答弁本文情報
令和七年十一月十一日受領答弁第三〇号
内閣衆質二一九第三〇号
令和七年十一月十一日
内閣総理大臣 高市早苗
衆議院議長 額賀福志郎 殿
衆議院議員八幡愛君提出高齢者による火災の防止及び生活支援を含む啓発活動の在り方に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員八幡愛君提出高齢者による火災の防止及び生活支援を含む啓発活動の在り方に関する質問に対する答弁書
一について
前段のお尋ねについては、お尋ねの「六十五歳以上の高齢者が関与した火災」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではなく、また、火災を発生させた者に係る情報について、政府として網羅的に把握していないため、お答えすることは困難である。
また、後段のお尋ねについては、お尋ねの「統計」があることを前提としたお尋ねについてお答えすることは困難であるが、各消防本部等からの報告を分析したところ、高齢者が死亡した住宅火災の出火原因として、たばこ、ストーブ、電気機器等の生活に身近な機器等からの出火の割合が高いものと認識している。
二について
お尋ねの「ガス機器や石油燃焼機器」による「火災リスク」の低減を目的とした施策として、政府としては、ガス用品(ガス事業法(昭和二十九年法律第五十一号)第百三十七条第一項に規定するガス用品をいう。以下同じ。)や液化石油ガス器具等(液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律(昭和四十二年法律第百四十九号)第二条第七項に規定する液化石油ガス器具等をいう。以下同じ。)の安全性を確保するための規制を設ける等の必要な措置を講じている。そのため、「ガス機器や石油燃焼機器」から電気機器への「転換」を図る施策は講じておらず、このことを前提としたお尋ねについてお答えすることは困難である。
三について
前段のお尋ねについては、現時点では具体的に検討していないが、地域包括支援センター等において、消防本部等の関係機関と連携し、必要に応じて、高齢者等に対して火災の予防に関する周知及び啓発を行っている事例もあると承知している。
また、後段のお尋ねについては、今後予想される少子高齢化の更なる進展や単身高齢者世帯の増加等を勘案し、「令和七年春季全国火災予防運動実施要綱の運用について」(令和七年二月五日付け消防予第四十三号消防庁予防課長通知別添。以下「通知」という。)中の「要配慮者のうち、特に一人暮らしの高齢者等で要介護状態にある者等、緊急事態に自ら行動することが困難な者」への取組を課題として認識し、「自主防災組織、福祉関係部局又は地域の福祉協力者等が地域単位で協力・連携して情報を把握するとともに、地域が主体となって各種対策に取組むことが効果的である」と示しており、通知に基づき、各消防本部等により、社会福祉協議会が主催する福祉関係者の集会において火災の予防に関する広報啓発の取組等が実施されているものと承知している。
四について
お尋ねの「火災警報器」については、住宅用防災警報器(消防法施行令(昭和三十六年政令第三十七号)第五条の六第一号に掲げる住宅用防災警報器をいう。)の普及及び促進に対するお尋ねの「支援・補助」は行っておらず、「六十五歳以上の者のいる高齢者世帯」における「導入率」については、把握していない。
また、お尋ねの「自動消火装置」、「IoTを活用した見守りシステム」及び「技術を活かした火災予防機器」の具体的に意味するところが明らかではないため、これらについてのお尋ねにお答えすることは困難である。
さらに、お尋ねの「ガスコンロ自動停止機能」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、仮にガス用品の技術上の基準等に関する省令(昭和四十六年通商産業省令第二十七号)別表第三の二(四)及び液化石油ガス器具等の技術上の基準等に関する省令(昭和四十三年通商産業省令第二十三号)別表第三の二(四)に掲げる「無監視状態での運転を考慮した安全設計」を意味するのであれば、これらに適合するガス用品及び液化石油ガス器具等の普及及び促進に対するお尋ねの「支援・補助」は行っておらず、「六十五歳以上の者のいる高齢者世帯」における「導入率」については、把握していない。
五について
お尋ねの「双方向・参加型の取組」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、三についてでお答えしたとおり、通知において「自主防災組織、福祉関係部局又は地域の福祉協力者等が地域単位で協力・連携して情報を把握するとともに、地域が主体となって各種対策に取組むことが効果的である」と示しており、引き続き、こうした取組を推進していく考えである。
六について
お尋ねの「役割分担・連携体制を構築」及び「包括的な啓発・支援策」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、例えば、消防庁においては、火災の発生状況を踏まえ、各消防本部等と連携した広報啓発を実施するなど、関係府省庁において所掌事務に応じて必要な施策を推進しているところであり、また、平成十三年四月一日に同庁が策定した「住宅防火基本方針」において、「国、都道府県及び市町村のそれぞれの段階で、関係する行政機関、福祉関係機関、研究機関及び関係業界等が、個々の住宅防火対策の内容に応じて必要な連携を横断的に行う」とともに、「このために必要な協議会、連絡会等の住宅防火対策推進体制の整備・充実を積極的に図る」こととしており、同方針に基づき、同庁、厚生労働省、経済産業省等の関係府省庁、全国消防長会等が構成員となっている住宅防火対策推進懇談会において、火災の発生状況の共有や広報啓発における連携について協議を行い、その結果を踏まえ、関係機関が連携して広報啓発を行っているところであり、今後も同様に取り組んでいく考えである。

