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答弁本文情報

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令和七年十一月十四日受領
答弁第三九号

  内閣衆質二一九第三九号
  令和七年十一月十四日
内閣総理大臣 高市早苗

       衆議院議長 額賀福志郎 殿

衆議院議員八幡愛君提出農業簿記の制度的支援に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員八幡愛君提出農業簿記の制度的支援に関する質問に対する答弁書


一の1について

 お尋ねの「青色申告を行っている農業者の数」について、「二〇二〇年農林業センサス」によれば、「青色申告を行っている経営体数」は、令和二年が三十八万二千三十七経営体であり、「農業構造動態調査」によれば、同様に「青色申告を行っている経営体数」は、令和三年が三十八万九千五百経営体、令和四年が三十七万五千七百経営体、令和五年が三十七万三百経営体、令和六年が三十五万五千八百経営体である。
 また、お尋ねの「そのうち複式簿記を採用している者の割合」について、「二〇二〇年農林業センサス」によれば、「青色申告を行っている経営体数」のうち「一般的には複式簿記」とされている「正規の簿記」を行っている「経営体数」の割合は、令和二年が五十四・四パーセントであり、「農業構造動態調査」によれば、当該割合は、令和三年が五十四・六パーセント、令和四年が五十五・六パーセント、令和五年が五十五・七パーセント、令和六年が五十五・九パーセントである。

一の2について

 御指摘の「複式簿記」による「農業簿記」の「普及・定着が進まない要因」については、農業者は経営状況に応じて「複式簿記」以外の簡便な方式による会計処理を行っていることによるものと考えられる。

一の3について

 御指摘の「複式簿記」による「農業簿記」により農業経営に関する会計処理を行うことは、「農業経営の近代化・可視化」に資するものと考えられる。

一の4について

 御指摘の「農業簿記三級」の意味するところが必ずしも明らかではないが、仮に一般財団法人日本ビジネス技能検定協会が実施している「農業簿記検定」の「三級」を指すとすれば、この検定も含め御指摘の「簿記検定」は異なる実施主体がそれぞれの基準により実施しているものであることから、「難易度」を比較することは困難である。

一の5について

 お尋ねについては、個々の所得状況等により様々であると考えられることから、一概にお答えすることは困難である。

二の1及び2について

 御指摘の「伴走」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、「複式簿記」による「農業簿記」の導入については、政府としては、都道府県が行う「農業者が必要とする指導・研修」に要する経費に対する補助を行っている。なお、例えば、一般社団法人全国農業会議所及び都道府県農業会議は、農業経営の合理化のために必要な支援として「紙ベース」の手引書を作成し、それぞれにおいて「高齢農業者やICTが不得手な者」を含めた農業者を対象とする研修を通じて、当該手引書の周知・徹底を図っているものと承知している。

二の3について

 御指摘の「農業簿記ソフトウェア」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、農業経営における「複式簿記」の導入を支援するソフトウェアの「価格が中小規模農家にとって導入障壁となって」いるか否かについては、こうしたソフトウェアの価格の水準は、提供を行う事業者によって様々な要素を勘案して決定されるものであるため、政府として一概にお答えすることは困難である。また、「導入支援策の必要性」については、必ずしも「複式簿記」の導入を支援するソフトウェアを活用することなく農業経営に関する会計処理を行うことができるものと認識している。いずれにせよ、こうしたソフトウェアの導入に当たっては、例えば、租税特別措置法(昭和三十二年法律第二十六号)第二十四条の二及び第六十一条の二に規定する農業経営基盤強化準備金の対象となっており、同法第二十四条の三第一項及び第六十一条の三第一項並びに租税特別措置法施行令(昭和三十二年政令第四十三号)第十六条の三第二項及び第三十七条の三第二項において、ソフトウェアの価格を損金又は必要経費として圧縮記帳することができることとしている。

三の1について

 御指摘の「農業高校」における「農業簿記教育」については、高等学校学習指導要領(平成三十年文部科学省告示第六十八号)及び「高等学校学習指導要領(平成三十年告示)解説 農業編」(平成三十年七月文部科学省作成)において、「農業経営」の科目で、「学校農場の会計事例、農業会計の原理、農業簿記の仕組み、売上と費用の関係(売価の想定・原価計算・利益の確保)について取り上げて指導する」こととしており、これを踏まえ、農業に関する各科目のうち「農業経営」を開設する農業高校において、「農業簿記」に関する指導が行われているものと承知している。
 また、御指摘の「農業大学校」における「農業簿記教育」については、「協同農業普及事業の実施についての考え方(ガイドライン)」(令和七年七月三日付け七農産第一六〇五号農林水産省農産局長通知)において、「実践的な農業の技術力と経営力を備え」た「農業者を育成するため」に行う「必要な取組」の参考としている「養成課程の科目の参考」に「農業簿記」の教科を位置付けており、これを踏まえ、「農業簿記」について、都道府県が「都道府県内の地域農業の状況等を考慮して」「養成課程」の教科として定めた農業大学校において、「農業簿記」に関する教育が行われているものと承知している。

三の2について

 お尋ねについては、経営発展・就農促進委託事業により、農林水産省から委託を受けた事業者が、農業経営における御指摘の「複式簿記」による「農業簿記」により会計処理等を行うことに関して「精通した人材」も含めた農業者の経営基盤の強化に資する人材育成を目的とする研修のためのプログラムを作成し、中小企業診断士等に提供している。

四の1及び2について

 お尋ねについては、現時点において、政府として把握していない。

四の3について

 御指摘の「農業簿記のデジタル化(スマート農業連携、センサー連動等)」の意味するところが必ずしも明らかではないが、御指摘の「複式簿記」も含めた農業経営に係る情報をデータ化し、これを用いることにより、「労務・生産性」に関する分析を効果的に行うことは可能であると考えている。

五の1について

 御指摘の「複式簿記の要件」については、納税者一般の正確な記帳を奨励するという青色申告制度の趣旨を踏まえると、お尋ねの「制度見直し」については、慎重な検討が必要であると考えている。

五の2について

 お尋ねの「税務申告上の柔軟な配慮」の意味するところが必ずしも明らかではないが、農業経営に特有の会計処理としての「棚卸資産の評価や減価償却の計算」に関する「ガイドライン」の作成については、政府として行っていない。なお、例えば、一般社団法人全国農業経営コンサルタント協会及び公益社団法人日本農業法人協会においては、「農業の会計に関する指針」(以下「指針」という。)を公表しており、指針において「農企業が計算書類の作成に当たり、拠ることが望ましい会計処理」等として、「特に農企業において必要と考えられるもの」が記載されているものと承知している。

五の3について

 お尋ねの趣旨が明らかではないため、お答えすることは困難である。

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