に関する国際規約(昭和五十四年条約第七号)第二十四条に抵触するとは考えていない。その上で、一の1についてでお答えしたとおり、政府としては、民法及び戸籍法における「嫡出でない子」の用語の見直しについては、引き続き検討すべき課題であると認識しており、そのために国民の意識や社会情勢等を注視しているところであって、その改正の時期の見通し等をお答えすることは困難である。
三について
お尋ねの総括所見の勧告の実施に関する情報の提供については、関係府省庁間で協力の上、適切に対応してまいりたいと考えている。