答弁本文情報
令和八年三月六日受領答弁第三号
内閣衆質二二一第三号
令和八年三月六日
内閣総理大臣 高市早苗
衆議院議長 森 英介 殿
衆議院議員緒方林太郎君提出施政方針演説等における幾つかの点に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員緒方林太郎君提出施政方針演説等における幾つかの点に関する質問に対する答弁書
一の1について
お尋ねの「実質ベースでの手取り」の意味するところが必ずしも明らかではないが、例えば、総務省の最新の家計調査(令和八年二月六日公表)によれば、二人以上の世帯のうち勤労者世帯の可処分所得(実質指数)の季節調整値は、令和七年十月から同年十二月までにかけて、〇・八パーセントの増加となっている。
一の2について
令和八年度の地方財政計画の策定を通じて、地方団体に交付する地方交付税について、所要の総額を確保しており、お尋ねのように「実際の減収分に比べて目減りする」とは考えていない。
二について
お尋ねの潜在成長率について、内閣府が令和六年八月二日の閣議に配布した「令和六年度年次経済財政報告」及び同府が令和七年七月二十九日の閣議に配布した「令和七年度年次経済財政報告」によれば、我が国は零パーセント台半ばと主要先進国の中でも最も低い状況にある。我が国の潜在成長率の内訳をみると、人口減少の局面にあること等を背景に、労働投入の寄与度が主要先進国の中で唯一マイナスとなっているが、一方で、我が国においては、資本投入の寄与度についても、主要先進国の中で特に低位にとどまっている状況にあると認識している。
三の1について
お尋ねの「予算上、多年度で別枠で管理する仕組みを導入」することは、政府の予算の予見可能性が確保され、国内投資が促進されることによってGDPの増加に資することのほか、既に行っている脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する法律(令和五年法律第三十二号)第二条第二項に規定する脱炭素成長型経済構造移行債を活用した支援や「国民の安心・安全と持続的な成長に向けた総合経済対策」(令和六年十一月二十二日閣議決定)において策定した「AI・半導体産業基盤強化フレーム」のように必要な財源が確保される仕組みの活用を通じて政府債務残高の増加の抑制にも資すること等により、政府債務残高対GDP比の引下げにつながるものと考えている。
三の2について
お尋ねの「予算上、多年度で別枠で管理する仕組み」の「別枠」については、令和八年二月二十七日の衆議院予算委員会において、高市内閣総理大臣が「これまでも例えばGX経済移行債を活用した十年間の先行投資支援ですとか、AI・半導体産業基盤強化フレームにおける七年間の公的支援につきましては、特別会計において別枠管理して必要な財源を確保しながら、財源の裏づけのあるつなぎ国債の発行などによって複数年度にわたる予算措置を行ってきております。こうした取組を更に広げていくということを考えています。具体的には、もう既に、昨年秋に、造船ですとか量子ですとか重要鉱物など経済安全保障上重要な分野における投資に関して、新たな財源の枠組みについての検討に着手するということを決定しておりますので、令和九年度予算からの導入を目指して検討を進めてまいります。」と述べたとおりである。なお、ここでいう「GX経済移行債」とは、脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する法律第二条第二項に規定する脱炭素成長型経済構造移行債のことである。
また、お尋ねの「農業の箇所」の「別枠」については、「経済財政運営と改革の基本方針二〇二五」(令和七年六月十三日閣議決定)において、「新たな基本法に基づく初動五年間(令和七〜十一年度)の農業構造転換集中対策期間において(中略)集中的・計画的に推進」することとされている「コストの徹底的な低減に向けた農地の大区画化や共同利用施設の再編・集約化、スマート技術の開発と生産方式の転換・実装、輸出産地の育成」等の施策について、事業の拡充その他の特別な措置を講じつつ、特に重点的に予算を確保することを意味している。
四について
