答弁本文情報
令和七年十一月十四日受領答弁第三七号
内閣衆質二一九第三七号
令和七年十一月十四日
内閣総理大臣 高市早苗
衆議院議長 額賀福志郎 殿
衆議院議員山井和則君提出生活保護受給世帯及び低所得世帯へのエアコン設置推進等に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員山井和則君提出生活保護受給世帯及び低所得世帯へのエアコン設置推進等に関する質問に対する答弁書
一について
お尋ねについて、厚生労働省の人口動態統計によると、令和六年の御指摘の「熱中症による死亡者数」は二千百六十人であり、そのうち「六十五歳以上の高齢者が占める割合」は八十五・〇パーセントとなっているが、「生活保護受給世帯における発生状況」については把握していない。
二について
お尋ねの「生活保護受給世帯のうち、エアコンが設置されていない世帯の割合」については、厚生労働省が実施した「令和四年家庭の生活実態及び生活意識に関する調査」の結果を基に試算したところ、「生活保護世帯」のうち「ルームエアコン」を保有していない割合は約十七パーセントである。また、当該調査は一部の都道府県を対象としたサンプル調査であることから、お尋ねの「都道府県別の状況」については把握していない。
三の前段について
お尋ねについては、例えば、厚生労働省が実施した「令和四年家庭の生活実態及び生活意識に関する調査」の結果を基に試算したところ、「一般世帯」のうち「ルームエアコン」を保有している割合は約九十一パーセントである。
三の後段について
御指摘の「そのデータを踏まえつつ」及び「最低限度の生活を送る」の意味するところが必ずしも明らかではないが、いずれにせよ、エアコンは熱中症を予防するためにその適切な利用が重要であると考えているところ、令和六年十二月十九日の参議院厚生労働委員会において、福岡厚生労働大臣(当時)が「エアコンについては保護費のやりくりによって計画的に計画していただく、・・・生活保護の開始時にエアコンの持ち合わせがない場合等においても、真にやむを得ないと保護の実施機関が認めた場合には、一定の基準の範囲内でエアコンの購入費用を支給することを可能としているということでございます」と答弁しているとおり、健康で文化的な最低限度の生活を保障することとしている生活保護制度において、エアコンの購入を支援しているところである。
四について
お尋ねの「生活保護を受ける世帯」に対する「エアコン設置費用」「の助成」については、三の後段についてで述べたとおり、エアコンの購入を支援しているところ、これに関しては、生活保護法(昭和二十五年法律第百四十四号)第十九条第四項に規定する保護の実施機関(以下「保護の実施機関」という。)に対して、「生活保護法による保護の実施要領について」(昭和三十八年四月一日付け社発第二百四十六号厚生省社会局長通知)において、その具体的な取扱いを示しており、また、直近では、厚生労働省が開催した令和六年度社会・援護局関係主管課長会議の資料四において、「日頃のケースワークにおいて、冷房器具や暖房器具等の購入の意向を、夏季や冬季までの期間を考慮して事前に確認し、必要に応じて、購入に向けた家計管理の助言指導を行うとともに、・・・真に必要な者が冷房器具や暖房器具等を購入できるようご配慮いただきたい」旨周知すること等を通じて、その推進を図っているところである。お尋ねの「生活保護を受ける世帯」に対する「電気代の助成」については、令和六年六月四日の参議院環境委員会において、政府参考人が「生活保護基準につきましては、一般国民の消費実態との均衡上の妥当な水準を維持する、いわゆる水準均衡方式の考え方で設定されているところでございます。エアコンの電気代を含みます光熱費につきまして、平成二十七年の生活保護基準部会による検証におきまして、家計調査のデータを用いて各月の光熱費の支出額を比較いたしました。その結果、支出額が増加する月を確認いたしましたが、年平均の支出額と比べまして夏季に光熱費の支出額が増加する実態は確認できなかったところでございます。近年の光熱費の支出額の動向につきましても、家計調査のデータを用いて確認いたしますと、同様に、年平均の支出額と比べて夏季に光熱費の支出額が増加する実態が確認できていない」と答弁しているところ、こうした実態を踏まえると、慎重に検討する必要があると考えている。
五について
御指摘の「生活保護受給世帯」に対するエアコンの購入の支援については、四についてで述べたとおり、保護の実施機関への周知等を通じて、その推進を図っているところ、お尋ねの「重点的な支援」については、保護の実施機関に対して、「生活保護法による保護の実施要領の取扱いについて」(昭和三十八年四月一日付け社保第三十四号厚生省社会局保護課長通知)において、「熱中症予防が特に必要とされる者」として、「高齢者、障害(児)者、小児及び難病患者については体温の調節機能への配慮が必要であると考えられることから、・・・特に購入に向けて積極的に勧奨されたい」と示しており、また、直近では、「生活保護世帯におけるエアコン購入費用に関する取扱い等について(周知)」(令和七年五月三十日付け厚生労働省社会・援護局保護課事務連絡)において、「日頃のケースワークにおいてエアコンの購入の意向を確認し、必要に応じて、購入に向けた家計管理に係る助言指導を行う」こと、「熱中症の予防法に関する周知等」として「高齢者、障害のある方等については、より熱中症に注意いただく必要があるため、訪問等によって把握した被保護者の生活状況を踏まえ」ること等と示しているところである。
六について
お尋ねの「エアコン設置費用」「を支援する制度」については、例えば、「生活福祉資金貸付制度要綱」(平成二十一年七月二十八日付け厚生労働省発社援〇七二八第九号厚生労働事務次官通知別紙(最終改正 令和五年三月三十一日))により、都道府県社会福祉協議会が行う、低所得世帯等に対して日常生活を送る上で一時的に必要であると見込まれる費用等を無利子又は低利で貸し付ける生活福祉資金貸付の仕組みを設け、御指摘の「低所得世帯」の「エアコン設置費用」についても支援しているところであり、現時点で「熱中症対策」として新たな「制度を創設すべき」とは考えていない。また、お尋ねの「電気料金を支援する制度」については、例えば、「米国関税措置を受けた緊急対応パッケージ」(令和七年四月二十五日米国の関税措置に関する総合対策本部決定)における「電力使用量の増加する七・八・九月の三か月について、電気・ガス料金支援を実施」との方針に基づき、御指摘の「低所得世帯」を含め、物価高騰に対応する観点から、「電気・ガス料金負担軽減支援事業」を実施し、令和七年七月から同年九月までの間に使用した電気料金に対する支援を行ったところ、現時点で御指摘の「低所得世帯」に対する「熱中症対策」として新たな「制度を創設すべき」とは考えていない。
七について
お尋ねの「生活保護受給世帯」への「エアコン設置支援」については四についてで、また、「低所得世帯」への「エアコン設置支援」については六についてでお答えしたとおりである。

