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令和七年十月三十一日受領
答弁第一五号

  内閣衆質二一九第一五号
  令和七年十月三十一日
内閣総理大臣臨時代理
国務大臣 木原 稔

       衆議院議長 額賀福志郎 殿

衆議院議員水沼秀幸君提出スポットワークにおける過去の企業側キャンセルに伴う未払賃金問題に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員水沼秀幸君提出スポットワークにおける過去の企業側キャンセルに伴う未払賃金問題に関する質問に対する答弁書


一について
  
 お尋ねのとおりである。

二について
  
 スポットワーク(「いわゆる「スポットワーク」を利用する労働者の労働条件の確保等について」(令和七年七月四日付け基発〇七〇四第三号・職発〇七〇四第二号・雇均発〇七〇四第一号厚生労働省労働基準局長、職業安定局長及び雇用環境・均等局長連名通達。以下「連名通達」という。)における「短時間・単発の就労を内容とする労働契約の下で働くいわゆる「スポットワーク」のうち、その雇用仲介を行う事業者・・・が提供するサービス・・・を利用するもの」をいう。以下同じ。)について、「「知らない」では済まされない「スポットワーク」の労務管理」(連名通達別添二。以下「使用者向けリーフレット」という。)においては、「面接等を経ることなく先着順で就労が決定する求人では、別途特段の合意がなければ、事業主が掲載した求人にスポットワーカーが応募した時点で労使双方の合意があったものとして労働契約が成立するものと一般的には考えられます」としているが、これは労働契約法(平成十九年法律第百二十八号)第六条において、労働契約は「労働者及び使用者が合意することによって成立する」とされていることを踏まえ、使用者向けリーフレットにおいて、「面接等を経ることなく先着順で就労が決定する」過程に即して、「先着順」の場合は「応募した時点で労使双方の合意があったもの」と一般的に考えられることや、「別途特段の合意」があった場合にはこの限りではないことを示したものである。
 その上で、お尋ねの「「特段の合意」はどのような合意であっても認められるか。どのような合意が含まれるかを具体化してもらいたい。「労働契約の成立は出勤時点とする」との合意についてもここに含まれるか」については、個別の事案の内容や状況等によるものと考えられることから、一概に示すことは困難であり、御指摘のように「具体化」しないことが「労働者保護の観点から無責任」との御指摘は当たらないものと考えている。

三について
  
 厚生労働省では、かねてから労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)、労働契約法等における労働契約の成立の考え方、休業手当の支払義務等の内容及び趣旨について、周知に取り組んできたところであり、その上で、スポットワークを利用して働く労働者から労働基準監督署に寄せられた労働相談の傾向を分析する等の検討を経ることで、令和七年七月四日に、労働者がスポットワークを利用して働くに当たっての留意事項として、当該内容及び趣旨を改めて分かりやすく示した「ご存知ですか?「スポットワーク」の注意点」(連名通達別添一。以下「労働者向けリーフレット」という。)を作成し、周知を行っているものであり、同省の対応が「遅くなった」との御指摘は当たらないものと考えており、同省としては、労働者向けリーフレットを公表する前にスポットワークを利用して働いていた方も含め、幅広く労働者向けリーフレットの内容について積極的に周知を行ってまいりたい。

四について
  
 お尋ねが、厚生労働省の対応が遅くなった結果、御指摘の「賃金請求権又は休業手当請求権が時効にかかり、権利の救済が図られないケースは多くなる」がどう考えるかとの趣旨のお尋ねであれば、三についてでお答えしたとおり、同省の対応が「遅くなった」との御指摘は当たらないものと考えており、このことを前提としたお尋ねについてお答えすることは困難である。
 いずれにせよ、三についてでお答えしたとおり、同省としては、労働者向けリーフレットの内容について積極的に周知を行ってまいりたい。

五について
  
 使用者向けリーフレットにおいては、「労働契約成立後の解約(いわゆる「キャンセル」)について、その事由や期限をあらかじめ示した契約(解約権留保付労働契約)を労使間で締結する場合には、当該事由が合理的であることや、労働契約法第三条第一項の労使対等の原則の趣旨を踏まえスポットワーカーにのみ不利な内容にならないことに留意する必要があります」としているとおり、「その事由や期限をあらかじめ示した」場合について示したものであり、御指摘の「その事由をあらかじめ示していない場合においては労働契約の法的性質が解約権留保付」となるか否かについては、個別の事案の内容や状況等によるものと考えており、一概にお答えすることは困難である。