お尋ねについては、令和八年二月二十五日の衆議院本会議において、高市内閣総理大臣が「我が国の潜在成長率は主要先進国と比べて低迷していますが、圧倒的に足りないのは資本投入量、すなわち国内投資です。その促進に徹底的なてこ入れをします。そのための責任ある積極財政です。高市内閣は、長年続いてきた過度な緊縮志向、未来への投資不足の流れを断ち切ることで成長率を高め、併せて金利上昇に目配りすることで、成長率の範囲内に債務残高の伸び率を抑え、政府債務残高の対GDP比を安定的に引き下げていくことで、財政の持続可能性を実現し、マーケットからの信認を確保してまいります。」と述べたとおりである。
五の1について
これまで、様々な御指摘の「成長戦略」が策定されてきたところ、例えば、「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画二〇二五年改訂版」(令和七年六月十三日閣議決定)において、「新しい資本主義では、これまで、賃上げ・設備投資・スタートアップ育成・イノベーションのための施策に一体的に取り組むとともに、社会全体での賃上げの機運醸成に向けて粘り強く官民連携での取組を進めてきた。・・・その結果、日本経済は、現在、三十三年ぶりの高水準となった昨年を更に上回り、二年連続で五パーセントを上回る水準となっている春季労使交渉での賃上げ、過去最高水準の設備投資、六百兆円を超える名目GDPなど、三十年間の長きにわたるデフレ経済から完全脱却する歴史的チャンスを手にしている」とされているところである。
五の2について
お尋ねの「「十七の戦略分野」と「八つの横断的課題」を掛け合わせ」た「百三十六の項目分析」の意味するところが必ずしも明らかではないが、「十七の戦略分野」については、AI、半導体など、様々なリスクや社会課題に対し、官民が連携して、先手を取り、行う、戦略的な投資を促進する分野として選定したものである。また、「八つの横断的課題」については、人材育成、サイバーセキュリティ、労働市場改革など、それらへの対策等が「十七の戦略分野」における官民の連携による投資を進め、高市内閣総理大臣が第二百二十一回国会における施政方針演説で述べた「強い経済」を実現するための基盤的な取組であるものとして選定したものであり、お尋ねのように「全く重点的ではなく、総花的になるだけ」であるとは考えていない。
五の3について
我が国のコーポレートガバナンス改革は、企業の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を図る観点から推進してきたものである。
企業が、自社の置かれた状況に応じ判断した上で、人的投資、設備投資、研究開発への投資等の成長投資がより積極的に行われるよう、株主還元も含めた経営資源の配分を適切に行っていくことを促すことが重要であると考えている。
六の1について
お尋ねの「廃炉を決定した原子力発電所を有する事業者の原子力発電所のサイト内での建て替え」については、「エネルギー基本計画」(令和七年二月十八日閣議決定)において、「廃炉を決定した原子力発電所を有する事業者の原子力発電所のサイト内での次世代革新炉への建て替え・・・を進めていく」としたものであり、令和七年二月十二日の参議院資源エネルギー・持続可能社会に関する調査会において、古賀経済産業副大臣(当時)が「次世代革新炉への建て替えにつきましては、この廃炉を前提といたしまして原子力発電所の建設を行うということであり・・・事業者の同一ないし別サイトの範囲内で・・・のみ認められる」と述べたとおりである。
六の2について
お尋ねの「FIT買取価格の見直し」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、御指摘の「発電に係る支援制度の見直し」については、「大規模太陽光発電事業(メガソーラー)に関する対策パッケージ」(令和七年十二月二十三日大規模太陽光発電事業に関する関係閣僚会議決定)において、「地域との共生が図られた望ましい事業は促進する観点から、太陽光発電への税制や予算等による国の支援の在り方についても見直すこととし、技術の進展状況や支援の必要性を踏まえ、地域との共生が図られた導入形態やペロブスカイト太陽電池等の次世代型太陽電池への重点化を行っていく」こととしており、例えば、「再エネ賦課金を用いたFIT/FIP制度による支援」について、「二千二十七年度以降の事業用太陽光(地上設置)については、技術の進展によるコスト低減の状況や、太陽光発電に係る課題や特性を踏まえた支援策の重点化の方向性を念頭に、支援の廃止を含めて検討する」こととしている。
