答弁本文情報
令和七年八月十五日受領答弁第二一号
内閣衆質二一八第二一号
令和七年八月十五日
内閣総理大臣 石破 茂
衆議院議長 額賀福志郎 殿
衆議院議員松原仁君提出外国資本による不動産市場におけるマネー・ローンダリングの防止に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員松原仁君提出外国資本による不動産市場におけるマネー・ローンダリングの防止に関する質問に対する答弁書
一について
お尋ねの件数については暦年で把握しており、令和六年一月一日から同年十二月三十一日までの間に、犯罪による収益の移転防止に関する法律(平成十九年法律第二十二号。以下「法」という。)第八条第五項及び第六項の規定に基づき国家公安委員会に通知された疑わしい取引の届出又は同条第五項の通知に係る事項の件数は、八十四万九千八百六十一件である。このうち、宅地建物取引業者(法第二条第二項第四十二号に掲げる宅地建物取引業者をいう。以下同じ。)からの届出に係るものは二十五件であり、当該件数の全体に占める割合は約〇・〇〇二九パーセントである。
二について
お尋ねの「全体として」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、国土交通省としては、「宅地建物取引業におけるマネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策に関するガイドライン」(令和四年十月三十一日国土交通省策定。以下「ガイドライン」という。)において、「疑わしい取引の届出は、犯収法第八条第一項に定める法律上の義務であり、同法の「特定事業者」に該当する宅地建物取引業者が、同法に則って、届出等の義務を果たすことは当然である。」と示しているところであり、宅地建物取引業者は、ガイドラインを踏まえて、法第八条第一項に規定する疑わしい取引の届出を適切に行っているものと認識している。
三について
三十八の国及び地域並びに二つの国際的な機関が参加するマネー・ローンダリング等に関する金融活動作業部会が令和三年八月に公表した御指摘の「第四次対日相互審査報告書」においては、御指摘の「特定非金融業者及び職業専門家」について、「彼らが晒されているマネロン・テロ資金供与リスクについて低いレベルの理解しか有していない。」(仮訳)とされている。
四について
お尋ねの「我が国の責務」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、御指摘の「宅地建物取引業者による疑わしい取引の届出義務の履行徹底を図ること」は重要であると考えている。
五について
お尋ねの「いわゆる反社チェックが機能せず」及び「疎明資料」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、宅地建物取引業者によるマネー・ローンダリング対策の実効性の確保を図るためには、宅地建物取引業者が、取引において収受した財産について、犯罪による収益である疑いがあるかどうか等を自ら適切に評価等することが重要であるところ、国土交通省としては、ガイドラインにおいて、顧客等との取引に当たっては、「顧客及びその実質的支配者の職業・事業内容のほか、例えば、経歴、資産・収入の状況や資金源、居住国等、顧客が取引する不動産等、顧客に関する様々な情報を勘案」するよう示す等して、宅地建物取引業者が顧客等の資金源の情報も踏まえて適切に当該評価等を行うよう求めているところであり、引き続き、宅地建物取引業者に対する周知徹底を図ってまいりたい。
六について
お尋ねの「繰り返し強力に指導」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、五についてで述べたとおり、国土交通省としては、ガイドラインを策定する等して、宅地建物取引業者に対して、取引において収受した財産について、犯罪による収益である疑いがあるかどうか等を自ら適切に評価等するよう求めているところであり、現時点においては、ガイドライン以外のお尋ねの「対応マニュアル」の作成については考えていないが、引き続き、宅地建物取引業者に対する周知徹底を図ってまいりたい。