答弁本文情報
令和七年十一月十八日受領答弁第四八号
内閣衆質二一九第四八号
令和七年十一月十八日
内閣総理大臣 高市早苗
衆議院議長 額賀福志郎 殿
衆議院議員八幡愛君提出パワーハラスメント及びセクシュアルハラスメントに係る慰謝料等の国際比較及び制度的課題に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員八幡愛君提出パワーハラスメント及びセクシュアルハラスメントに係る慰謝料等の国際比較及び制度的課題に関する質問に対する答弁書
一について
お尋ねの「我が国の裁判所におけるハラスメント被害事案の慰謝料及び損害賠償の認容額の平均又は相場」については把握していない。
二について
お尋ねの「米国、英国、フランス、ドイツ等における同種事案の慰謝料及び損害賠償額の相場及び算定根拠」については把握していない。
三について
一般的に、御指摘の「高額の損害賠償」が「加害者」の行為の「防止」に「影響」することはあり得るものと考えるが、「ハラスメント」の「防止」については、様々な要因が影響するものと考えられ、お尋ねの「懲罰的損害賠償制度の有無がハラスメント防止効果に与える影響」について一概にお答えすることは困難である。
四について
お尋ねに関しては、令和五年十一月七日の衆議院総務委員会において、政府参考人が「我が国の損害賠償制度は、一般には、被害者に生じた現実の損害を金銭的に評価し、加害者にこれを賠償させることにより、被害者が被った不利益を補填することを目的とするものであり、加害者に対する制裁や、将来における同様の行為の抑止そのものを目的とするものではないとされております。このため、・・・懲罰的損害賠償制度を導入することについては、我が国の制度の基本原理との整合性や刑事上の制裁との役割分担などの多面的な検討が必要でございます。また、特定の分野についてのみ懲罰的損害賠償制度を導入することについては、その分野についてのみ異なる制度を導入する必要性のほか、制度の対象となる被害者についてのみその保護が強化されることに合理性があるかといった点などについて慎重な検討を要するものと考えております」と答弁しているとおりであり、御指摘の「懲罰的賠償又はこれに準ずる措置を導入する」ことについては、慎重な検討が必要であると考えている。
五について
お尋ねの「見直し」については検討していない。
六について
御指摘の「裁判官・弁護士・労働局職員等」の具体的に指し示す範囲が明らかではないが、いずれにせよ、お尋ねの「裁判官」に係る「研修やガイドライン策定などの取組」及び「対策」については、裁判所において必要な検討が行われるべきものと認識しており、政府としてお答えする立場になく、お尋ねの「弁護士」に係る「研修やガイドライン策定などの取組」及び「対策」については、弁護士法(昭和二十四年法律第二百五号)が弁護士に対する指導監督を弁護士会及び日本弁護士連合会に委ねている趣旨に照らし、弁護士会及び日本弁護士連合会において必要な検討が行われるべきものであると認識しており、お答えすることは差し控えたく、また、お尋ねの「労働局職員」に係る「研修やガイドライン策定などの取組」及び「対策」については、「労働局職員」は「慰謝料」に関し「被害者の精神的損害」を「評価する」立場にないため、検討していない。いずれにせよ、「ハラスメント」については、例えば、労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律(昭和四十一年法律第百三十二号)第三十条の二の規定において、事業主が「雇用管理上必要な措置を講じなければならない」こととされているところ、都道府県労働局長は、同法第三十三条第一項及び第三十七条第一項の規定に基づき、事業主に対して、指導等を行うこととされており、具体的には、事業主が職場における優越的な関係を背景とした言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針(令和二年厚生労働省告示第五号)に基づく取組を促しているところである。
七について
御指摘の「我が国の制度改善に資する要素(例えば立証支援、損害算定基準、被害者支援機構等)」の具体的に意味するところが明らかではないが、いずれにせよ、御指摘の「懲罰的損害賠償制度」及び「立証責任の配分」に関しては、四について及び五についてでお答えしたとおりである。

