質問本文情報
昭和四十年五月三十一日提出質問第一六号
日本国とアメリカ合衆国との繊維協定の措置に関する質問主意書
右の質問主意書を提出する。
昭和四十年五月三十一日
提出者 加藤※(注)二
衆議院議長 ※(注)田 中 殿
日本国とアメリカ合衆国との繊維協定の措置に関する質問主意書
きたる六月七日、米国務省特別顧問および国務省国際資源局長はじめ、米国官民代表団十余名の一行は、日米綿製品協定の推進、日米毛製品協定締結の準備、国際毛製品問題等の目的をもつて来日される。
右に関し、政府の態度、所信等について次のごとく質問いたしたい。
しかるに、日米綿製品協定の結果は、数年の間に香港、ポルトガルをはじめ、他国の貿易量を拡大し、日本のアメリカ市場のシエアーは縮少されたばかりか協定決定量は一度も充足されない。
これは、日米綿製品協定が他国のそれに比し余りにもかこくで不平等の証拠であり、友好に日夜努力してやまない日本輸出業者およびアメリカの輸入業者のひんしゅくおくあたわず改訂を要望しているところである。
二 毛製品協定締結については、日本、イギリス、イタリア、フランス等とアメリカ合衆国との毛製品貿易について日、英、伊、仏ともに意見の一致をみ、同一歩調をとつてきたところである。
すなわち、もしアメリカ合衆国と毛製品輸出国である日、英、伊、仏各国との間において調整が必要であるとすれば、特別協定によらず、ガット協定によりガット精神によつて調整されるべきであり、この同一歩調を守ることが日英協定をはじめとするE・E・C諸国との友情にこたえる道であると考える。
三 政府は、米国代表団の訪日について、米国政府に対しかねてから日本側の基本的態度である国際協定絶対反対およびこれに関する、またこれを意図するような多数国間または二国間会議への参加も絶対不賛成であるとの二点を明確に伝え、それでもなお来日するというならば外交関係にある以上あえて拒むことはできないとの内意のもとに、たとえこのたびのように日米官民懇談会の開催を余儀なくされても懇談会の正規の議事録も取らないし、また相互の意見調整もはかる必要は絶対になく、それぞれ、各自の発言について共同声明ないし覚書も行なわれないという態度で、今日まで対処してきた由である。
以上の経緯にあつてもなおかつ米国側が訪日を強行するというのはなぜであるか。その背後にあるものもは何か。
四 以上のごとき日本側の態度にもかかわらず、米国代表が訪日するということは、米国側は、いずれの事情にあるにせよ最終的に日本側をして、国際協定問題を相互に協議するような場へ追い込むきつかけをは握しようとしているのではないか。
政府はこのたびの訪日米使節団に対し慎重かつ堂々と民間に説明している所信を貫かないと、思わざるきつかけを米側につかまれ国際協定問題に追い込まれるおそれがある。
この点、羊毛産業界はきわめて憂慮しており、同趣旨において英、伊、仏も日本の態度を心配して注目している。
米国内の日本商品輸入業者も日本政府の出方を待つて日本への発注を決定しようとしている。
以上四点について政府の所信をお伺いいたしたい。
右質問する。