答弁本文情報
令和七年六月二十七日受領答弁第三四一号
内閣衆質二一七第三四一号
令和七年六月二十七日
内閣総理大臣 石破 茂
衆議院議長 額賀福志郎 殿
衆議院議員竹上裕子君提出先発医薬品と後発医薬品の薬価逆転及び薬剤費逆転に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員竹上裕子君提出先発医薬品と後発医薬品の薬価逆転及び薬剤費逆転に関する質問に対する答弁書
一について
お尋ねについては、例えば、令和六年九月に厚生労働省が策定した「安定供給の確保を基本として、後発医薬品を適切に使用していくためのロードマップ」(以下「ロードマップ」という。)において、「後発医薬品の使用促進は、医療費の効率化を通じて限られた医療資源の有効活用を図り、国民医療を守ることに意義がある」と示しているとおりである。
二について
お尋ねの「その妥当性」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、御指摘の「先発医薬品であるアレグラ錠六十mg」(以下「当該先発医薬品」という。)及び御指摘の「後発医薬品であるフェキソフェナジン塩酸塩錠六十mg「SANIK」」(以下「当該後発医薬品」という。)の薬価については、令和六年度薬価改定においては、「令和六年度薬価制度改革の骨子」(令和五年十二月二十日中央社会保険医療協議会了解)において、「不採算品再算定」について、「令和四年度薬価調査における全品目の平均乖離率である「七・〇パーセント」を超えた乖離率であった品目」を除き、「急激な原材料費の高騰、安定供給問題に対応するため、企業から希望のあった品目を対象に特例的に適用する」とされたことを踏まえ、当該「品目」に該当する当該後発医薬品について、「不採算品再算定」の実施により、薬価が引き上げられ、また、令和七年度薬価改定においては、「令和七年度薬価制度改革の骨子」(令和六年十二月二十五日中央社会保険医療協議会了解)において、「改定の対象範囲については、国民負担軽減の観点はもとより、創薬イノベーションの推進や医薬品の安定供給の確保の要請にきめ細かく対応する観点から、・・・品目ごとの性格に応じて対象範囲を設定する。(中略)改定方式は、市場実勢価格加重平均値調整幅方式とし、具体的には、・・・算出式で算定した値を改定後薬価とする」とされたことを踏まえ、当該「改定の対象範囲」に該当する当該先発医薬品について、薬価が引き下げられ、これらの結果、当該先発医薬品の薬価が当該後発医薬品の薬価を下回っているものであるが、これらの薬価の改定は、いずれも、客観的かつ合理的な基準に基づき行われたものであると考えており、いずれにせよ、後発医薬品に係る薬価の在り方については、医薬品の安定供給を確保する観点を踏まえ、中央社会保険医療協議会において検討してまいりたい。
三について
後発医薬品の使用促進に係る御指摘の「政府の方針」については、一についてで述べたとおり、ロードマップにおいて、「後発医薬品の使用促進は、医療費の効率化を通じて限られた医療資源の有効活用を図り、国民医療を守ることに意義がある」と示しているとおりであり、具体的には、「医療関係者が現場で具体的に取り組みやすいものとする観点を踏まえつつ、後発医薬品を用いた医療を持続可能な形で進めていくこと・・・が重要である」、「持続可能な形とするためには、後発医薬品の信頼確保と安定供給が大前提であることから、現下の供給不安の解消に引き続き全力で取り組むことが不可欠である」等と示しているとおりである。その上で、二についてで述べたように、後発医薬品の個々の状況に応じて、「不採算品再算定」等により、結果として、後発医薬品の薬価が先発医薬品の薬価を上回ることもあるが、このことをもって、必ずしも、後発医薬品の安定供給を前提としながらその使用促進を図ることとしている当該「政府の方針」と「相容れない」とは考えていない。
四について
御指摘の「使用率」に関しては、例えば、厚生労働省のホームページにおいて公表している「最近の調剤医療費(電算処理分)の動向」によると、「新指標による後発医薬品割合(数量ベース)」は、令和六年九月は八十六・六パーセント、御指摘の「選定療養費開始後の」同年十月は九十・一パーセント、同年十一月は九十・六パーセント、同年十二月は九十・八パーセント、令和七年一月は九十・五パーセントである。また、お尋ねの「後発医薬品の最終的な使用率の目標」の意味するところが必ずしも明らかではないが、いずれにせよ、高齢者の医療の確保に関する法律(昭和五十七年法律第八十号)第八条第一項の規定により厚生労働大臣が定めた医療費適正化に関する施策についての基本的な方針(令和五年厚生労働省告示第二百三十四号)においては、「国において、令和十一年度末までに医薬品の安定的な供給を基本としつつ、後発医薬品の数量シェアを全ての都道府県で八十パーセント以上とする主目標並びにバイオ後続品に八十パーセント以上置き換わった成分数を全体の成分数の六十パーセント以上とする副次目標及び後発医薬品の金額シェアを六十五パーセント以上とする副次目標が設定された」としているところである。
五について
御指摘の「苦情が寄せられている」及び「患者との信頼を揺るがしかねない事態となっていること」の詳細を承知しておらず、お尋ねについてお答えすることは困難である。
六について
お尋ねの「周知」については、これまでも御指摘の「診療報酬改定・薬価改定」の都度、地方厚生局(地方厚生支局を含む。)等を通じて各医療機関等へ、これらの内容等について通知するとともに、その経緯や概要、関係法令等を厚生労働省のホームページにおいて周知してきており、今後ともこうした周知に努めてまいりたい。
七について
お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、いずれにせよ、後発医薬品については、その使用促進に向けて、四についてで述べたとおり、目標を設定し、取り組んでいるところである。