七について
米穀等の輸出の実績については、財務省の「貿易統計」により把握しているところ、当該統計において、当該実績に係る数値をお尋ねの「新市場開拓米に対する補助」の有無により区別していないことから、お尋ねについてお答えすることは困難である。
八について
お尋ねについては、本人の年収が所得税の課税最低限を超えると税負担が生ずることになるため、課税最低限以下の年収である場合には当該本人が就業調整を行う誘因となることがあると考えている。
九の1について
お尋ねの「軽減税率が適用されている飲食料品」について「二年間に限り、消費税をゼロ税率」とするための「財源」については、令和八年二月二十四日の衆議院本会議において、高市内閣総理大臣が「財源についても、特例公債に頼らないことを前提に、国民会議に参加する会派の皆様とも相談、検討し、結論を得てまいります。」と述べたとおりである。
九の2について
お尋ねについては、令和八年二月二十五日の衆議院本会議において、高市内閣総理大臣が「食料品の消費税率ゼロについては、党派によりその主張が様々であり、実施に向け検討すべき諸課題があるとの指摘も数多くいただいております。また、消費税の在り方は、金利や為替などの金融市場への影響、社会保障や地方財政への影響を含め、国民生活に深く関わるものであり、国民会議でしっかり議論を進めていく必要がございます。今後、まさに、こうした諸課題について、超党派で行う国民会議で議論を行おうとしている段階でございます。御参加いただける野党の皆様とも真摯に議論を行った上で、結論を得てまいります。」と述べたとおりである。
十について
お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、第二百二十一回国会における高市内閣総理大臣施政方針演説における御指摘の言及に関して、政府としては、累次の機会に、東シナ海及び南シナ海における、力又は威圧による一方的な現状変更の試みに反対する旨を表明してきているところである。
十一について
御指摘の「国際法に基づかず一方的に関税率を上げる行為」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではなく、「法の支配に反する」か否かについてお答えすることは困難である。
十二について
お尋ねについては、今後の対応に支障を来すおそれがあることから、お答えすることは差し控えたい。
十三について
お尋ねは、第二百二十一回国会における高市内閣総理大臣施政方針演説の「少子化対策」の項目に係る発言に関するものであるところ、お尋ねの「少子化対策となるメカニズムと見込んでいる効果」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、「こども未来戦略」(令和五年十二月二十二日閣議決定)において示しているとおり、「少子化の背景には、経済的な不安定さや出会いの機会の減少、仕事と子育ての両立の難しさ、家事・育児の負担が依然として女性に偏っている状況、子育ての孤立感や負担感、子育てや教育にかかる費用負担など、個々人の結婚、妊娠・出産、子育ての希望の実現を阻む様々な要因が複雑に絡み合っている」と考えられており、個々の施策の効果について一概にお答えすることは困難であるが、妊婦健康診査や出産に係る費用など、妊娠や出産に伴う経済的負担の軽減等に取り組むことは、他の施策とあいまって、前述の様々な要因を取り除き、少子化対策に資するものと考えている。また、お尋ねの「少子化対策としては不十分」の意味するところが必ずしも明らかではないが、同戦略に基づき、前述の様々な要因を取り除くために各種の施策に総合的に取り組んでいるところである。
十四について
お尋ねの「一般会計の債務の増」の具体的に意味するところが明らかではなく、お答えすることは困難である。なお、今国会に提出している令和八年度予算において、公債金は二十九兆五千八百四十億円であり、交付税及び譲与税配付金特別会計における借入金のうち七千億円を一般会計に帰属させることとしている。

