答弁本文情報
令和七年十一月七日受領答弁第二七号
内閣衆質二一九第二七号
令和七年十一月七日
内閣総理大臣 高市早苗
衆議院議長 額賀福志郎 殿
衆議院議員櫛渕万里君提出外国人との秩序ある共生社会推進室に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員櫛渕万里君提出外国人との秩序ある共生社会推進室に関する質問に対する答弁書
一について
外国人との秩序ある共生社会推進室は、内閣法(昭和二十二年法律第五号)第二十四条及び内閣官房組織令(昭和三十二年政令第二百十九号)第十二条の規定に基づき、内閣総理大臣決定により設置されている。
二について
外国人との秩序ある共生社会推進室に関する職務は、小野田紀美外国人との秩序ある共生社会推進担当大臣、鈴木隼人内閣府副大臣及び若山慎司内閣府大臣政務官が担当する。
三について
お尋ねの「専任職員」の意味するところが必ずしも明らかではないが、現時点において、外国人との秩序ある共生社会推進室に所属する職員は、八十七人であり、いずれも同室に併任されている。
四について
お尋ねの「外国人」については、出入国管理及び難民認定法(昭和二十六年政令第三百十九号。以下「入管法」という。)第二条第一号に定める外国人と同義であり、日本国籍を有しない者をいい、お尋ねの「永住者、特別永住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等及び定住者」を含む。
五について
お尋ねの「秩序」とは、一般に、「物事の条理。物事の正しい順序・筋道。次第。・・・特に、社会などの規則立った関係。(出典 広辞苑)」を意味するものと承知している。また、お尋ねの「共生社会」については、令和六年五月二十四日の参議院本会議において、岸田内閣総理大臣(当時)が「外国人との共生の在り方は世界各国で様々ではありますが、私は、日本の現実に合った共生社会を考えていくことが重要であると考えており、日本人と外国人がお互い尊重し、安全、安心に暮らせる社会を実現していく、こうしたことを目指していく必要があると考えています。」と述べたとおりである。
六の1について
お尋ねの「外国人」については、入管法第二条第一号に定める外国人と同義であり、日本国籍を有しない者をいい、お尋ねの「永住者、特別永住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等及び定住者」を含む。
六の2及び3について
お尋ねの「一部の外国人による犯罪や迷惑行為、各種制度の不適切な利用」及び「国民の皆様方が不安や不公平を感じる状況」については、例えば、令和七年七月十五日の記者会見において、林内閣官房長官(当時)が「外免切替により運転免許を取得した外国人が交通事故を起こした事例があるほか、外国人の社会保険料の納付率が日本人と比べて低いとの調査結果や、「経営・管理」の在留資格の許可基準が他国と比べて緩やかであるため、民泊経営を口実に「経営・管理」の在留資格を取得し、我が国に移住する者が増えているといった指摘などがあるものと承知をしております。」と述べているとおりである。
お尋ねの「外国人が日本社会に不安や不公平を感じる状況」については、政府としてそのような状況を網羅的に把握していないが、例えば、外国人労働者に関しては、令和四年十一月十七日の参議院法務委員会において、齋藤法務大臣(当時)が「法務省が実施した令和三年度在留外国人に対する基礎調査などから、委員おっしゃるように、依然として職場など社会の様々な場面において外国人に対する差別や偏見が生じていて、その個別事案に適切に対応することに加えて、外国人との共生社会の実現に向けた意識醸成というものがやっぱり課題になっていると思います。法務省もいろいろ対応しているわけでありますけれども、この問題は非常に重い問題だと思って、私としても、この外国人労働者に対する差別や偏見の問題については、実態把握に努めるとともに、関係機関と連携して個別に適切に対応しつつ、差別や偏見のない共生社会の実現に向けた取組を着実に進めていきたいというふうに考えています。」と述べているとおりである。
六の4について
労働者の国籍にかかわらず、日本国内において事業に使用される労働者に対しては、労働基準関係法令の規定が適用され、労働基準関係法令違反が認められた場合には、事業主に対して、その是正を求めるとともに、重大又は悪質な労働基準関係法令違反が認められた事案については、刑事事件として取り扱うなど、厳正に対処している。
六の5の前段について
外国人土地法(大正十四年法律第四十二号)は、第一条が相互主義の観点から、第四条が「国防上必要ナル地区」について、それぞれ政令により外国人及び外国法人の土地取得等を制限することができる旨を定めているところ、これらの規定の委任に基づく政令等の制定に関しては、令和六年二月六日の衆議院予算委員会において、岸田内閣総理大臣(当時)が「外国人の土地取得等に対する制限を政令に包括的、白紙的に委任しており、憲法に違反するおそれがあること等を指摘されているため、その政令を制定することは困難である、このように考えられています。」と答弁しているとおりである。
六の5の後段について
外国為替及び外国貿易法(昭和二十四年法律第二百二十八号)第五十五条の三第一項第十二号、農地法(昭和二十七年法律第二百二十九号)第三条第一項若しくは第三条の三、国土利用計画法(昭和四十九年法律第九十二号)第二十三条第一項又は重要施設周辺及び国境離島等における土地等の利用状況の調査及び利用の規制等に関する法律(令和三年法律第八十四号)第十三条第一項の規定に該当する場合は、これらの規定に基づき、土地の取得に係る必要な報告等がされることとなっており、土地を取得した者の国籍を含めた情報を把握しているが、これらの規定は、必ずしも日本国内において外国人が取得した全ての土地を網羅的に把握することができるものではない。
七について
お尋ねについては、外国人との秩序ある共生社会推進室が取り組むべき課題等について、今後、検討の上、「外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策(令和七年度改訂)」(令和七年六月六日外国人材の受入れ・共生に関する関係閣僚会議決定)を改訂するなどして示す予定であり、また、「外国人との共生社会の実現に向けたロードマップ」(令和四年六月十四日外国人材の受入れ・共生に関する関係閣僚会議決定、令和七年六月六日一部変更)を変更するなどして示すことはあり得ると考えている。

