答弁本文情報
令和七年六月二十七日受領答弁第三二四号
内閣衆質二一七第三二四号
令和七年六月二十七日
内閣総理大臣 石破 茂
衆議院議長 額賀福志郎 殿
衆議院議員井坂信彦君提出漢方・生薬の薬価の見直しに関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員井坂信彦君提出漢方・生薬の薬価の見直しに関する質問に対する答弁書
一について
御指摘の「漢方・生薬の薬価高騰」の意味するところが必ずしも明らかではないが、厚生労働省において調査したところによれば、「日本標準商品分類」(昭和二十五年三月総務庁統計局統計基準部設定、平成二年六月改訂)上の分類が「生薬」、「漢方製剤」又は「その他の生薬及び漢方処方に基づく医薬品」に該当する医療用医薬品の薬価については、全体としては、おおむね横ばいで推移している。他方で、日本漢方生薬製剤協会の調査によると、「中国からの原料生薬」のうち平成二十年度の「使用量上位三十品目」の「輸入価格」については、例えば、令和五年は平成十八年の約三倍となっていると承知している。いずれにせよ、薬価については、医薬品の安定供給を確保する観点を踏まえて、適切に対応してまいりたい。
二について
御指摘の「漢方・生薬」を含め、既収載品(既に薬価収載されている品目をいう。)に係る令和六年度薬価改定については、「薬価算定の基準について」(令和六年二月十四日付け保発〇二一四第一号厚生労働省保険局長通知別添。以下「薬価算定基準」という。)の「第三章 既収載品の薬価の改定」等に定めるところにより、市場実勢価格を踏まえて実施しており、御指摘のような「特性」を踏まえて実施しているものではない。
三について
令和六年度薬価改定における御指摘の「不採算品再算定」については、「令和六年度薬価制度改革の骨子」(令和五年十二月二十日中央社会保険医療協議会了解)において、「令和四年度薬価調査における全品目の平均乖離率である「七・〇パーセント」を超えた乖離率であった品目」を除き、「急激な原材料費の高騰、安定供給問題に対応するため、企業から希望のあった品目を対象に特例的に適用する」とされたことを踏まえ、薬価算定基準の「第三章 既収載品の薬価の改定」の「第七節 低薬価品の特例」の「二 不採算品再算定」等に定める要件に該当する場合には、御指摘の「不採算品再算定」の対象としているところである。その上で、お尋ねの「なぜ医療用漢方製剤だけが引き上げられたのか、全ての漢方・生薬の薬価を見直す必要があるのではないか」の趣旨が明らかではないが、当該要件に該当するものとして、「生薬」では二十五品目、「漢方製剤」では三百六十品目、「その他の生薬及び漢方処方に基づく医薬品」では二品目について、御指摘の「不採算品再算定」を実施し、薬価の引上げを行ったところである。
四について
御指摘の「不採算品再算定の定義に近い状況」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、三についてでお答えしたとおり、御指摘の「生薬」についても、薬価算定基準に定める要件に該当する場合には、「不採算品再算定」の対象としている。
五について
御指摘の「不採算品再算定」を含む薬価制度の在り方については、「経済財政運営と改革の基本方針二〇二五」(令和七年六月十三日閣議決定)において、「国民負担の軽減と創薬イノベーションを両立する薬価上の適切な評価の実施」とされていることや、医薬品の安定供給の確保の観点も踏まえ、今後、中央社会保険医療協議会において検討することとしており、お尋ねについて、現時点で予断をもってお答えすることは困難である。