六の前段について
  
 お尋ねについては、一般的には、「影響」を与え得るものと解されるが、最終的には、御指摘の「事由や期限」の合理性等も含め、個別の事案に応じて司法判断がされるものと考えている。

六の後段について
  
 お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、いずれにせよ、御指摘の「解約事由自体の有効性」については、個別の事案の内容や状況等によるものと考えられることから、一概にお答えすることは困難であり、また、最終的には、個別の事案に応じて司法判断がされるものと考えている。なお、使用者向けリーフレットで示したとおり、「労働契約成立後の解約(いわゆる「キャンセル」)について、その事由や期限をあらかじめ示した契約(解約権留保付労働契約)を労使間で締結する場合には、当該事由が合理的であることや、労働契約法第三条第一項の労使対等の原則の趣旨を踏まえスポットワーカーにのみ不利な内容にならないことに留意する必要」があると考えている。

七について
  
 お尋ねについては、個別の事案の内容や状況等により、御指摘の「労働契約法十七条一項、民法六百二十八条」のみ「に該当するかが問われる」とは限らないが、いずれにせよ、労働契約法、民法(明治二十九年法律第八十九号)、その他の関係法令の規定も踏まえて、最終的には、個別の事案に応じて司法判断がされるものと考えている。

八について
  
 お尋ねについては、個別の法人が作成したリーフレットの内容に関するものであり、その一々について、お答えすることは差し控えたいが、いずれにせよ、御指摘の「一定の責任」の意味するところが必ずしも明らかではないが、関係団体等に対しては、使用者向けリーフレットの周知を行うとともに、スポットワークを利用する事業主において、適切な労務管理が図られるような取組を求めてきたところであり、引き続き、こうした対応を図ることとしており、また、御指摘のような「法的な疑義」については、最終的には、個別の事案に応じて司法判断がされるものと考えている。

九について
  
 御指摘の「補償を受けるまでのスポットワーカー向けの手引き等」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、「企業側キャンセルに伴う補償」については、労働者向けリーフレットにおいて、「労働契約成立後に雇用主の都合で仕事の中止または早上がりを命じられた場合は、雇用主は、所定支払日までに休業手当を支払うことが必要」であることなど、スポットワークにおける留意事項を示しているところであり、引き続き、労働者向けリーフレットの内容について、あらゆる機会を通じて幅広く周知するとともに、労働基準監督署等において、適切に相談対応を行ってまいりたい。

十について
  
 御指摘の「統一した指針等」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、厚生労働省においては、令和七年七月四日に連名通達により、都道府県労働局に対して、労働基準監督署等の職員に対し、使用者向けリーフレット及び労働者向けリーフレットの内容等を周知し、理解を促すこと、また、労働者等に対してこれらのリーフレットの周知を図るとともに、労働者等から相談等が寄せられた場合には、これらのリーフレットの内容を踏まえた適切な対応を図ることを指示しているところである。
 また、労働基準監督署等において、連名通達に基づき、使用者向けリーフレット及び労働者向けリーフレットの内容を踏まえた適切な対応に努めているところである。

十一について
  
 御指摘の「職業安定法など諸規定」の具体的に指し示す範囲が明らかではないが、いずれにせよ、御指摘の「キャンセル履歴」を労働契約成立後の使用者の責に帰すべき事由による解約の記録と解すれば、当該記録の開示については、御指摘の「有料職業紹介事業者であるアプリ事業者」を含めた職業紹介事業者等による個人情報の適正な取扱いを定める職業安定法(昭和二十二年法律第百四十一号)第五条の五の規定に違反しない限り、同法上の問題は生じないと考えている。

十二について
  
 御指摘の「アプリ事業主がキャンセル履歴を持っているものの、一部利用企業以外は開示しないという問題」については、その詳細を把握していないため、お尋ねについてお答えすることは困難であるが、いずれにせよ、御指摘の「アプリ事業者」を職業紹介事業者と、「キャンセル履歴」を労働契約成立後の使用者の責に帰すべき事由による解約の記録と解すれば、当該記録は、一義的には、当該使用者において保存すべきものであり、職業紹介事業者に対し、当該使用者に対する当該記録の開示を求めることは考えていない。

十三について
  
 お尋ねについては、三について、四について、九について及び十についてでお答えしたとおり、使用者向けリーフレット及び労働者向けリーフレットの内容について積極的に周知を行うとともに、労働基準監督署等において、これらのリーフレットの内容を踏まえた適切な対応に努めているところであり、今後とも必要な対応を行ってまいりたい。

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