答弁本文情報
令和七年十月三十一日受領答弁第一三号
内閣衆質二一九第一三号
令和七年十月三十一日
内閣総理大臣臨時代理
国務大臣 木原 稔
国務大臣 木原 稔
衆議院議長 額賀福志郎 殿
衆議院議員八幡愛君提出生活保護世帯における大学進学制限に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員八幡愛君提出生活保護世帯における大学進学制限に関する質問に対する答弁書
一及び二について
御指摘の「高等学校卒業後の大学進学が原則として認められていない運用」及び「通達または通知を根拠とするもの」の意味するところが必ずしも明らかではないが、生活保護受給世帯の子どもが大学、専修学校及び各種学校(以下「大学等」という。)へ進学することについては、厚生労働省においては、生活保護法(昭和二十五年法律第百四十四号。以下「法」という。)第三条に規定する「この法律により保障される最低限度の生活」には生活保護を受けながら大学等へ進学することは含まれていないと考えている一方で、大学等への進学が特に本人や世帯における法第一条の目的規定における「自立を助長すること」に効果的であることを踏まえ、一定の場合には、大学等へ進学する者を当該世帯から分離して当該世帯とは別の世帯を構成しているとみなすことにより、引き続き当該世帯との同居を続けながら大学等へ進学できるようにしているところであり、当該世帯の分離の取扱いについては、「生活保護法による保護の実施要領について」(昭和三十八年四月一日付け社発第二百四十六号厚生省社会局長通知)において示しているところ、現時点において同通知は廃止されていない。
三から五までについて
御指摘の「生活保護世帯で暮らす高校生」については、一及び二についてでお答えしたとおり、大学等への進学が特に本人や世帯における法第一条の目的規定における「自立を助長すること」に効果的であることを踏まえ、一定の場合には、引き続き当該世帯との同居を続けながら大学等へ進学できるようにしているところであり、必ずしも御指摘のように「大学等への進学を自立支援とみなさず、生活保護の対象外」としているわけではなく、「法の趣旨と整合的である」と考えており、また、御指摘のように「親元を離れて世帯分離」することを求めるものではなく、必ずしも御指摘のように「若者に負担を強いる制度設計となっている」とは考えておらず、さらに、御指摘の「生活保護世帯で暮らす高校生」については、法第五十五条の五の規定に基づく「進学・就職準備給付金」や、法第五十五条の十の規定に基づく「子どもの進路選択支援事業」を実施するなどの支援を行っているところであり、御指摘のように「憲法第二十六条第一項において保障される「教育を受ける権利」と、現在の生活保護制度運用が矛盾している」とは考えていない。
六について
御指摘の「生活保護の運用上、大学進学が原則として認められていない」の意味するところが必ずしも明らかではないが、いずれにしても、四で御指摘の「生活保護世帯で暮らす高校生」については、一及び二についてでお答えしたとおり、一定の場合には、引き続き当該世帯との同居を続けながら大学等へ進学できるようにしているところであり、当該者に対しては、生活保護制度においては三から五までについてで述べたような支援を行うとともに、御指摘の「こども家庭庁による支援施策や文部科学省による高等教育修学支援制度」の施策においても当該者を含め対象としており、両者は「整合的」であると考えている。
七について
お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、生活保護受給世帯の子どもが生活保護を受けながら大学等へ進学できるようにする考えはあるかとの趣旨のお尋ねであれば、令和六年四月九日の参議院厚生労働委員会において、武見厚生労働大臣(当時)が「生活保護費を受給しながら大学等に修学することについては、一般世帯においても、高等学校卒業後、大学等に進学せずに就職する方や、それから奨学金、アルバイト収入などで学費や生活費を賄いながら大学などに修学する方などがおり、このような方々とのバランスを考慮する必要がある」と述べているとおりであり、慎重に検討すべきものと考えている。

