答弁本文情報
令和七年六月二十七日受領答弁第三三七号
内閣衆質二一七第三三七号
令和七年六月二十七日
内閣総理大臣 石破 茂
衆議院議長 額賀福志郎 殿
衆議院議員杉村慎治君提出中古品取引の未計上がGDP統計の精度および政策判断に与える影響に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員杉村慎治君提出中古品取引の未計上がGDP統計の精度および政策判断に与える影響に関する質問に対する答弁書
一及び四について
お尋ねの「発送料等」、「周辺サービス」、「本体価格部分」及び「プラットフォームのマージン(仲介手数料)方式による付加価値把握」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、GDP統計は、国際連合の採択する「国際基準(二〇〇八SNA)」及び「国際基準(二〇二五SNA)」に準拠して作成するところ、これらの基準によれば、GDP統計に計上されるのは、「既にその経済に存在し、単に所有者が変更される財」(仮訳)の売買の際に生じる「所有権移転費用」(仮訳)であるとされており、中古品は当該財に当たると考えているところ、中古品に係る売買の際に生じる手数料等の「所有権移転費用」以外はGDP統計に計上されない。
また、「国際基準(二〇二五SNA)」の採択の過程において、お尋ねの「中古取引に関するGDP統計への反映」についての議論があったとは承知していない。
二について
お尋ねの「中古市場規模(取引総額)」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、環境省が三年ごとに実施している「リユース市場規模調査」では、令和六年の「リユース市場規模(一般消費者の最終需要ベース)」は約三兆五千億円と推計している。
当該調査は、統計法(平成十九年法律五十三号)第二条第五項に規定する統計調査ではなく、お尋ねの「統計法における基幹統計調査又は一般統計調査」に該当しない。また、当該推計は消費者に対するアンケート調査によるものであり、お尋ねの「プラットフォーム事業者」からはデータを収集していない。
三の1について
お尋ねの「新品市場への価格圧力」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、中古品に係る取引が他の経済活動に与える影響は多岐にわたると認識しており、お尋ねについて一概にお答えすることは困難である。
三の2について
お尋ねの「これらいわゆるグリーンGDP指標の整備方針を踏まえ」及び「資源循環や廃棄物削減の効果を当該指標に組み込む」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、お尋ねの「中古品取引をGDP統計に反映させること」については、一及び四についてで述べたとおり、GDP統計は、国際連合の採択する基準に準拠して作成するところ、今後の当該基準の改定を踏まえ対応する。
三の3について
御指摘の「消費者の効用(well-being)」の意味するところが必ずしも明らかではないが、「第五次循環型社会形成推進基本計画」(令和六年八月二日閣議決定)において、「資源循環の取組を通じた国民のウェルビーイングの向上・・・をより分かりやすく示すことができる指標についてさらなる検討を進める。」としており、中古品に係る取引を含む「資源循環」に係る指標について検討を進めているところである。
五の1及び3について
お尋ねの「関連制度」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、「公的統計の整備に関する基本的な計画」(令和五年三月二十八日閣議決定)において、デジタル経済の実態把握に係る具体的な措置、方策等については、「既存の統計調査、行政記録情報や民間データ等では十分に把握しきれていない、電子商取引・DXやGX、企業の多国籍化などの様々な経済活動に関するデータニーズに迅速に対応して実態を把握するための新たな枠組みについて、既存統計調査の調査事項との整合性や継続性、ユーザーニーズに十分に配慮しながら、総務省及び経済産業省を中心として」、「令和五年度・・・から」「検討を開始する」としているとおりであり、また、現在検討しているところであるため、お尋ねの「実施時期」については現在決まっておらず、お尋ねの「見直しが実現した場合」の「影響」について現時点で予断を持ってお答えすることは差し控えたい。
五の2について
お尋ねの「統計に関する民間プラットフォーム事業者との情報連携や官民協働モデル」について、現時点では検討していない。